現地時間8月18日、ラスベガスのミシュロブ・ウルトラ・アリーナで行われたエーシズ対ドリームの一戦は、試合そのものよりも第2クォーターに起きた「一発退場」が話題をさらいました。ディフェンディングチャンピオンを率いるベッキー・ハモンが、審判への抗議でテクニカルファウルを2つ立て続けに宣告され、前半のうちにベンチを去ったのです。しかもこの試合、エーシズは82対97でドリームに敗れ、プレーオフのシード争いで痛い一歩後退を強いられました。指揮官の激情が、そのままチームの苦しい現在地を映し出した夜だったように思います。
第2クォーター残り5分06秒、指揮官がコートに踏み込んだ
事の発端は、エイジャ・ウィルソンへのコンタクトに笛が鳴らなかった場面でした。ハモンは反対側のコートに攻守が切り替わったところで審判に詰め寄り、第2クォーター残り5分06秒でテクニカルファウルを取られます。ここで収まらずコート内へ足を踏み入れて抗議を続けた結果、間髪入れずに2つ目のテクニカルが宣告され、そのまま退場となりました。この時点でスコアは29対33、わずか4点差だったにもかかわらず、前半終了時には41対52と11点差まで開いています。ハモンはブーイングではなく地元ファンの拍手に見送られ、ハイタッチを交わしながらコートを後にしたと伝えられています。指揮を引き継いだのはアシスタントコーチのシャーリーン・トーマス=スウィンソンでした。
ペイント22対44、ターンオーバー17対11という数字の重さ
退場という絵の派手さに目を奪われがちですが、ボックススコアを見ると敗因はもっと構造的です。ペイント内得点はエーシズの22点に対してドリームが44点とちょうど2倍。ターンオーバーはエーシズが17でドリームが11、速攻得点も3対8と、失点の質でも走力でも押し切られていました。クォーターごとのスコアは25-16-20-21対24-28-19-26で、ハモンが去った第2クォーターにいきなり16対28と大きく崩れています。
個人成績は決して悪くありませんでした。エイジャ・ウィルソンは34分で27得点14リバウンド、ジャッキー・ヤングも24得点5アシストと二枚看板は仕事をしています。ただしウィルソンのフィールドゴールは18本中7本、ヤングも15本中7本と効率は上がりませんでした。対するドリームはライン・ハワードが23得点、アンジェル・リースが21得点10リバウンドのダブルダブル、アリーシャ・グレイが21得点、ジョーディン・カナダも11本中7本成功で17得点と、4人が17点以上を積み上げる分厚い攻撃でした。チームアシストも18対15で上回っており、ボールがよく回っていたのはアトランタの方だったと言えます。
判定への不満は今季ずっと続いていた
ハモンが審判に苛立つのは今回が初めてではありません。5月のウィングス戦後にも判定を巡って公の場で強い言葉を並べており、その際は試合後の会見という「安全な場所」で不満を吐き出していました。今回はそれが試合中、しかもコート内に踏み込むという形で表に出た点が決定的に違います。Sports Illustratedによれば、これはハモンにとってキャリア2度目の退場です。回数そのものは多くありませんが、感情のコントロールで知られてきた指揮官がシーズン終盤の重要局面で退場したという事実は、エーシズが置かれた圧力の強さを物語っています。
背景には連覇を狙うチームの苦しさがあります。エーシズはこの敗戦で24勝13敗となり、24勝12敗のフィーバーに順位で抜かれました。しかも直接対決の勝敗は今季1勝2敗でフィーバーに分がある、つまりタイブレークでも不利です。一方で勝ったドリームは22勝13敗まで浮上し、エーシズの背中がはっきり見える位置につけました。ウェスタン側に目を移せばリンクスが29勝7敗、ヴァルキリーズが25勝9敗と上位2枠は遠く、エーシズにとって現実的な目標はホームコートアドバンテージの確保になります。
残り試合は「最も楽なスケジュール」、それでも油断はできない
救いはここからの日程です。エーシズはレギュラーシーズン残りでプレーオフ圏内のチームと対戦しない見込みで、リーグでも屈指の組みやすい日程が残っています。次戦は9勝25敗と苦しむサンをホームに迎える一戦です。取りこぼさなければ3位奪回も十分に射程圏内でしょう。
ただし、この試合で露呈した課題はスケジュールの緩さでは解決しません。ペイント内での劣勢とターンオーバーの多さは、プレーオフでリンクスやヴァルキリーズ、あるいは絶好調のフィーバーとぶつかったときにそのまま牙をむきます。ウィルソンとヤングが合計51点を挙げても勝てなかったという事実は、3人目、4人目の得点源をどう作るかという宿題を突きつけています。ハモンの退場は感情の暴発というより、その構造的な苦しさが噴き出した瞬間だったのかもしれません。連覇へのハードルは、この一夜で確実に高くなりました。
今後の注目ポイント
エーシズは次戦でサンと対戦予定です。ハモンへの追加処分についてはハーフタイム時点でリーグから発表がなく、今後の続報を待つ形になります。ドリームは首位を走るフィーバーとの差を1.5ゲームまで詰めており、イースタンの順位争いも最終盤にかけて一気に面白くなってきました。順位表とプレーオフのシード確定まで残りおよそ10試合、目が離せない日々が続きます。

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