デワナ・ボナー

プレーオフを逃した古巣を離れリーグ4位へ──ボナーがバイアウトで掴んだ3度目の頂点への執念

 

17年目のベテランが、シーズン最終盤に新しいユニフォームを着ることになりました。現地8月26日、デワナ・ボナーがアトランタ・ドリームと契約する見通しであることが、AP通信の取材に対して関係者から明らかにされています。第一報はジ・アスレチックで、報道の時点ではまだ正式発表前という段階です。ただ、プレーオフ進出を逃した古巣を離れ、リーグ4位につけるチームへ移るという構図は、彼女の意図をこれ以上ないほど鮮明に示しているように感じます。優勝2回の経験者が、キャリア最後になるかもしれない秋に何を賭けているのか。数字を並べていくと、その意味が見えてきます。

バイアウトから数日、ボナーが選んだのは4位のドリーム

流れを整理します。フェニックス・マーキュリーとボナーは今週初めに契約のバイアウトで合意しました。GMのニック・ユーレンは声明で「最後のポストシーズンになるかもしれない中で、タイトルを追う機会を彼女に与えるバイアウト合意をまとめました」と説明しています。ボナーは現地水曜にウェーバーを通過し、フリーエージェントとしてドリームに加わることになります。

移籍先の選択は偶然ではないはずです。マーキュリーは今季プレーオフ争いから脱落しており、ボナー本人が優勝を狙えるチームを求めていたことは早い段階から伝えられていました。そのドリームは現在リーグ4位。ライン・ハワード、アリーシャ・グレイ、エンジェル・リースという三本柱が機能しており、リースは8月24日のロサンゼルス戦で1試合26リバウンドというWNBA記録を打ち立てたばかりです。

皮肉なことに、ボナーがマーキュリーで戦った直近の試合は8月22日のドリーム戦でした。この試合で彼女は30分出場して12得点9リバウンド3アシスト、チームは89対99で敗れています。数日前まで倒そうとしていた相手のロッカールームに、いま自分が入っていく。ベテランの移籍としては、なかなか劇的な巡り合わせです。

通算8200得点、プレーオフ98試合という蓄積

ボナーの価値を測るとき、今季の平均得点だけを見るのは適切ではありません。今季は37試合に出場して26試合で先発、平均10.6得点6.1リバウンド1.5アシスト1.2スティール。フィールドゴール成功率39.4%、3ポイント26.2%という数字は、彼女のキャリア平均を下回ります。8月21日に39歳の誕生日を迎えたばかりの選手として、体力面の変化が出ていることは否定できません。

一方で通算成績は別の次元にあります。レギュラーシーズン572試合で8200得点、3429リバウンド、1234アシスト。平均14.3得点という数字を17年積み上げてきた選手は、そう多くありません。さらに重要なのがポストシーズンでの蓄積で、通算98試合に出場し1291得点、平均13.2得点6.8リバウンドを記録しています。しかもプレーオフでのフリースロー成功率は87.4%と、レギュラーシーズン通算の85.7%を上回っています。短期決戦で笛が鳴る場面が増えるほど、この確実性は効いてきます。

ドリームのロースターを見渡すと、ポストシーズンを何度もくぐり抜けた長身ウイングは決して多くありません。ハワードもリースもまだキャリアの前半にあり、短期決戦の空気に慣れているとは言い切れません。そこに98試合分の免疫を持った選手が加わる意味は、平均得点の数字以上に大きいはずです。

3ポイント26.2%をどう扱うかが起用の分かれ目

ここからは筆者の見立てです。ボナーの活用法は、おそらく「シューターとして置く」のではなく「ミスマッチを作る駒として使う」方向になると考えます。今季の彼女は3ポイント試投168本に対して成功44本、成功率26.2%と苦しんでいますが、2ポイントの成功率は53.1%と悪くありません。つまり、リング近辺やミドルレンジでの仕事はまだ十分に成立しているということです。

ドリームはリースがオフェンスリバウンドとペイントで数字を稼ぐチームです。そこにボナーが同時に立つとスペースが窮屈になる可能性があり、むしろリースがベンチに下がった時間帯のセカンドユニットで、彼女が起点になる形のほうが自然に思えます。フリースロー成功率84.8%という今季の数字も、終盤の競り合いでボールを預けられる根拠になります。

不確定要素は、チームへの合流がシーズン残り数試合というタイミングになる点です。カール・スメスコHCがどこまで彼女をローテーションに組み込むのか、そもそも短期間で戦術を消化できるのか。ここは実際のプレータイムを見るまで判断できません。

直近の日程と見どころ

ドリームは8月28日にホームでポートランド・ファイアと、8月30日には同じくホームでミネソタ・リンクスと対戦する日程が組まれています。特にリーグ首位を走るリンクス戦は、プレーオフを見据えた力試しの場になります。ボナーがこの2試合でコートに立つのか、立つとしてどのユニットで使われるのか。優勝2回のベテランがアトランタでどんな役割を担うのか、その最初のヒントが今週末に見られそうです。

引用:https://www.tsn.ca/wnba/article/bonner-to-sign-with-dream-after-mercury-buyout/

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