今週末に迫ったWNBAオールスター2026で、シカゴのサウスサイドに新しく開館したオバマ大統領センターが会場のひとつとして使われることになりました。プロスポーツリーグが同センターで公式行事を開くのは、これが初めてになります。発表を読んで最初に思ったのは、リーグが会場を「借りた」のではなく「選んだ」のだということでした。アリーナでもコンベンションセンターでもない場所にオールスターの中枢を置くという判断には、いまのWNBAが自分たちをどう見せたいのかがそのまま出ています。
7月24日に集中する3つの行事、舞台は約5600平方メートルの運動棟
オバマ財団の発表によると、センターで行われるのは現地時間7月24日金曜の3つの行事です。ひとつ目がオールスターのメディアデーと公式練習、ふたつ目が3年目を迎えるチェンジメーカー・デー、そして3つ目がジュニアWNBAデーになります。財団はメディアデーと練習について、この種の施設でオールスターの練習が行われるのは初めてだと説明しています。
会場となるのは、センター内にある延べ6万平方フィート、日本の感覚に直すと約5600平方メートルの運動棟「ホームコート」です。ここにはWNBAの公式規格に合わせたコートが備わっており、そのまま本番前日の練習会場として成立します。センターそのものはジャクソン・パークの19.3エーカー、およそ7.8ヘクタールに広がる複合施設で、博物館棟やフォーラム棟のほか、シカゴ公共図書館の分館まで併設されています。
チェンジメーカー・デーには、Ally、AT&T、AWS、CarMax、デロイト、Google、ナイキという7社のWNBAチェンジメーカーが参加します。実施にあたってはシカゴ・スカイ、シカゴの公立学校、そしてオバマ財団の取り組みであるガールズ・オポチュニティ・アライアンスと組む形です。ジュニアWNBAデーのほうは、バスケットボールの基礎クリニックに加えてパネルディスカッション、ビジョンボードのワークショップ、STEM系のプログラムまで用意されており、試合を見せるというより次の世代に体験させる設計になっています。
会場選びに透ける、リーグが欲しかったもの
オールスターの練習とメディアデーは、これまで試合会場そのものか、近隣のアリーナ、あるいは大型のコンベンションセンターで行われるのが通例でした。撮影動線や警備、報道陣の収容を考えれば、それがいちばん合理的だからです。今回わざわざ競技専用ではない文化施設を選んだのは、合理性とは別の物差しが働いた結果だと考えるのが自然でしょう。
オバマ財団CEOのバレリー・ジャレットは「スポーツには人々を結びつけ、次世代のリーダーを育てる意味ある機会をつくる力があると私たちは信じています」とコメントしました。キャシー・エンゲルバートコミッショナーも、同センターでオールスター行事を開けることは真の名誉だと述べています。言葉の温度差はほとんどなく、双方にとって組む理由がはっきりしている座組みです。
シカゴという開催地は、もともとリーグにとって都合のいい条件が揃っていました。スカイの本拠地であり、ウィントラスト・アリーナとユナイテッド・センターという規模の違う2つの器を使い分けられます。そこにサウスサイドの新施設を噛ませたことで、週末全体の見え方が変わりました。ダウンタウンのアリーナを回るだけの日程ではなく、地域の側に一日出向く日程になったからです。
「初」という肩書きは、来年以降のほうが効いてくる
この提携でWNBAが手にしたもののうち、いちばん長く残るのは「プロスポーツリーグとして初」という記録だと見ています。センターは開館したばかりで、これから何十年も使われる施設です。NBAやNFL、MLBがいずれ同じ場所でイベントを開いたとしても、最初の一枠はもう埋まっています。露出単価では測れないこの種の先取りは、リーグの規模が小さいうちほど費用対効果が高くなります。
一方で、注意して見ておきたい点もあります。ホームコートは本来、地域の子どもたちが日常的に使う施設として設計されたスペースです。オールスターの週末に大人と機材で埋め尽くされること自体は数日で終わりますが、その後にシカゴのユース向けプログラムがどれだけ残るのかまでは、現時点では追加発表待ちの部分が多く残っています。財団側もチェンジメーカー・デーと地域連携の詳細は後日発表するとしており、単発の花火で終わらせないかどうかは、むしろ8月以降の動きで判断されることになるはずです。
今週末の観戦情報
State FarmのWNBA3ポイントコンテストとKia WNBAシューティングスターズは、現地時間7月24日にスカイの本拠地ウィントラスト・アリーナで行われます。3ポイントコンテストの顔ぶれには、ウィングスのルーキーであるアジー・ファッドが唯一の新人として名を連ねました。そしてオールスターゲーム本番は7月25日、ユナイテッド・センターで開催されます。米東部時間の夜のスタートになるため、日本から追いかける場合は7月26日の午前中が観戦時間帯です。
コートの外側で何が起きているかを知っておくと、当日の映像の見え方も少し変わります。金曜の練習の背景に映り込む建物には、そういう文脈が乗っています。

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