「フランスはかなり近くまで来ました」──ステュワートが鳴らした警鐘とベルリンの号砲

 

WNBAのレギュラーシーズンが終盤に差しかかるなか、9月4日開幕のFIBA女子バスケットボールワールドカップ2026に向けた話題が一気に増えてきました。そのなかでもっとも耳に残ったのが、ブレアナ・ステュワートがFIBA公式サイトで語った一言です。パリ五輪決勝でフランスに1点差まで詰め寄られた事実を、彼女は「警鐘」と表現しました。5連覇を狙う立場の選手が、開幕10日前にあえて危機感を口にしたところに、いまの女子バスケ界の勢力図が凝縮されているように感じます。

1点差の記憶と、開幕までの10日間

ステュワートが挙げたのは、2024年パリ五輪決勝の67対66という数字です。アメリカが金メダルを守りましたが、その差はわずか1点でした。「フランスはかなり近くまで来ました。それは私たちにとって警鐘であるべきです」と本人は語っています。同時に「フランスは素晴らしいプレーをしました。ただ、あれは私たちのベストの内容ではありませんでした」とも述べ、相手を持ち上げつつ自分たちの出来を厳しく見ている点が印象的です。

アメリカは4大会連続でワールドカップを制しており、ベルリンでは5連覇がかかります。ステュワートにとっては2018年大会のMVPを含めて4度目の優勝を狙う舞台です。31歳の彼女は、ダイアナ・タウラシがロスターを外れた今回、代表の精神的支柱を担う立場になりました。「特定の誰かの話ではなく、全員でどう貢献するかです」という言葉には、個の集合体からチームへ切り替える作業がまだ途中である、という含みも読み取れます。

8人のWNBA選手を送り込むフランスと、20歳のマロンガ

ではフランスはどこまで近づいたのでしょうか。フランスバスケットボール連盟は、ワールドカップに向けて8人のWNBA選手が代表に合流すると発表しました。FIBAのロスタートラッカーに並ぶ名前を見ると、ヴァルキリーズのギャビー・ウィリアムズ、リバティのマリン・ヨハネス、シックスプレーヤー賞の最有力候補であるジャネル・サラウン、そしてストームのドミニク・マロンガと、WNBAでそのまま主力を張る顔ぶれがそろっています。ポーリーヌ・アスティエ、レイラ・ラカン、カルラ・レイト、バレリアーヌ・アヤイらも名を連ね、層の厚さは五輪時よりむしろ増している印象です。

象徴的なのが、まだ20歳でオールスターに選ばれたマロンガの発言です。彼女はスー・バードのポッドキャストに出演した際、本人を目の前にして「歴史的にフランス代表は強かったのですが、いつも2位や3位でした。私たちは本気で金メダルを取りにいきたいのです」と語りました。アメリカ代表の運営責任者に直接ぶつけた言葉としては、なかなかの度胸です。アメリカが最後にワールドカップの金を逃したのは2006年で、そのときの優勝はオーストラリア、アメリカは3位でした。20年破られていない壁に、20歳が正面から手をかけようとしています。

ケイトリン・クラークとペイジ・ベッカーズが背負うもの

アメリカの12人には、アリーヤ・ボストン、ペイジ・ベッカーズ、ケイトリン・クラーク、ナフィーサ・コリアー、カリア・コッパー、チェルシー・グレイ、ライン・ハワード、ケルシー・プラム、エンジェル・リース、ステュワート、エイジャ・ウィルソン、ジャッキー・ヤングが入りました。若手を待望する声が強かった一方で、実績のある選手が多く残ったのは、フランスという明確な仮想敵を意識した編成だと見るのが自然でしょう。

そのなかでクラークとベッカーズは、サンフアンでの予選トーナメントでシニア代表デビューを済ませたばかりです。クラークはその大会のMVPに選ばれました。ステュワートは2人について「個人としては少し順番を待ってきた」と表現しており、単なる話題性ではなく戦力として迎え入れる姿勢が伝わってきます。興味深いのは、クラーク、ベッカーズ、ステュワートの3人がいずれもU19ワールドカップのMVP経験者だという点です。FIBAのルールと国際大会の間合いに慣れているかどうかは、40分間の短期決戦で想像以上に効いてきます。国内リーグとは違うフィジカルコンタクトの基準に、2人がどれだけ早く適応できるかが最初の関門になりそうです。

ベルリンの日程と、押さえておきたいポイント

ワールドカップは9月4日から13日まで、ドイツのベルリンで開催されます。アメリカはグループDに入り、中国、チェコ、イタリアと同組です。初戦は9月4日の中国戦で、現地時間12時15分の予定です。日本はグループAで、同じ9月4日にマリと対戦します。フランスとアメリカが顔を合わせるとすれば、順当なら決勝トーナメントの終盤ということになります。パリの1点差がベルリンでどう書き換わるのか、あるいは書き換わらないのか。ステュワートが自ら「警鐘」と言い切った以上、アメリカの試合はどれも、勝敗以上に内容を見る価値がありそうです。

引用:https://www.fiba.basketball/en/events/fiba-womens-basketball-world-cup-2026/news/stewart-usa-needs-to-answer-wake-up-call

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