シカゴで行われた2026年のWNBAオールスターについて、試合内容とは別のところから、なかなか衝撃的な数字が出てきました。ユナイテッド・センターに詰めかけた観客は1万9783人。これがWNBAオールスター史上最多であるだけでなく、同じ2026年のNBAオールスターの入場者数をも上回っていたというのです。リーグの規模を考えれば、まだまだ差は大きいはずの両者です。それでも「1試合の会場を埋めた人数」という一点に限れば、女子が男子を追い越した。この一点だけで語り切れる話ではありませんが、少なくとも節目としては十分に重い数字だと感じます。
19年間破られなかった1万9487人を、ついに超えた
まず前提として、WNBAオールスターの観客動員記録は長らく2007年にワシントンで記録された1万9487人でした。19年間、誰も超えられなかった数字です。2025年にインディアナポリスで開催された前回大会でも1万6988人でしたから、そこから一気に2800人近く上積みしたことになります。
大きかったのは会場選びでしょう。シカゴにはスカイの本拠地であるウィントラスト・アリーナがありますが、リーグはあえてブルズが使うユナイテッド・センターを選びました。収容規模の大きい「NBAの箱」を使うという判断は、裏を返せば「埋められる」という自信の表明でもあります。実際にその賭けは当たり、記録は更新されました。チケットが売れる確信がなければできない選択です。
NBAを上回るという「史上初」が持つ意味
2026年のNBAオールスターは、クリッパーズの本拠地であるインテュイット・ドームで2月に開催されました。米メディアHITCによれば、この日の入場者数はWNBAの1万9783人に届かず、WNBAのオールスターがNBAのそれを上回ったのは史上初とのことです。
もっとも、これを単純な「WNBAがNBAを抜いた」という話にしてしまうのは乱暴だと思います。NBAのオールスターは近年フォーマット変更を繰り返し、今年も米国勢と国際勢による3チームの総当たり方式という実験的な形で行われました。エキシビションとしての熱量が落ちているという指摘は以前からありますし、会場のサイズや興行設計も両者で条件が違います。つまりこれは「WNBAが伸びた」と「NBAのオールスターが求心力を落としている」が同時に起きた結果です。それでも、10年前なら比較の土俵にすら上がらなかったことを思えば、状況の変化は明らかです。
会場を埋めたのは、一人の選手だけではなかった
ここで見落としたくないのは、この1万9783人を呼び込んだのがケイトリン・クラーク一人の力ではなかったという点です。試合はチーム・スプーンが129対122でチーム・クープを下しましたが、MVPに輝いたのは22得点13リバウンドを記録したジョンケル・ジョーンズでした。両チーム通じての最多得点は28点のケルシー・ミッチェル。クラークは17得点5アシスト、ペイジ・ベッカーズは12得点7アシストという内容です。さらにドミニク・マロンガが2022年以来となるオールスターでのダンクを決めています。
つまり、スター選手の層が明らかに厚くなっているということです。集客の起点として特定の選手の存在が大きいのは事実ですが、会場に来た観客が見て帰ったのは複数の顔でした。ここが数年前との決定的な違いだと考えます。一人に依存した人気は、その選手が故障した瞬間に崩れます。逆に、MVPも最多得点もダンクも別々の選手が担う大会は、興行として明らかに強い。今回の数字が単年の打ち上げ花火で終わらない可能性があるとすれば、その根拠はここにあります。
後半戦は数字の持続力が問われる
気になるのは、この勢いをレギュラーシーズンに持ち帰れるかどうかです。オールスターは年に一度のお祭りであり、普段はバスケを見ない層も動きます。本当の意味でリーグの成長を測るなら、平日夜の平凡なカードにどれだけ人が入るかを見るべきでしょう。オールスターブレイクが明けた後半戦、各アリーナの動員がどう推移するかは注目に値します。
WNBAは現在、労使交渉やコミッショナーの去就といった難題も抱えており、追い風だけが吹いている状況ではありません。ただ、交渉のテーブルで最も強い材料になるのは、いつだって数字です。史上最多の観客動員という事実は、選手側にとっても経営側にとっても無視できない実績として残ります。この一夜の記録が今後どう使われていくのか、そこも含めて追いかける価値のある出来事でした。
引用:https://www.hitc.com/wnba-all-star-game-edges-out-2026-nba-all-star-game-in-major-parameter/

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