ケイトリン・クラーク

ABCで平均250万人、それでも歴代1位に20万人届かなかった──フィーバー対リンクスが刻んだ「ESPN史上2位」と前年比77%増という数字

 

8月2日にターゲット・センターで行われたリンクス対フィーバーは、コート上の熱量がそのまま数字になって返ってきた一戦でした。ESPNの発表によると、ABCで全米中継されたこの試合の平均視聴者数は250万人。ESPNにとってレギュラーシーズンのWNBA中継としては歴代2位、プレーオフを含めた全中継のなかでも歴代3位という水準です。試合そのものは108対100でリンクスが競り勝ちましたが、翌日以降に業界が話題にしていたのは勝敗ではなく、日曜午後のアメリカでこれだけの人がWNBAの画面を選んだという事実のほうでした。正直に言えば、筆者が最初に数字を見たときの感想は「ついにここまで来たか」ではなく「それでも歴代1位には届かないのか」でした。基準そのものが、この2年で変わってしまったのだと思います。

250万人の中身と、前座番組まで81万8000人が座っていた事実

ESPNが公表した内訳を追うと、この250万人という数字の性格が見えてきます。まず前年のABCにおけるWNBAレギュラーシーズン中継の平均と比べて77%増。1年で視聴者数がおよそ1.8倍になった計算です。さらに注目したいのは試合前番組で、「WNBA Countdown presented by Google Pixel」が平均81万8000人を集め、こちらも前年比20%増を記録しました。試合開始のタイミングでチャンネルを合わせたのではなく、その前から座って待っていた人が80万人以上いたことになります。ザッピングで偶然たどり着いた視聴ではなく、予定に組み込んで見にきた層が厚くなっている証拠です。

肝心の試合内容も、その期待に応えるものでした。フィーバーはミッチェルが21本中14本という高確率で37得点を挙げ、3ポイントも6本成功。クラークは19得点10アシストのダブルダブル、ボストンは15得点8リバウンド7アシストと三方向に貢献しました。対するリンクスはウィリアムズが20本中12本成功の27得点、ルーキーのマイルズが14本中11本という驚異的な効率で28得点。第4クォーターに14点あった差をフィーバーが2点差まで詰め寄った直後、マイルズがバスケットカウントを沈めて再び7点差に押し戻した場面が事実上の決着点でした。フィーバーは6試合連続で100得点以上を記録してWNBA新記録を作りながら、12ターンオーバーと速攻0得点という穴を埋めきれずに5連勝が止まっています。

2026年の視聴レースに並べると、250万人はどの位置なのか

この数字の意味は、今季すでに積み上がっている他の記録と並べたときにはっきりします。2026年シーズンの最多は7月19日のフィーバー対エーシズで、NBCとPeacockの合計264万人。その前日となる7月18日のリバティ対フィーバーはCBSで258万人を集め、CBSにおけるWNBA中継の史上最多を更新しました。そして2000年以降のレギュラーシーズン全体で最も見られたのは、2025年開幕戦のスカイ対フィーバーがABCで記録した270万人です。つまり今回の250万人は、歴代1位まで20万人前後という距離まで迫りながら、あと一歩届かなかった数字ということになります。

同時に、この「あと一歩」がどれだけ異常な高さなのかも押さえておきたいところです。昨季のケーブル中継の平均は43万5000人でした。今季もクラークが絡まない中継はスパークス対ドリームが45万5000人、サン対マーキュリーが59万7000人という水準で、これでも前年比では伸びています。250万人は、リーグの平均的な中継のおよそ5倍前後を一晩で叩き出したことになります。背景には、フィーバーの全44試合が全国中継枠に組み込まれたという2026年の特殊事情もあります。1チームの全試合が全国放送に乗るのはWNBA史上初で、放送局側が「フィーバーは外さない」という判断を年間契約の段階で下していたわけです。

クラーク一本足から、好カード依存への移行が始まったのか

ここからは筆者の見立てになりますが、今回の250万人はこれまでの200万人超えとは質が違うと考えています。過去の大台超えは、リバティ、エーシズ、スカイといった大市場のチームや前年王者との対戦が中心でした。ところが今回の相手は25勝6敗、10連勝中でリーグ首位を走るリンクスです。コリエとウィリアムズという実績組に、1年目でMVP候補にまで名前が挙がるマイルズが加わった構成で、フィーバー以外にも語るべき物語が乗っていました。クラーク個人への関心だけでなく、対戦カードの質そのものが視聴数を押し上げる段階に入りつつあるのだとしたら、それはリーグにとってクラーク以上に大きな資産になります。

裏を返せば、リーグが次に問われるのは「クラークが出ていない好カード」でどこまで数字を残せるかです。今季のケーブル中継が45万人前後にとどまっている現実は、まだその移行が完了していないことも同時に示しています。250万人という数字は到達点ではなく、リーグ全体の底上げが追いつくかどうかを測る物差しとして見るのが健全だと思います。

今後の見どころ

フィーバーは19勝11敗、リンクスは25勝6敗でリーグ首位。両者が再びぶつかる可能性が最も高いのはポストシーズンで、そのときはこの250万人がさらに更新される可能性が十分にあります。フィーバーは残り試合もすべて全国中継が組まれているため、日本からも中継スケジュールを追いやすい環境です。数字が動く夜を逃さないためにも、放送枠の発表はこまめにチェックしておきたいところです。

引用:https://espnpressroom.com/press-release/espn-delivers-its-second-most-watched-regular-season-wnba-game-ever/

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