フェニックス・マーキュリーがインディアナ・フィーバーを111-109で下した一戦は、本来なら接戦を制した勝者の話題で持ちきりになるはずでした。ところが試合後、最もSNSを賑わせたのはスコアでも殊勲者でもなく、マーキュリー公式アカウントが投稿し、ほどなく削除した1枚のミームでした。負傷したケイトリン・クラークを嘲笑しているように見えるその投稿は瞬く間に拡散し、勝利の余韻を一気に炎上騒ぎへと塗り替えてしまいました。第一印象として、これはコート上の出来事以上に「リーグの顔」をどう扱うかという根深い問題を突きつけた一件だと感じます。
勝利から一転、公式アカウントの“削除済みミーム”が火種に
報道によると、マーキュリーの公式アカウントは111-109の勝利後、床に倒れ込む選手を描いたイラストに「DE-WANNA PIECE OF THIS?!?」というキャプションを添えたミームを投稿しました。これはベテランのデワナ・ボナーの名前(DeWanna)をもじった言葉遊びですが、問題はそのタイミングです。クラークはこの試合の第3クォーター残り5分51秒で背中の負傷により退場し、そのまま戻りませんでした。さらに第2クォーターには、アリッサ・トーマスがクラークの喉元へ拳を当てる場面もありました。負傷者が出た直後に勝者側がこうした投稿を出せば、嘲笑と受け取られるのは避けられません。マーキュリーは批判が広がるとすぐに投稿を削除し、関係者はUSA TODAYに対して「誤解を避けるために取り下げた」と説明したと報じられています。
ホワイトHCの怒りと、著名人を巻き込む“クラーク差別”論争
この騒動は単発のものではありません。試合後、フィーバーのステファニー・ホワイトHCはトーマスの一件を「まったく言語道断で、無礼極まりない」と断じ、特別な才能を持つスーパースターに対する2つのチープショットがコールされなかったと審判を強く非難しました。WNBAは翌日、トーマスにフラグラントファウル2、1試合の出場停止、そして1,000ドルの罰金を科しています。これはトーマスにとって13年のキャリアで初めての出場停止です。さらにバーストゥールのデイブ・ポートノイら著名人もSNSで参戦し、ポートノイは「クラークがいなければ彼女たちはいまだにエコノミークラスで移動していたはずだ」と痛烈に皮肉りました。クラークの登場以降、対戦相手の接触や審判の基準を巡る議論は何度も再燃しており、今回の公式アカウントの投稿はその火に油を注いだ格好です。
「リーグの顔」を嘲笑する代償と、マーキュリーが背負うリスク
独自の視点で言えば、今回の一件で最も損をしたのはマーキュリーというフランチャイズそのものかもしれません。クラークの試合は対戦相手の動員や視聴率を押し上げ、専用機での移動を後押ししたとさえ言われる存在です。その顔役が倒れた直後に、公式が遊び心のつもりで出した1枚が、数十万人規模のクラークファンを敵に回しかねません。ライバル意識やSNSのユーモアと、スターが負傷した瞬間との間には、越えてはいけない一線があります。削除という対応は妥当ですが、スクリーンショットは消えません。ブランド価値を自ら毀損するこうした自滅的な振る舞いを、急成長中のリーグが繰り返す余裕はないはずです。マーキュリーは6月27日にトロント・テンポを訪れますが、この試合でトーマスは出場停止を消化します。逆風のなかでチームがどんな立て直しを見せるのか、コート内外で注目が集まります。
今後の試合と観戦のポイント
フィーバーは負傷明けのクラークを抱えながら、土曜日にロサンゼルス・スパークスとの一戦に臨みます。クラークが出場できるかどうかは、10勝8敗のチームにとって大きな分岐点になりそうです。一方、オールスターのファン投票ではクラークが上位を走っており、コート上の評価とリーグの“扱い”のギャップは今後も論争の的となるでしょう。マーキュリー対テンポ、フィーバー対スパークスと、週末は因縁含みのカードが続きます。SNSの動向と合わせて、それぞれの試合を追ってみてください。

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