2026年のWNBAレギュラーシーズンが幕を閉じ、プレーオフ出場を逃したフェニックス・マーキュリーに、次々と「変化」を求める声が押し寄せています。そんな中、チームの司令塔であるアリッサ・トーマスが口にした一言が波紋を広げました。「私はコーチじゃない、それを決めるのは彼らの仕事です」——。個人としては歴代最多アシスト記録を更新する充実のシーズンを送りながら、所属するチームは崩壊寸前の1年を過ごしました。組織批判とも取れる質問をあえて受け流したこの発言には、ベテランらしい距離の取り方と同時に、チーム内部の重苦しい空気もにじんでいるように感じます。
10勝30敗、栄光から一転した転落のシーズン
2025年にファイナル進出を果たしたマーキュリーは、2026年シーズンをまさかの10勝30敗、リーグ10位で終え、プレーオフ進出を逃しました。ディフェンスレーティングはリーグ11位、オフェンスレーティングも12位に沈み、攻守両面で機能不全に陥ったシーズンだったと言えます。木曜日に行われた最終戦では、ラスベガス・エーシズに82-100で完敗を喫しました。トーマスはこの試合で6得点7リバウンド9アシスト1スティールを記録し、シーズンアシスト数を358に伸ばしています。これは自身が2025年に打ち立てた357本という自己記録を更新するもので、1試合平均8.5アシストはケイトリン・クラークの8.3本を上回るリーグトップの数字です。チーム全体が沈む中でも司令塔としての役割を最後まで全うした格好ですが、個人成績が輝けば輝くほど、チーム成績との落差が際立つ皮肉な結果となりました。
68%継続のはずが機能不全に、サバリー退団とプラム負傷の余波
なぜここまでの落差が生まれたのでしょうか。背景には、2025年からの主力メンバーの出場時間の68%(6000分超)を維持しながら、肝心の部分で歯車が狂ったチーム事情があります。オフにサトゥ・サバリーがチームを去ったことで生まれた得点力とサイズの穴は最後まで埋まらず、シーズン中盤にはロサンゼルス・スパークスからケルシー・プラムをドラフト1巡目指名権と引き換えに獲得したものの、加入直後にシーズンを絶つ大怪我を負ってしまいました。前年の王者候補として期待されたロスターが、主力を欠いたまま迷走を続けた1年だったと言えるでしょう。継続性を重視した編成が、皮肉にも急な変化への対応力の乏しさとして跳ね返ってきた格好で、トーマス一人が数字を積み上げるほど、周囲との歯車のズレが浮き彫りになっていきました。
「基準に達していない」、ティベッツHCの言葉に滲む今後の課題
ネイト・ティベッツHCはシーズンを振り返り、「今年は私たちの基準に達していなかった。プレーオフに出場することこそ、この組織が目指すべき姿だ」と述べ、変革の必要性を率直に認めています。一方でトーマスは自らの去就や首脳陣の判断について多くを語らず、「それを決めるのは彼らの仕事」と一線を引きました。この距離感は、選手個人の責任と組織全体の意思決定を切り分けようとする、ベテランらしい振る舞いにも映ります。個人的には、この発言の裏には、選手として求められる仕事はやり切ったという静かな自負と、フロントへの無言のプレッシャーの両方が込められているように思えてなりません。今後はサバリー退団の穴をどう埋めるか、復帰するプラムの起用法、そしてティベッツ体制を継続するかどうかまで、オフシーズンに議論すべき論点は山積みです。歴代最多アシスト記録を更新したトーマス自身の来季の役割も、チーム再建の行方を占う重要な鍵になりそうです。
マーキュリーのオフシーズンの動向は、今後発表されるロスター編成やスタッフ人事の中で徐々に明らかになっていく見通しです。トーマスの記録的なシーズンや、これから本格化する他チームのプレーオフの戦いぶりと合わせて、マーキュリーの再建プロセスからも目が離せません。
引用:https://sports.yahoo.com/articles/m-not-coach-alyssa-thomas-012737829.html

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