NBA選手会(NBPA)のデビッド・ケリー事務局長が、現行のサラリーキャップ制度の目玉である「第2エプロン」を痛烈に批判したと、ESPNが報じました。現地時間7月10日、ラスベガスでの記者会見で飛び出した「我々は第2エプロンのファンではない」という言葉は、2023年に導入されたこの制度をめぐる対立が新たな段階に入ったことを示しています。今オフの移籍市場を見てきたファンなら、この怒りの背景に思い当たる節があるはずです。
キャップ1億6500万ドル時代の「見えない天井」
現行制度では、サラリーキャップが1億6500万ドル、ラグジュアリータックスラインが2億40万ドルに設定されています。さらにその上に2億900万ドルの第1エプロン、2億2170万ドルの第2エプロンという2つの「見えない天井」があり、超過した球団には重い課徴金に加えて、トレードやFA補強、ドラフトに関する厳しい制限が科されます。
その結果、各球団は第2エプロン超えを徹底的に避けるようになり、2025-26シーズンに超過したのはキャバリアーズただ1球団でした。ケリー事務局長は「この制度はチームを解体し、バスケットボール上の判断ではない決断を強いている」と述べ、制度の緩和もしくは撤廃を要求しています。
ジェイレン・ブラウン放出と王者ニックスの選択
制度の影響は具体例に事欠きません。セルティックスは今月、2024年ファイナルMVPのジェイレン・ブラウンをセブンティシクサーズへ放出した際、第2エプロンを要因のひとつに挙げました。2026年王者のニックスでさえ、オーナーのジェームズ・ドーランが第2エプロン回避の方針を明言し、直後に控えセンターのミッチェル・ロビンソンがFAで流出しています。優勝した直後のチームが戦力維持を諦めるという、従来のNBAでは考えにくい光景です。
そして最も象徴的なのが、スパーズのビクター・ウェンバンヤマです。5年3億280万ドルの契約を結ぶ資格があったにもかかわらず、チームメイトの残留余地を残すために5年2億5200万ドルでの延長に合意しました。差額は実に5000万ドル超。ケリー事務局長は「選手にチームをまとめる負担のすべてを背負わせるべきではない」と、スター選手が減額を迫られる構図そのものを問題視しています。
「戦力均衡のため」というリーグの主張は正しいのか
リーグ側はエプロン制度を戦力均衡のための仕組みだと説明してきましたが、ケリー事務局長は「コスト管理が目的だ」と真っ向から反論しています。確かにNBAは直近8年間で8つの異なる球団が優勝するという史上初の戦国時代を迎えていますが、同氏が指摘する通り、この均衡は制度導入前から始まっていました。エプロンが均衡を生んだのか、それとも単に強いチームを早く解体させているだけなのか。因果関係の解釈が労使で真っ二つに割れているのが現状です。
選手会会長のフレッド・バンブリートは、GMやオーナー、エージェントからも制度への懸念の声が上がっていると明かしており、不満は選手側だけのものではなくなりつつあります。現行CBAは2028-29シーズン後にオプトアウトが可能で、それまでに部分的な修正で折り合えるかが焦点です。個人的には、ファンが好きなチームの「継続性」を楽しめなくなっている現状は、長期的にリーグの魅力を削ると感じます。
今後の注目ポイント
今オフはまだレブロン・ジェームズの去就など大型案件が残っており、各球団のエプロン対策が移籍市場を引き続き左右します。制度をめぐる労使の駆け引きは、2027年以降のスター選手の大型契約にも直結するテーマなので、続報が入り次第お伝えします。
引用:https://www.espn.com/nba/story/_/id/49329997/nbpa-players-carrying-burden-teams-due-second-apron

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