ペイジ・ベッカーズ

「7フィート近い男が、私より低く構える」──ベッカーズがデュラントとの極秘ワークアウトで見たもの、休暇初日にレッドアイ便で飛んだ2年目の執念

 

オールスターウィークエンドのシカゴで撮影された1本の動画が、WNBAとNBAの垣根を越えて拡散しました。ダラス・ウィングスのペイジ・ベッカーズが、ケビン・デュラントと並んでひたすらシュートを打ち込んでいる映像です。しかもそれは、リーグが唯一まとまった休みを与える期間の、その初日にあたるタイミングでした。オールスターの華やかな照明の裏側で、2年目の彼女が何をしていたのか。ウィングスのゼネラルマネージャー、カート・ミラーが練習後に明かした舞台裏は、正直に言ってかなり異常です。

数字で見るベッカーズの2年目、確率3部門すべてが高水準

まず今季の成績を確認しておきます。ベッカーズは25試合に出場し、平均20.9得点・6.2アシストでいずれもチーム最多。1試合平均33.6分をコートで過ごしながら、フィールドゴール成功率51.3%、3ポイント39.7%、フリースロー85.7%という数字を残しています。ガードでフィールドゴール5割超えを維持しつつ、3ポイントも4割近い。この組み合わせは、リーグ全体を見渡してもそう多くありません。

特筆すべきは7月です。ウィングスが6連勝を記録したこの期間、ベッカーズは平均23.8得点・5.5リバウンド・7.0アシスト、フィールドゴール53%、フリースロー93.3%とギアをもう一段上げました。さらに第4クォーターだけを切り出すと、平均6.7得点でフィールドゴール61.1%、3ポイント46.7%。試合の終盤、最も守備が固くなり最も体力が削られている時間帯に、成功率が上がっているわけです。チームは18勝9敗、ネットレーティングはプラス5.1でリーグ5位につけています。

7月20日のニューヨーク・リバティ戦を欠場した際、ダラスは99対98で敗れて連勝が止まりました。アライク・オグンボワレが24本放って29得点と奮闘しましたが、1点届かなかった。彼女がいる試合といない試合の落差が、そのまま今のウィングスの構造を示しています。

ルーキー時代との決定的な差は「オフの過ごし方」

デュラントとのワークアウトについて問われたミラーの説明は、時系列が具体的でした。ダラスは休み前最終戦をポートランドで戦っています。その試合後、ベッカーズはレッドアイ便に飛び乗ってシカゴへ移動し、GMがまだポートランドのベッドの中にいる時間帯には、すでに体育館に戻っていたというのです。移動と睡眠を削って確保したのが、あのデュラントとの1時間だったことになります。

ミラーはオフシーズンの取り組みについて、身体面とメンタル面の両方に意図的な焦点を当てたものだったと説明しています。体を強くして戻ってきたことで出場時間を伸ばせるようになり、ルーキー時代とは別人のような第4クォーターを送れるようになった、と。先ほどの61.1%という数字は、そのオフの積み上げが可視化されたものだと言えます。ミラーは「このチームは本当に彼女のチームになった」とまで語っています。

ベッカーズ本人がデュラントから持ち帰ったものも興味深いところです。彼女が挙げたのはスコアリングのテクニックではなく、フットワークとバランス、そして構えの低さでした。身長がほぼ7フィートに達する相手が、自分より低い位置に重心を落としてプレーしている。その事実に驚いたと語っています。歴代屈指のスコアラーの引き出しを、細部の所作から盗もうとする姿勢そのものが、彼女の2年目の伸びを説明しているように見えます。詳しいコメントはHITCの記事で確認できます。

MVPレースとトレード期限、後半戦の12日間が試金石

ここからは独自の見方になります。ベッカーズは2025年ドラフト全体1位で入団し、2年連続でオールスターの先発に選ばれました。ただ、2年目の彼女に本当に問われるのは個人成績ではなく、勝率を背負えるかどうかです。18勝9敗というチーム状況は、優勝争いの入口としては悪くない一方で、上位との差を詰めるには何かが足りない位置でもあります。

その意味で、8月2日のトレード期限は無視できません。ミラーは大胆な動きを恐れるべきではないという趣旨の発言をしており、ダラスが後半戦に向けて何らかの補強に動く可能性は十分にあります。今オフにはジェシカ・シェパードをフリーエージェントで獲得し、オグンボワレとは複数年契約で再契約、ドラフトではアジ・ファッドを迎え入れました。ファッドはオールスターの3ポイントコンテストをルーキーとして史上初めて制しており、外角の脅威という点では既に計算が立ちます。ベッカーズを中心に据えた編成は、すでに形になりつつあると見ていいでしょう。

問題は日程です。ダラスは後半戦の最初の12日間で6試合をこなし、さらに最初の10試合のうち8試合がプレーオフ圏内のチームとの対戦になります。休養を確保しづらいスケジュールの中で、平均33.6分という起用がどこまで持つのか。デュラントとのワークアウトに費やしたあの朝が、ここで効いてくるかどうかが見どころです。

次戦は7月29日、ホームでアトランタ・ドリーム戦

ウィングスの後半戦初戦は、7月29日にカレッジパーク・センターで行われるアトランタ・ドリーム戦です。現地時間の午後7時(CT)にティップオフを迎えます。第4クォーターに強くなったベッカーズが、いきなりプレーオフ争いのライバル相手にどんな終盤を見せるのか。中継を追いかける価値のある一戦です。

引用:https://dallassportsjournal.com/curt-miller-paige-bueckers-second-season-kevin-durant-workout/

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