7月1日にポール・ジョージと複数の指名権と引き換えでセルティックスから76ersへ渡ったジェイレン・ブラウンが、8月6日にようやくフィラデルフィアで入団会見を開きました。トレードから1か月以上が経ってからの初会見です。会場に選ばれたのはニュージャージー州カムデンの練習施設ではなく、フィラデルフィア市内のフランシス・J・マイヤーズ・レクリエーションセンターでした。会見の内容も場所の選び方も、この移籍が本人にとって単なる住所変更ではなかったことを物語っています。
「携帯を部屋の向こうに投げた」
第一報を受け取った瞬間の話から会見は始まりました。トレードを知ったとき、思わず携帯電話を部屋の向こうへ投げたと、ブラウンは笑いながら明かしています。その後すぐにタイリース・マクシー、VJ・エッジコム、ジョエル・エンビードら新しいチームメイトから歓迎の連絡が届いたそうです。この日は背番号7の76ersのユニフォームを掲げて写真に収まり、フィリーズの試合で始球式まで務めましたが、それでも新しい現実はまだ完全には呑み込めていないと語りました。
印象的だったのは年数の話です。ボストンで過ごしたのは10年、現在29歳ですから人生のおよそ3分の1にあたります。「感情がいろいろあった」と語り、新しい街への高揚と、長く居た場所を離れる痛みが同居していることを隠しませんでした。誰もが日々こなしている類の変化であり、自分の場合はそれが公開されているだけだ、という言い方をしています。
ボストンでの終わり方と、テイタムとの距離
一方で、古巣との別れがきれいなものではなかったことも隠しませんでした。ブラウンはトレードの扱われ方に敬意を欠かれたと感じてきたと伝えられており、この日も何に不満だったのかを問われて「その過程すべて」と答えています。ただ詳細には踏み込まず、いつか語る日が来るかもしれないと述べるにとどめました。
ともに2024年の優勝を勝ち取ったジェイソン・テイタムについては、優勝を分かち合った相手にはリスペクトしかないと語り、76ersと対戦する日以外は活躍を願うとまで言い切っています。ただ、トレード後に話したかという質問への答えは「あまり」でした。10年並んで戦った2人の距離感が、この2文字に凝縮されています。
自身への批判にも触れました。数字上の価値、契約額、さらには人格への攻撃まで、この夏の音量は過去のどの時期よりも大きかったと認め、自分が病気だと言い出した人までいたと明かしています。そのうえで「クレイジーな過程であり移行だった」と振り返りました。5度のオールスターに選ばれた選手が、これほど値踏みされる夏を過ごした例はそう多くありません。
MVPよりも優勝、という優先順位
新天地での役割については、まだ完全には決まっていないと正直に述べています。ただ目的は明快で、勝つことが最優先事項だと繰り返しました。個人賞については、MVPもファイナルMVPも自分を動かすものではなく、集団で成し遂げるものだけが自分を動かすと語っています。
戦力面で見ると、ポール・ジョージとの入れ替えは76ersにとって単純な世代交代以上の意味を持ちます。29歳のウイングが1人でショットを作れることは、41歳のレブロン・ジェームズの負担を減らし、マクシーの周囲に置ける守備力の高い長身選手を確保することに直結します。ブラウンによれば選手同士のグループチャットは複数あり、レブロンもそこで活発に発言しているそうです。オフの段階でここまで会話量が積み上がっているのは、寄せ集めと言われがちな急造チームにとって小さくない材料です。
会見場所にレクリエーションセンターを選んだ理由も本人が説明しています。地域活動を続けてきた7uice財団の考え方に沿って、街との最初の接点を練習施設ではなく子どもたちがいる場所にしたかったということでした。
開幕までに見えてくるもの
76ersは10月の開幕に向けて、レブロン、エンビード、マクシー、ブラウン、エッジコムという顔ぶれをどう並べるかという難題に取り組むことになります。ボールを持ちたい選手が多いロスターで、誰が何本打つのかは秋のキャンプで最初に見るべきポイントです。携帯を投げた男が、10年間戦ってきた宿敵の街でどんな一年目を過ごすのか。東地区の勢力図を左右する物語が動き始めました。

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