オリビア・マイルズ

ドラフト当日に「自分はとてもオープンになれる」と伝えていた──マクブライドがWNBA新記録の夜に明かした、ルーキー・マイルズという“本物のPG”の意味

 

WNBA新記録が出た翌日に掘り返されたのは、記録そのものではなくドラフト当日の一言でした。ミネソタ・リンクスのケイラ・マクブライドが、全体2位でオリビア・マイルズの指名が決まった4月の時点で、シェリル・リーブHCに「自分はとてもオープンになれる」という趣旨のことを伝えていたというのです。そこから4カ月足らずで、13年目のシューターはリーグの歴史を書き換えました。

第一報を読んで感じたのは、これが予言や願望の話ではないということです。シューターという職業の人は、自分が良いシュートを打てる条件を誰よりも正確に把握しています。マクブライドは指名の瞬間に、自分の得点が増える構造ができたことを理解していたのだと思います。記録は、その理解が正しかったことの証明だったように見えます。

43得点と13アシストが同じ夜に並んだ

現地8月9日、ターゲットセンターでのダラス・ウィングス戦。マクブライドは3ポイントを10本沈め、WNBAで初めて1試合2桁の3ポイントに到達しました。得点はキャリアハイの43で、リンクスは103対90で勝っています。

ただ、この試合にはもう一つ自己記録が生まれていました。マイルズの13アシストです。43得点と13アシストが同じ夜に並んだのは、偶然というより役割分担が噛み合った結果と見るほうが自然でしょう。誰かが10本の3ポイントを沈めるとき、その多くはパスから生まれています。

数字を並べると関係性はもっとはっきりします。マクブライドは今季平均18.4得点でキャリアハイを更新中で、3ポイント成功数100本はリーグ1位に立っています。一方のマイルズは平均20.0得点5.8アシスト4.8リバウンド、出場時間は1試合30.8分です。得点とアシストの両方でチーム内トップに立つルーキーであり、通算500得点150アシストにはWNBA史上最速となる26試合で到達しています。

昨季は「ミネソタでの終わり」を考えていた

この話が効いてくるのは、マクブライドの直前のキャリアを知ったときです。2025年、リンクスはマーキュリーにプレーオフで敗れ、マクブライドはミネソタでのキャリアが終わる可能性と向き合っていました。結果としてFAで2年契約を結んで残留し、いまキャリア最高と言える内容のバスケットをしています。

本人が挙げた比較対象も具体的でした。最後に「本物のポイントガード」と組んだのはコートニー・バンダースルートで、あれはキャリアで最も楽しいバスケットだった、という趣旨の説明です。コートニー・ウィリアムズとの時間を否定しているわけではなく、ボールの届き方そのものが違う、という技術的な話をしています。マクブライドはその感覚を「お菓子屋さんに来た子どもみたい」と表現しました。

シューターにとって、パスの回転や速度は成功率に直結します。腰の高さに勢いよく届くパスと、跳ねながら足元に来るパスとでは、リリースまでにかかる時間が変わります。マクブライドの言葉は感情的な賛辞に見えて、実際にはかなり実務的な指摘だと思います。

ルーキーが「作る側」に回ったチームの上限

独自の見立てを書くと、今季のリンクスで一番大きな変化は、得点力の総量ではなく作り手の質だと考えています。ベテランが多いチームは、個々の得点力があっても最後は自分で打ち切る形に寄りがちです。そこに20.0得点5.8アシストを同時に成立させるルーキーが入ると、周囲は「打たされる」のではなく「良い状態で打てる」ようになります。

一方で、プレーオフではここが試されます。短期決戦では相手のスカウティングが濃くなり、ピック&ロールの守り方も試合ごとに変わります。ルーキーのポイントガードが最初に狙われるのは、ほぼ確実です。マイルズが読み合いの二手目、三手目まで用意できるかどうかが、そのままリンクスの上限になっていくはずです。

逆に言えば、マクブライドの記録は「この二人が噛み合ったときの最大値」を先に見せた形でもあります。43得点はもう一度出るとは限りませんが、良いシュートを選べる状態は再現できるものです。プレーオフでその状態を何本つくれるか、というのが実際の勝負どころになります。

今後の見どころ

リンクスはリーグで最初にプレーオフ進出を確定させており、ここからの主題はシード順位と調整に移ります。マクブライドの3ポイントが今の水準を保てるか、マイルズが二桁アシストを安定して供給できるかは、レギュラーシーズン終盤の分かりやすい観測点になりそうです。今後の日程や中継予定はWNBA公式サイトで確認できます。

ドラフト当日の一言が4カ月後に記録として回収される、というのはなかなか起きないことです。ただ、それが起きた理由を丁寧にたどると、たまたまではなく噛み合わせの話に行き着きます。今季のリンクスの強さは、そういう地味な部分にあるのだと思います。

引用:https://www.sportingnews.com/us/wnba/minnesota-lynx/news/kayla-mcbride-comments-about-olivia-miles-resurface-after-historic-performance/2a84bf7303fe7154b6594421

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