プレーオフ進出を決めた夜に、ダラス・ウィングスの長年のエースが口にしたのは、たった7語の英文でした。「They got it right with the coaches」——コーチ陣の人選は正しかった、という意味です。今季ずっとチームにまとわりついてきた監督批判に対して、当事者の側から静かに幕を引く一言でした。勝利の余韻から出た社交辞令とは思えません。シーズンを通してロッカールームの内側を見てきた人間だけが持てる、重さのある反論だと感じます。
96対78、球団史上最多となる23勝目でつかんだ切符
8月25日、テキサス州アーリントンのカレッジパーク・センターで、ウィングスはポートランド・ファイアを96対78で下し、2023年以来となるプレーオフ進出を決めました。これで今季の成績は23勝16敗となり、1シーズンの勝利数としては球団史上最多です。敗れたポートランドは15勝23敗となり、創設初年度でのポストシーズン進出が消滅しました。
試合は立ち上がりから一方的でした。第1クオーターにいきなり9対0のランを浴びせ、前半を50対37で折り返します。第3クオーター中盤には13対0のランでリードを24点まで広げ、そこから相手に反撃の糸口を与えませんでした。ベッカーズが22得点11アシストのダブルダブル、ジェシカ・シェパードが21得点9リバウンド6アシスト、アワク・クイアーが12得点12リバウンドに3スティール5ブロックと、主力が横並びで数字を残しています。
そしてオグンボワレ自身は17得点4アシスト2スティールでした。今季の平均は14.8得点3.1アシスト3.1リバウンド、出場29.8分、フィールドゴール成功率は39.0%です。得点の主役をベッカーズに譲る形になり、キャリアの水準から見れば物足りない数字が並びます。それでもチームの勝ち星は劇的に増えました。この構図こそが、彼女の7語を重く響かせています。
勝率.226、監督2人解任からの1年
2023年にセミファイナルへ進み、最終的に王者エーシズに敗れてからの2年間、ウィングスの勝率はわずか.226でした。2度にわたってリーグ下位2チームに沈み、その間に2人のヘッドコーチが職を追われています。昨季は10勝34敗。今季の23勝16敗は、そこからわずか1年での反転です。
ホゼ・フェルナンデスが指揮官に就任したのは2025年10月でした。今回の進出により、WNBA史上38人目となる「就任1年目でプレーオフに導いたヘッドコーチ」になっています。それでも批判は絶えませんでした。誰を使わない、誰を使いすぎる——起用法をめぐる不満は、SNSやRedditのファンフォーラムでシーズン中ずっとくすぶり続けていたのです。ヘッドコーチという職業は、負ければ真っ先に名前を出され、勝っても最後まで称賛が回ってこない立場です。フェルナンデスはその典型でした。
本人は進出決定後、まだ多くが残っているとしたうえで、他チームの敗戦を待つのではなく自力で決めた点を強調しています。現地紙の試合リポートにも、その発言が残っています。
なぜオグンボワレの一言だけが効くのか
監督批判というものは、外側からはいくらでも積み上がります。それを本当に打ち消せるのは、成績でも会見でもなく、最も割を食っている選手の言葉だけです。オグンボワレはまさにその立場にいます。長年チームの得点源だった選手が、全体1位指名のベッカーズにボールと役割を明け渡していく過程は、どのチームでも軋轢の火種になり得ます。その本人がコーチ陣を肯定した意味は小さくありません。ロッカールームが割れていない、という最も信頼できる証拠だからです。
加えて今季のウィングスは、2026年ドラフト全体1位のアジー・ファッドを右膝の手術で欠いたまま戦っています。戦力を1枚削られた状態で球団記録の23勝に到達したこと自体が、指揮官の仕事ぶりを裏づけていると言えます。
ただ、ここからの現実は厳しいものです。シードの並び次第では、1回戦でリンクスかヴァルキリーズと当たる可能性が高くなります。どちらも真正面からぶつかって勝ち切るのは容易な相手ではありません。それでも、2年前の解体状態を知るファンにとって、この秋に見られる景色はすでに十分な前進のはずです。
次戦とワールドカップ中断、そして残り少ないアーリントン
ウィングスの次戦は日曜午後7時30分、カレッジパーク・センターでのコネチカット・サン戦です。これがベルリンで開催される女子バスケットボール・ワールドカップに伴う約2週間のリーグ中断前、最後の1試合になります。
この一戦にはもう一つの意味があります。ウィングスは2027年にダラスのアメリカン航空センターへ本拠地を移すため、カレッジパーク・センターで行われるレギュラーシーズンの試合は残りわずかです。対するサンも、来季からヒューストン・コメッツとして生まれ変わります。消えていく名前と、始まったばかりの再建。その両方が同じコートに並ぶ夜になります。
引用:https://highposthoops.com/arike-ogunbowale-shut-down-a-persistent-wings-narrative-with-only-7-words

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