ソフィー・カニンガム

会場の外に約100人、賛否はほぼ半々──「バスケットボールに戻りたい」カニンガムが語った言葉と、水色のシャツで応えたリーブHC

 

WNBAの夏の主役が、コートの上ではなくコートの外に置かれてしまう。そんな数週間がインディアナ・フィーバーを包んでいます。渦中にいるソフィー・カニンガムが8月5日、一連の騒動についてあらためて口を開き、バスケットボールに話題を戻したいという趣旨の発言を残しました。ESPNが伝えたこの言葉は、批判の的にも支持の的にもなってきた本人が発したという意味で、ずいぶんと重い響きを持っています。

会場の外に約100人、賛否がほぼ半々で向き合った8月2日

きっかけは、先週ESPNが公開した記事の中でカニンガムが、女子スポーツにおけるトランスジェンダー選手の参加を制限すべきだという立場を語ったことでした。発言はすぐにアメリカ全土の議論に火をつけ、その余波が最も目に見える形で現れたのが、8月2日のミネアポリスです。

ターゲットセンターの周辺にはおよそ100人が集まりました。報道によれば、カニンガムの主張に賛同する人と、トランスアスリートは歓迎されるべきだと訴える人がほぼ半々で、同じ会場の外に並んだことになります。試合そのものはミネソタ・リンクスが108-100でフィーバーを退け、これで10連勝。オリビア・マイルズが28得点、コートニー・ウィリアムズが27得点と、コートの上でもリンクスが押し切りました。

そしてリンクスのシェリル・リーブHCは、ジャケットの下に「Trans kids belong」と書かれた水色のシャツを着てベンチに立っていました。試合中に何度もカメラが抜いたその胸元は、言葉を使わないメッセージとして機能していたと言えます。

試合前に歩み寄ったリーブと、「尊敬している」と返したカニンガム

この日いちばん興味深かったのは、実は抗議の人数でもシャツでもなく、試合前にリーブが自らカニンガムのところへ歩み寄り、直接会話を交わしていたことでした。SNSで一気に拡散されたこの場面について、カニンガムは「直接来てくれたことは尊敬しています」と振り返っています。

リーブ側もトランス女性への支持は明確にしたうえで、率直なやり取りだったと認めており、結果としては互いの立場の違いを認め合う形で終わったと伝えられています。SNS上では両者が衝突したかのように受け取られた場面でしたが、実際に起きていたのは、意見が正反対の二人が面と向かって話をしたという、きわめて古典的なやり方でした。ここは、騒動全体の中でも評価されていい部分だと感じます。

カニンガムはあわせて、本来焦点が当たるべき場所からずれていることへの苛立ちもにじませ、選手たちが非常に高いレベルでプレーしているのだから、そこに視線を戻してほしいという趣旨を語っています。

抗議はまだ続く。19勝11敗のフィーバーが背負う残りの夏

問題は、この話が8月2日で終わっていないことです。カニンガムの姿勢を受けた集会はフィーバーの直近3試合で行われており、さらに土曜のシカゴ・スカイ戦、そして8月22日のニューヨーク・リバティ戦でも予定されていると報じられています。つまりフィーバーは、シーズン終盤の最も大事な時期を、毎試合アリーナの外に人が集まる状況で戦うことになります。

カニンガム自身の数字を確認しておくと、ESPNの集計では今季ここまで23試合に出場して平均9.7得点、フィールドゴール成功率49.0%、3ポイント成功率43.8%(1試合平均4.2本試投)、平均出場時間は23.0分です。先発は3試合のみで、役割としてはベンチから流れを変えるシューターです。数字だけを見れば、これほどの騒動の中心に置かれる立場のスタッツではありません。話題の大きさと役割の大きさが噛み合っていない、というのがこの一件のややこしさでもあります。

フィーバーは19勝11敗で東地区5位。7月には1試合平均100得点を超える爆発力を見せ、シーズンの100得点試合数でリーグ記録も更新しました。攻撃力は本物です。だからこそ、コート外の話題で消耗する時間がもったいない、というカニンガムの主張には一定の説得力があります。一方で、リーブのように自分の信念を可視化する権利もまた選手やコーチにはあり、リーグとしてどこまでを「バスケットボールの話」とするのかは、これから何度も問われることになるはずです。

今夜はエーシズ戦。ここからの14試合が本当の勝負

直近の注目は8月6日(現地木曜)、ゲインブリッジ・フィールドハウスで行われるラスベガス・エーシズ戦です。ティップオフは現地午後7時。エイジャ・ウィルソン擁する強豪を相手に、フィーバーがどれだけ「バスケットボールの話」に戻れるかが、そのまま今後の順位争いの答えになります。

8日には敵地でシカゴ・スカイ戦が控えており、そこでも集会が予定されていると伝えられています。カニンガムが望んだ通りにコートの中身が主役に戻るのか、それともアリーナの外の光景が続くのか。ここからの数週間は、フィーバーというチームの強さだけでなく、成熟度も試される時間になりそうです。

引用:https://www.espn.com/wnba/story/_/id/49538591/amid-tension-cunningham-says-wants-get-back-basketball

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です