開幕まで2週間を切ったベルリンのワールドカップについて、アメリカでの中継体制が固まりました。TNTスポーツが2026年FIBA女子バスケットボールワールドカップの放送陣を発表し、スタジオ解説の中心にリニー・モンゴメリーとティナ・チャールズが座ることになりました。名前を見た瞬間に思い出したのは、17年前に同じユニフォームを着ていた二人が、まったく違う立場で同じ大会に戻ってくるという事実です。選手として世界を目指した世代が、今度は言葉で大会を届ける側に回る。女子バスケットボールの成熟を、これほど分かりやすく示す人事も珍しいと感じました。
36試合すべてを届ける布陣と、9月4日開幕という現実
大会は9月4日から13日までベルリンで行われます。TNTはFIBAとの複数年契約に基づき、全36試合をTNT、truTV、HBO Maxの3つの窓口で放送します。一部の注目カードだけを抜き出すのではなく、全試合を並べて配信する形です。この契約は2027年の男子ワールドカップ、2029年のユーロバスケットまでカバーしており、女子大会が単発の企画ではなく長期の柱として位置づけられていることが分かります。
スタジオはローレン・ジバラが進行役を務め、モンゴメリーとWNBAオールスター8回のチャールズがメインの解説を担当します。さらにキャンディス・パーカーが要所で出演します。パーカーはプライムビデオのWNBA中継で主任解説を務め、TNTのアンリバルド番組でもスタジオを率いている存在で、いわば助っ人としての起用です。試合中継はブレンダン・グラシーンが実況、サラ・カストックが解説、アリー・ラフォースがサイドラインリポートに入ります。グラシーンはコネチカット・サンの主軸実況を務める人物で、カストックはブルックリン・ネッツの中継に加えてWNBA中継でも解説を重ねてきました。日々WNBAを見ている耳に馴染んだ声が、そのまま国際大会に持ち込まれる編成です。
2009年、39戦全勝のチームに二人はいました
モンゴメリーとチャールズの組み合わせが感慨深いのは、二人がUConnで同じ時間を過ごしたからです。2009年、UConnは39戦全勝で全米制覇を果たしました。しかも39試合すべてを2桁差で勝ち切るという、大学バスケットボールでも前例のない勝ち方でした。決勝のルイビル戦は76対54。チャールズが25得点19リバウンドで内側を支配し、4年生のモンゴメリーがマヤ・ムーアと並んで18得点を挙げています。
その後の道のりは対照的でした。チャールズはWNBAで8度のオールスターに選ばれる長いキャリアを積み、モンゴメリーは選手を退いたあと球団経営とメディアの世界へ進みます。2026年3月のNCAAトーナメントでは、体調を崩したケニー・スミスの代役としてCBSのメインスタジオに急遽入り、チャールズ・バークレーらと並んで初戦ラウンドの進行をこなしました。急な代打でも破綻しなかったことが、今回の起用につながっているはずです。選手時代の実績だけで解説席に座っているわけではない、という点が重要だと思います。
クラーク、ベッカーズ、リースの初舞台を誰の言葉で見るか
今大会はアメリカ代表にとっても節目です。サンフアンでの予選を全勝で通過し、5大会連続の世界一を狙います。そしてケイトリン・クラーク、ペイジ・ベッカーズ、エンジェル・リースの3人が、シニア代表としてワールドカップ初出場を迎えます。WNBAで観客動員と視聴率を押し上げてきた世代が、初めて国際大会の重圧にさらされる。ここでどんな解説が乗るかは、視聴体験を大きく左右します。
その意味で、モンゴメリーとチャールズという人選には意図を感じます。二人はいずれも代表経験と大学での頂点を知っており、若い3人が直面する「短期決戦での役割の変化」を言語化できる立場にあります。WNBAでは主役として20得点を積む選手でも、代表では守備やスペーシングで貢献を求められる場面が出てきます。そのズレを叱責でも擁護でもなく説明できる解説者がいるかどうかで、大会の見え方は変わるはずです。今季のWNBAが場外の話題に引っ張られる時間が長かったことを踏まえると、競技の中身に視線を戻す役割としても期待したいところです。
日本はグループA、初戦は9月4日のマリ戦
日本のファンにとって重要なのは、出場枠が前回の12から16に拡大したことです。2022年シドニー大会が過去最高の盛り上がりを見せたことを受けての拡大で、その恩恵を受ける形で組み合わせも4組に分かれました。日本はグループAに入り、スペイン、開催国ドイツ、マリと同居します。初戦は9月4日のマリ戦です。アメリカはグループDでチェコ、イタリア、中国と対戦します。
日本国内での放送・配信体制は本稿執筆時点で未確認のため、視聴方法については各自で最新情報をご確認ください。今回発表されたTNTの布陣はあくまでアメリカ向けのものですが、誰がどんな言葉で大会を語るかは、SNSを通じて日本のファンの目にも必ず届きます。9月4日、ベルリンで転がる最初のボールを待ちたいと思います。
引用:https://awfulannouncing.com/tnt-sports/fiba-womens-world-cup-broadcast-team.html

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