「何ひとつ選択肢から外していない」──6億5000万ドルに化けたアンライバルドの野心

 

WNBAのオフシーズンに行われる3人制リーグ、アンライバルドが8月26日、リーグの評価額が6億5000万ドルに達したと発表しました。2025年時点の3億4000万ドルから、わずか1年で倍近くまで膨らんだ計算になります。同じ日に明らかになったのが、2027年シーズンで本拠地マイアミの外に出る回数を一気に増やすという方針でした。数字と方針を並べて眺めると、これは勢いに任せた拡大ではなく、かなり計算された順番で打たれた一手に見えてきます。

6億5000万ドルという評価額の中身

今回の評価額は、Ten Pillars Sports Fundが主導したシリーズCの資金調達を経て確定したものです。当初の調達目標だった1億ドルを上回る規模となり、出資者にはカーメロ・アンソニー、ジーノ・オリエマ、アシュトン・カッチャー、アレックス・モーガン、トレイ・ヤングといった顔ぶれが並びました。NBAの現役スター、大学女子バスケットボール界の名将、サッカー界のアイコン、そしてハリウッド。出資者の属性がここまでばらけているリーグは、そう多くありません。

収益面も動いています。2年目のリーグ収入は推計4500万ドルで、初年度の2700万ドルからおよそ67%増えました。評価額6億5000万ドルを収入4500万ドルで割ると約14倍で、これは「今の売上」ではなく「これから伸びる余地」に値札がついている状態です。さらに目を引くのが、選手向けのエクイティ(株式)プールが発足時から550%以上増え、いまや2億ドル近い規模になっている点でしょう。評価額のおよそ3割が選手側に紐づいている構図で、給与ではなく持ち分で報いるという設計思想がはっきり数字に出ています。

マイアミ1都市から始まった2年間の答え合わせ

アンライバルドはこれまで、マイアミの専用施設を拠点にほぼ全試合を消化してきました。その原則が初めて崩れたのが昨シーズンのフィラデルフィア開催で、この試合はエクスフィニティ・モバイル・アリーナにおける女子バスケットボールの観客動員記録を塗り替えています。プレーオフ準決勝はブルックリンのバークレイズ・センターで実施されました。試験的に外へ出したら、想定以上の反応が返ってきたわけです。

2027年は、この「road」会場を4倍に増やします。開幕戦をロードで行い、プレーオフも大型会場を使ってマイアミ外で開催する構想です。リーグ社長のアレックス・バゼルはESPNの取材に対し「何ひとつテーブルから外していない」と語り、フォーマットも都市も次の進出先も、契約する選手も含めてすべてが検討対象だと説明しました。注目したいのは、昨年6チームから8チームへ増やしたばかりのチーム数を2027年は据え置き、ロースターの人数も変えないと明言していることです。拡大の軸を「チーム数」から「開催地」へ、意識的に切り替えたと読めます。

選手が離れないという、いちばん強い資産

個人的に最も重いと感じたのは、昨季参加した選手の75%以上が複数年契約を結んで3年目も戻ってくる、という一節でした。2027年のロースターはすでに95%が固まっており、選手発表は今月から始まります。WNBAのオフシーズンは海外リーグという長年の受け皿があり、選手にとって冬の過ごし方は毎年の選択でした。そこで9割超が事前に埋まるというのは、条件面だけでなく移動負担や環境も含めて選手側の評価が定まってきた証拠でしょう。

ただし、巡業を4倍に増やすことは選手にとって移動が増えることも意味します。エクイティで結びついた選手たちが、負荷の増える3年目をどう受け止めるか。ここが2027年の隠れた争点になると考えています。マイアミ集中型は、選手の消耗を抑える設計でもあったからです。

1月開幕、その前にまずWNBAのプレーオフ

アンライバルドの第3シーズンは2027年1月に開幕します。開幕がロードということは、日本のファンにとっても「どの都市で見られるか」が例年より読みづらくなるということです。開催都市の発表と選手発表は今月から順次進むので、贔屓の選手が参加するかどうかはここからしばらく目が離せません。まずは目前に迫ったWNBAプレーオフを追いながら、冬の3人制リーグがどんな地図を描いてくるかを待ちたいところです。

引用:https://www.tsn.ca/wnba/article/unrivaled-adding-more-travel-in-2027-amid-soaring-valuation-n1-49730499/

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です