アリッサ・トーマスのケイトリン・クラークへのハードファウルとそれに伴う1試合の出場停止をめぐる騒動は、当事者であるマーキュリーの内側だけでなく、被害を受けたフィーバー側からも新たな声を引き出しました。フィーバーのソフィー・カニンガムが、自身のポッドキャスト「Show Me Something Sophie Cunningham & West Wilson」で審判団とリーグの姿勢を真っ向から批判したのです。チームメイトを思う熱量と、長く積み上がってきた不満が一気に噴き出した発言で、これは単なる一選手の愚痴では終わらない重さを持っていると感じます。
「リーグも審判も守る気がない」カニンガムが語ったこと
発端は、トーマスがクラークの喉付近に接触したとされるハードファウルでした。WNBAはこのプレーに対してトーマスに1試合の出場停止を科しましたが、マーキュリーのナテ・ティベッツHCは土曜の試合前にトーマスを擁護し、処分のあり方そのものに不満を示しています。一方のカニンガムは、ポッドキャストの最新回でフィーバー側の本音を明かしました。
カニンガムによれば、試合のリアルタイムではチームの誰もあのプレーに気づいていなかったといいます。「もし見えていたら、絶対に彼女(クラーク)をかばっていた」と語ったうえで、こうした事態がクラークには毎試合のように起きているのに、審判もリーグも何の対応もしていないと指摘しました。さらに「もし自分たちのチームメイトに同じことをされたら、間違いなく激怒していた」とも述べ、相手チームがクラークを狙っていると断言。最後は「リーグも審判も、彼女を守るために何もしない」と踏み込みました。
繰り返される“クラークへの過剰な接触”という背景
カニンガムの怒りが共感を集めるのは、これが突発的な一件ではないからです。クラークは今季すでに負傷トラブルに悩まされており、トーマスとの一件の直後には背中の張りを理由にスパークス戦を欠場しています。プロ入り以来まだ24歳ながら、コート上で受ける激しいコンタクトと見逃されがちな判定は、フィーバーにとって繰り返しの悩みの種となってきました。
少し前にも、クラークは元同僚のデワナ・ボナーとの一触即発からテクニカルファウルと罰金を科される場面があり、フィーバーのステファニー・ホワイトHCも審判の“安全軽視”に公然と抗議しています。殿堂入り会見ではキャンドル・パーカーやエレナ・デレ・ドンヌといった往年のスターまでもが「選手を守れ」と声を上げました。つまりカニンガムの発言は、孤立した不満ではなく、リーグ全体に広がる審判問題の合唱に、現役選手として最も鋭い一節を加えたものだと言えます。
リーグが問われる“スターの守り方”という宿題
ここからの焦点は、WNBAがこの批判をどう受け止め、運用に落とし込むかです。トーマスへの出場停止は一定の対応ではあるものの、カニンガムが訴えるのは事後の処分ではなく、試合中にスターを守る笛が吹かれていないという構造的な問題です。リーグの人気を一気に押し上げた看板選手が毎試合のように激しい接触にさらされ、そのたびに負傷リスクを背負うのであれば、競技としての信頼にも関わります。
フィーバーにとっては死活問題でもあります。プレーオフ進出を本気で狙うなら、クラークが健康な状態でコートに立ち続けることが大前提です。チームメイトが公の場でここまで強い言葉を使った背景には、勝負どころで主役を失いたくないという切実な計算もあるはずです。リーグが「処分はした」で終わらせるのか、それとも判定基準そのものに踏み込むのか。カニンガムの一言は、その問いをファンと運営の両方に突きつけました。
今後の見どころ
当面の注目は、クラークの背中のコンディションと復帰のタイミング、そしてトーマス不在のマーキュリーがどう戦うかです。フィーバーがこの逆風を結束に変えられるか、審判の笛がどう変化していくのかも含めて、今後の試合は一つひとつが“守られないスター”問題の試金石になります。コート上のプレーと同じくらい、リーグの対応にも目を凝らしていきたいところです。

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