2026年8月4日、クリーブランドのロケット・アリーナに詰めかけた観客の前で、WNBA16番目の球団となる新チームの名前がついに明かされました。チーム名は「クリーブランド・セイレーンズ」。エリー湖の神話に由来する、リーグにこれまで存在しなかった響きです。多くのファンが「ロッカーズ復活」を予想していただけに、この選択は良い意味での裏切りでした。ロゴを一目見た瞬間に、この球団は懐かしさに寄りかかるつもりがなく、新しい物語をゼロから始めるつもりなのだと伝わってきます。
参加料2億5000万ドル、2028年に16番目の球団として始動します
セイレーンズが公式戦に参加するのは2028年シーズンからです。オーナーはキャバリアーズを2005年から保有するダン・ギルバート率いるロック・エンターテインメント・グループで、エクスパンション参加料は2億5000万ドルと報じられています。ホームアリーナはキャバリアーズと同じロケット・アリーナ、練習拠点はオハイオ州インディペンデンスに専用施設を構える計画です。
ロゴのディテールがとにかく凝っています。ロイヤルブルーの地に白の「SIRENS」ワードマークを置き、その下をバスケットボールを抱えたセイレーンが泳ぐ構図です。球団の説明では、セイレーンの髪の毛の5つの先端が五大湖の数とバスケットボールの5つのポジションを同時に表しているとのことです。ワードマークの周囲に走る装飾線は、彼女の声が波紋のように広がる音波を意味します。セカンダリーロゴは3種類が用意され、トライデント(三叉槍)を組み込んだ筆記体の「S」、「CS」を配した全身像、そしてエリー湖から突き出た爪がボールを掴むデザインが並びました。カラーはサイレンズブルーとエリーブルーを基調に、差し色としてミントフォームが使われます。
「ロッカーズ」が戻らなかった理由と、25年の空白があります
クリーブランドはWNBA創設メンバーの街です。1997年に誕生したクリーブランド・ロッカーズは、2003年に消滅しました。当時のオーナーだったゴードン・ガンドが買い手を見つけられなかったことが直接の原因です。以来この街には、女子プロバスケットボールのチームが存在しない期間が20年以上続いてきました。
近年のWNBAはポートランド・ファイアのように過去の名前を蘇らせる流れが強く、今回もロッカーズ復活が有力視されていました。ところが実現しませんでした。SportsLogos.Netによれば、ミシガン州拠点のWomen’s Basketball League Inc.が「Cleveland Rockers」の商標を登録済みで、この点が影響した可能性があるとのことです。同社は「Detroit Shock」の商標も押さえており、2029年参入予定のデトロイトも同じ壁の前に立つ構図になります。ヒューストン・コメッツの復活計画が商標問題で難航しているという報道もありました。過去の名前を取り戻すコストが、新しい名前をゼロから作るコストを上回る時代に入ったということでしょう。
もっとも、セイレーンズはロッカーズを切り捨てたわけではありません。ロッカーズで1997年から3シーズンを過ごした殿堂入り選手のジャニス・ブラクストンが、チーム名を発表する映像のナレーションを務めました。カラーリングにも前身へのオマージュが込められています。
「無視できない存在になる」という宣言をどう読むかです
球団社長のアリソン・ハワードは発表の場で「端的に言えば、このチームは絶対に無視できない存在になります」と語りました。セイレーンは歌声で航海者を惹きつける神話上の存在ですから、「HEAR THE CALL(その声を聴け)」というスローガンとロゴの音波モチーフは、単なる語呂合わせではなくブランド全体を貫く設計思想になっています。名前・ロゴ・スローガン・発表演出のすべてが「声」という一本の軸でつながっているのは、近年のエクスパンションの中でも完成度が高い部類だと感じます。
気がかりなのは、PWHLに同名のニューヨーク・セイレーンズが存在することです。ただしFront Office Sportsによれば、両者はすでに話し合いを持っており、競技もマーケットも運営主体も異なるため商標上の争いにはならない見通しとされています。皮肉なことに、ロッカーズという過去の名前は商標で使えず、他リーグと丸かぶりの名前は問題にならないという結果になりました。
WNBAは2025年にゴールデンステート・ヴァルキリーズ、2026年にトロント・テンポとポートランド・ファイアが加わり、現在は15球団体制です。ここへクリーブランドが2028年、デトロイトが2029年、フィラデルフィアが2030年と続きます。リーグは2027年から1チームあたり50試合制へ拡大する方針も打ち出しており、球団数と試合数が同時に膨らむ局面に入りました。参加料2億5000万ドルという数字も、評価額10億ドルに到達したヴァルキリーズという先例を踏まえれば、決して割高な買い物とは言い切れません。
今後の見どころです
セイレーンズが実際にコートに立つまでには、まだ2シーズンの準備期間があります。ここから焦点になるのは、GMとヘッドコーチの人選、そして2028年のエクスパンションドラフトのルール設計です。既存15球団のプロテクト枠がどう決まるかによって、クリーブランドが初年度から戦える編成を組めるかどうかが左右されます。現行のWNBAは2026年シーズンのプレーオフ争いが本格化する時期に入っており、新球団のニュースを追いながら、今季の順位争いも合わせて楽しみたいところです。
引用:https://justwomenssports.com/reads/cleveland-sirens-branding-wnba-expansion-team-2028/

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