WNBAのシーズンが終わったあとの数か月を、選手たちはどこで過ごすのか。その問いへの答えとして生まれた3人制リーグ、アンリバルドが、3季目に向けて一気に踏み込みました。リーグ評価額は6億5000万ドル。前年の3億4000万ドルからほぼ倍増です。アレックス・バゼル社長はESPNに対し、2027年は遠征先の会場を前季の4倍に増やすと明かしました。最初に受けた印象は、このリーグがもう「オフシーズンの穴埋め」ではなく、独立した興行として自走し始めたということです。
6億5000万ドルと売上4500万ドル、2年目が残した数字
評価額の6億5000万ドルは、テン・ピラーズ・スポーツ・ファンドが主導したシリーズCの資金調達によるものです。当初の目標だった1億ドルを上回る規模で着地し、出資者にはカーメロ・アンソニー、ジーノ・オリエマ、アシュトン・カッチャー、アレックス・モーガン、トレイ・ヤングといった名前が並びました。バスケットボールの内側からも外側からも資金が集まった格好です。
売上も伸びています。2年目の売上は約4500万ドルと見積もられ、初年度の2700万ドルからおよそ1.7倍。そして最も目を引くのが、選手に配分されるエクイティ(株式の持ち分)プールです。参加選手が持ち分を得られるこの仕組みは、創設シーズンから550%以上ふくらみ、いまや2億ドル近い規模に達しています。評価額に対しておよそ3割に相当する分が選手側にある計算で、既存のプロリーグではあまり例のない構造です。
マイアミ一極から全米へ、2年でここまで来た
ナフィーサ・コリアーとブリアナ・ステュワートが立ち上げたアンリバルドは、創設当初、マイアミの専用施設にすべてを集約する形でした。全チームが同じ街に住み、同じ体育館で戦う。移動をなくすことで選手の消耗を抑えるという、はっきりした設計思想です。
その前提が昨季に動きました。初めてマイアミの外に出たのがフィラデルフィアで、この試合はエクスフィニティ・モバイル・アリーナにおける女子バスケットボールの観客動員記録を塗り替えています。プレーオフ準決勝はブルックリンのバークレイズ・センターで開催されました。つまり昨季の「遠征」は実質2会場です。
2027年はこれが4倍になります。単純に掛ければ8会場前後という計算です。しかも開幕戦を遠征地で行い、プレーオフもより大きな会場に持ち出す予定だといいます。一方でチーム数は据え置きで、昨季に6から8へ増やした枠はそのまま。ロスターサイズも変わりません。広げるのは箱と地図であって、中身ではない。その線引きがはっきりしています。
「何もテーブルから外さない」、拡大より定着を選んだ設計
バゼルは「常に先手を打ち、攻め続けることを強く信じています」と語り、フォーマットも都市も次に契約する選手も、何ひとつ選択肢から外さないと付け加えました。攻めの言葉ですが、発表の中身を細かく見ると、むしろ守りの手当てのほうが効いています。
昨季参加した選手の75%以上が複数年契約を結んでおり、3季目も戻ってきます。2027年のロスターは95%が契約済みで、選手の発表は今月から始まる予定です。チームを増やさず、ロスターも広げず、まず人を固めてから会場を広げる。順序としては堅実で、拡大の速さに供給が追いつかずに失速していった新興リーグを何度も見てきた身としては、この判断はかなり理にかなっていると感じます。
懸念があるとすれば、やはり移動です。マイアミ集約はもともと選手の消耗を抑えるための発明でした。1月に開幕するシーズンで遠征が増えれば、5月に始まるWNBAへ向けたコンディション作りと綱引きになります。会場を4倍にしながら選手の身体をどう守るのか。ここの設計が、3季目の実質的な勝負どころになるはずです。
今後の日程と見どころ
アンリバルドの2027年シーズンは1月に開幕予定で、参加選手の発表は今月から順次行われます。どの都市が遠征先に選ばれるのかも、これから明らかになる見込みです。WNBAは現在レギュラーシーズンの終盤で、プレーオフ進出争いが最終盤に入りました。今季を戦い抜いた選手たちが冬にどのユニフォームを着るのか、秋の楽しみがひとつ増えました。

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