昨シーズン、WNBAファイナルの舞台に立っていたチームが、今シーズンは西地区の下位で残り試合を消化しようとしています。フェニックス・マーキュリーです。8月15日時点の成績は13勝22敗。プレーオフ圏はすでに遠く、専門メディアのThe Nextは、この状況に向き合うチームのキーワードとして「プライド」を挙げて報じました。順位表だけを眺めれば「終わったシーズン」で片づけられてしまいますが、10か月前にファイナルを戦った顔ぶれが多く残っていることを思うと、この落差は今季のWNBAで最も語られるべきテーマの一つだと感じます。
数字で見るマーキュリーの現在地
ESPNの順位表によると、マーキュリーの成績は13勝22敗、勝率.371。西地区では28勝7敗のミネソタ・リンクスから15ゲーム差の6位に沈んでいます。リーグ全体で8番手につけているのはワシントン・ミスティックス(19勝14敗)で、残り9試合という日程を考えると、逆転でのプレーオフ進出は現実的にほぼ不可能な位置です。
チームスタッツを見ると、1試合平均83.9得点、フィールドゴール成功率44.4%、3ポイント成功率32.2%。アシストは平均19.9本ある一方でターンオーバーが13.1と多く、リバウンドは平均31.5本にとどまります。個人では今季途中に加わったケルシー・プラムが16試合で平均22.3得点・5.6アシスト、フィールドゴール成功率52.8%と高い効率を残しています。カリーア・コッパーは34試合で平均20.6得点、アリッサ・トーマスは平均14.8得点・7.4リバウンド・8.2アシスト。個々の生産性は決して低くありません。それでも勝ち星が伸びないところに、このチームの難しさが表れています。
ファイナル進出から一年、何が変わったのか
2025年のマーキュリーはファイナルまで勝ち上がりながら、ラスベガス・エーシズに4連敗のスイープを喫しました。第4戦では判定を巡ってヘッドコーチのネイト・ティベッツが退場処分を受けるなど、最後まで気持ちを前面に出した末の敗戦でした。あの悔しさをバネにする一年になるはずが、実際にはロースターの入れ替わりと故障の影響が重なり、同じ強度を保てないまま夏を迎えています。
象徴的なのがプラムの出場数です。平均22.3得点は今のチームで最も高い水準ですが、出場は16試合にとどまります。チームがすでに35試合を消化していることを踏まえると、看板選手が半分以下しかコートに立てていない計算です。一方でトーマスは33試合、コッパーは34試合、デワナ・ボナーは35試合とほぼフル稼働。負担が特定の選手に偏り、勝負どころで足が止まる展開が続いた印象を受けます。トーマスの平均8.2アシストという数字も、裏を返せば彼女が下がった時間帯のオフェンスが機能しにくかったことの表れでもあります。
残り9試合の使い方が来季を決める
ここからのマーキュリーにとって、勝敗そのもの以上に重要なのは「何を積み上げて終わるか」だと考えます。今季のWNBAでは、下位チームが来季のドラフト順位を優先する動きも議論されていますが、マーキュリーの事情は少し異なります。プラム、コッパー、トーマスという実績のあるコアが揃っており、来季いきなり全面的な再建に舵を切る想定にはなりにくいからです。だとすれば残り9試合は、若手の出場時間を確保しつつ、プラムを軸にしたオフェンスの形をどこまで固められるかという「来季の予習」に充てるのが合理的でしょう。
The Nextが掲げた「プライド」というキーワードも、その文脈で読むと腑に落ちます。消化試合で緩んだチームは、翌シーズンの立ち上がりでも同じ緩さを引きずりがちです。逆に順位に関係なく最後まで競り合えたチームは、翌春のキャンプで積み上げられるものが変わってきます。ティベッツが選手たちに求めているのは、おそらくその一点ではないでしょうか。
次戦と今後の見どころ
マーキュリーの次戦は日本時間8月17日午前8時、ホームでのポートランド・ファイア戦です。ファイアは14勝20敗とマーキュリーのすぐ上に位置しており、順位争いとしての意味は薄いものの、両チームにとっては来季を占う一戦になります。プラムがどこまで出場時間を伸ばせるのか、トーマスがアシスト数をどこまで積み上げるのか。プレーオフから離れたチームの試合にも、追いかける価値のある物語はしっかり残っています。

WNBA FAN BLOG運営者/バスケットボールジャーナリスト
WNBA・NBAをこよなく愛し、バスケットボール歴30年以上。特にWNBAの魅力を日本に広げるため、2025年5月に WNBA FAN BLOG をスタートしました。試合結果や選手情報だけでなく、独自の視点による戦術分析や選手インタビュー、海外ニュースの速報翻訳まで幅広くカバーしています。
現在、日本国内では数少ないWNBA専門メディアとして、最新ニュースをどこよりも速く正確にお届けすることをミッションにしています。
得意分野
試合分析・戦術解説
選手のデータ分析(EFF、PER など)
海外ニュース速報翻訳(英語 → 日本語)
サイト目標
日本最大の WNBA 情報ポータルサイト構築
日本のバスケットボールファンコミュニティ作り
関連 SNS アカウント
X(Twitter):@WNBAJAPAN
フォローしてWNBA の最新情報をキャッチしてください!




