ステフィン・カリーの46得点爆発が話題をさらったゴールデンステート・ウォリアーズ対サンアントニオ・スパーズ戦。しかし、この125-120の勝利を支えた真の功労者は、身長差約25センチのハンデを覆し、ビクター・ウェンバンヤマを封じ込めたドレイモンド・グリーンでした。
数字だけでは見えない圧倒的なディフェンス力
ウェンバンヤマは31得点10アシストのトリプルダブルを記録しました。一見すると圧倒的なパフォーマンスに見えますが、この試合の裏側には驚くべき事実が隠されています。
グリーンが直接マークした場面では、ウェンバンヤマのシュート成功率はわずか4本中4本の33.3%。さらに試合全体で記録した8ターンオーバーのうち、5つがグリーンのディフェンス時に発生しました。フリースロー獲得もわずか2本に抑えられ、通常のウェンバンヤマとは明らかに違う姿がありました。
身長198センチのグリーンが224センチのウェンバンヤマをどう守ったのか。その秘密は、相手にスペースを与えない密着ディフェンスと、213センチに達するウィングスパンにありました。グリーンはウェンバンヤマがボールを持ち上げる瞬間に手を伸ばし続け、シュートフォームの変更やパスへの切り替えを強いることに成功しました。
プレーオフを見据えた戦術的実験
この試合でグリーンは6得点しか記録していません。しかし、チーム最高の+15というプラスマイナスが、彼の貢献度を雄弁に物語っています。残り33.4秒でファウルアウトとなりましたが、それまでの時間でウォリアーズを勝利圏内に留め続けました。
ウォリアーズはチーム全体で13スティールを記録し、創造的なゾーンディフェンスも織り交ぜながらスパーズを混乱させました。これは単なる1試合の勝利以上の意味を持ちます。プレーオフを見据えたとき、長身センターへの対抗策を実戦で検証できたことは、ウォリアーズにとって大きな財産となるでしょう。
グリーンは体を張ったプレーも厭いませんでした。オフェンシブファウルを引き出すために前腕を頭に受けた場面では、審判がフラグラントファウルの確認をするほど。通常、グリーンといえばフラグラントを”与える”側として知られていますが、この日は”受ける”側として存在感を示しました。
チーム第一主義の体現者
前日のオクラホマシティ・サンダー戦で大敗を喫した後、グリーンはチームメイトに対して「個人的な目標よりもチームへのコミットメントを優先すべき」と苦言を呈していました。その言葉を自ら実践したのがこの試合でした。
得点よりもディフェンスに徹し、相手のエースを抑え込むことに集中する。これこそがグリーンの真骨頂です。ジミー・バトラーも28得点8アシストでグリーンの主張に応え、5本の3ポイントを決めてチームの勝利に貢献しました。
グリーンのキャリアには様々な論争がつきまといます。しかし、こうした試合でこそ、なぜウォリアーズが彼を手放さないのかが明確になります。得点力ではなく、ディフェンス力とチームをまとめるリーダーシップこそが、彼の本当の価値なのです。
現地金曜日の再戦に向けて
ウォリアーズは現地金曜日、再びサンアントニオでスパーズと対戦します。NBAカップの試合となるこの一戦で、ウェンバンヤマがどう修正してくるのか、そしてグリーンがどう対応するのか。わずか2日での再戦は、両者の適応力を試す絶好の機会となるでしょう。
ウェンバンヤマは間違いなく今後のNBAを背負う存在です。しかし、経験豊富なディフェンダーが適切な戦術を用いれば、そのスーパースターでさえ苦しめることができる。グリーンが証明したこの事実は、リーグ全体に希望を与えるものかもしれません。
引用:yardbarker

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