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「冗談でも悪い結果を招く」──WNBAが自ら投稿した400ドル賭け動画で下した結論は“ベッカーズもリースも処分なし”

 

リーグ自身が火をつけた騒動に、ひとまずの結着がつきました。WNBAは7月30日、公式アカウントが投稿してすぐに削除した「ペイジ・ベッカーズとエンジェル・リースの賭け」動画について正式な声明を発表し、あわせて2人を処分しない方針が伝えられました。ESPNのアレクサ・フィリップーが関係者の話として報じたもので、罰金も出場停止もありません。落としどころとしては想定の範囲内ですが、声明の言い回しには、リーグがこの一件をどう位置づけたかがかなりはっきり出ていました。

「狙いを外した」と自ら認めた声明

声明はまず、投稿の意図が軽い遊び心にあったことを説明したうえで、選手たちはWNBAの試合に賭けることを禁じるリーグの方針を十分に理解しており、毎年その研修を受けているとも付け加えています。そのうえでリーグは「投稿が狙いを外していたと認識し、公開後まもなく削除し、内部で対処しました」と述べました。さらに、冗談のつもりであっても試合への賭けについて語ることは悪い結果を招きうる、という点を当事者に改めて伝える機会にする、と結んでいます。

処分そのものについて声明は踏み込みませんでしたが、その直後にフィリップーが関係者の話として、2人への処分はないと伝えました。削除された動画は、オールスターブレイク中に交わされた賭けについてベッカーズが質問される場面から始まり、400ドルとみられる札束を手にしたリースが内容を説明する場面へ切り替わり、どちらかが正式に合意する前に終わっていたとされています。つまり映像の中には、金額の確定も、賭けの成立も存在しません。この「未成立」という一点が、処分なしという判断を支えたと見るのが自然でしょう。

賭けの対象になった試合は、1点差の劇的な決着だった

皮肉なことに、賭けの対象とされた7月29日のドリーム対ウィングスは、今季屈指の終わり方をした一戦でした。ドリームが82対81で競り勝ち、これで4連勝。決勝点はアリーシャ・グレイのジャンプショットです。残り18.7秒、ウィングスが81対77とリードしていた場面でグレイの3ポイント試投にアリーケ・オグンボワレのフレグラントファウル1が宣告され、グレイがフリースロー3本をすべて沈めて1点差。さらに直後のインバウンズを受けたグレイが、密集の中から決勝ショットを沈めました。ドリームは最後の局面を15対5で締めています。

グレイはフィールドゴール8本中8得点を含む25得点、フリースローは9本中9本成功。リースはリバウンド12本、うちオフェンスリバウンド5本を記録し、ジョーディン・カナダは8アシストを積みました。敗れたウィングスはオグンボワレが24得点、ジェシカ・シェパードがリバウンド14本と踏ん張りましたが、終盤の綻びが響いています。試合後の会見でリースは、ベッカーズにApple Payの情報を送ると冗談を飛ばしていました。この軽さこそが、翌日にリーグが火消しに追われる原因になったわけです。

罰しても罰しなくても叩かれる状況で、なぜ「処分なし」だったのか

規定の文面だけを機械的に読めば、選手がWNBAの試合に賭けること、賭けを申し出ること、賭けを試みることは直接・間接を問わず禁じられています。額の大小や悪意の有無は本来関係ありません。それでもリーグが処分を選ばなかった理由は、単純明快だと思います。動画を撮影し、編集し、公開したのがリーグ本体だからです。ここで選手に罰金や出場停止を科せば、「自分たちで宣伝しておいて選手だけ切るのか」という反発は避けられません。

近年の北米プロスポーツはスポーツベッティングの拡大とともに賭博関連の不祥事に神経を尖らせており、リーグ側は一貫して厳格な姿勢を打ち出してきました。今回は八百長でもオッズ操作でもなく、ライバル同士の一杯賭けにすぎませんが、規定の定義には形式上あてはまってしまう。だからこそ、公に罰するのではなく内部で処理し、研修の再徹底という形で幕を引くのが唯一の現実解だったのでしょう。

ただし、この処理が前例として残る点は軽く見ないほうがよさそうです。今後、同じような場面で無名の選手が同じことをしたとき、リーグは同じ判断を下せるのか。個人的には、今回の一件を機に「試合に関する賭けについて公の場でどこまで語ってよいか」という運用指針を、選手向けにも制作チーム向けにも明文化しておく必要があると考えます。制作段階で誰かが止められる仕組みがなかったことこそ、今回いちばん露呈した弱点だからです。

8月2日のトレード期限と、その先の後半戦

リーグとしては、この話題をコートの中の出来事で上書きしたいはずです。WNBAのトレード期限は8月2日に設定されており、ケルシー・プラムやアラナ・スミスといった名前が連日飛び交っています。ここで大型の動きが起きれば、注目は一気にそちらへ移るでしょう。

一方の当事者2人は、後半戦の主役であり続けます。4連勝のドリームでリースはリバウンド争いの中心に居続けており、ウィングスのベッカーズは1点差の悔しさをそのまま次戦に持ち込む形になりました。8月2日の期限を越えた両チームがどんな陣容で再戦するのか、そのときこの400ドルの話がどう蒸し返されるのか。今季後半のちょっとした見どころが、思わぬ形でひとつ増えたことになります。

引用:https://clutchpoints.com/wnba/wnba-stories/wnba-news-league-breaks-silence-deleted-paige-bueckers-angel-reese-betting-post

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