マイケル・ジョーダン

現役はレブロン、殿堂入りはジョーダン——112票が示したGOAT論争の転機

 

史上最高の選手は誰かという議論に、ついに数字で答えを出そうとした記事が出ました。ホープスハイプのフランク・ウルビナが9月4日に公開した集計で、過去4年間に何らかのメディアでGOATを聞かれた現役・元選手112人の回答を数え上げたものです。結果はレブロン49票、マイケル・ジョーダン46票、その他17票。3票差という僅差以上に興味深いのは、回答者の属性でここまで割れるのかという内訳のほうでした。

現役は59.6パーセントがレブロン、引退組は52.7パーセントがジョーダン

集計を現役と引退で分けると、風景が一変します。現役57人のうちレブロンを選んだのは34人で59.6パーセント、ジョーダンは17人で29.8パーセントでした。一方、引退した55人ではジョーダンが29人の52.7パーセント、レブロンは15人の27.3パーセントにとどまっています。

生まれた年代別の内訳はさらに鮮明です。1960年代生まれ、つまりジョーダンと同世代でコートで対峙した層はジョーダンに大きく傾き、レブロンを選んだのはわずか2人でした。そのうちの1人がアイザイア・トーマスだったというのは、事情を知る人ほど笑ってしまう部分かもしれません。1970年代生まれは15人中9人がジョーダン、4人がレブロン。ところが1980年代生まれになると20人中ジョーダン7、レブロン9と拮抗し、1990年代生まれも20人中ジョーダン8、レブロン10。そして2000年代生まれの36人ではレブロン22、ジョーダン10と、一気に差がつきました。

サンプルの偏りと、殿堂入り12対2という数字

ここで注意したいのは、記事自身がサンプルの偏りを明記している点です。若い選手ほどポッドキャストやSNS向けの短い取材でGOATを聞かれる機会が多く、票そのものが若手寄りに傾く構造になっています。ウルビナはその影響でレブロンが得をし、ジョーダンが損をし、MVP受賞数でジョーダンを1つ、レブロンを2つ上回るカリーム・アブドゥル=ジャバーが埋もれてしまうと指摘しています。実際、1950年代生まれの層だけはアブドゥル=ジャバーが最多票でした。

その偏りを裏づけるのが、殿堂入り選手の内訳です。殿堂入り組はジョーダン12票に対しレブロン2票と圧倒的で、非殿堂入り組ではレブロン47票、ジョーダン34票と逆転します。オールスター経験者ではジョーダンが7票差で勝ち、未経験者ではレブロンが10票差で勝つ。MVP経験者に限れば、レブロンへの票はたった1票で、しかもそれは自分自身の発言でした。要するにこの112票は「誰が最も強かったか」ではなく「どの時代に育ったか」を測ってしまっている面があります。

元チームメイト票が示した、身内ほど厳しいという逆説

個人的に最も面白かったのは、元チームメイトの内訳です。ジョーダンの元同僚5人のうち4人はジョーダンを選び、唯一違う名前を挙げたスコッティ・ピッペンはマジック・ジョンソンでした。ところがレブロンの元同僚は、11人がレブロンを選ぶ一方で8人がジョーダンを選んでいます。マイアミで2度優勝を共にしたマリオ・チャルマーズ、盟友のドウェイン・ウェイド、レイカーズで並んだドワイト・ハワード、2020-21シーズンに一時期同僚だったアンドレ・ドラモンドがいずれもジョーダン票でした。

一緒に戦った相手ほど票が割れるという事実は、この論争の性質をよく表しています。近くで見た凄みと、伝説として受け取った凄みは別物なのだと思います。国際勢では11人中7人がレブロン、3人がジョーダンで、1992年のドリームチームの記憶を持たない若い世代が多かったことが影響しているはずです。コービー・ブライアントに5票が入り、ジェームズ・ハーデン、ジェイレン・ウィリアムズらが名前を挙げたのも、2000年代を誰と過ごしたかという話でしょう。

この数字は10年後に必ずひっくり返る

殿堂入りには引退から3シーズンの経過が必要です。つまり、いまレブロンと戦った世代が殿堂入りしていく10年後には、殿堂入り組の12対2はまるで違う姿になります。ウェンバンヤマがレブロンをGOATに挙げていることを踏まえれば、MVP経験者票の構成も遠からず変わるはずです。集計の全体像はホープスハイプの記事で確認できます。3票差という現在地は、答えではなく途中経過として読むのが正しいのだと思います。

引用:https://www.hoopshype.com/story/sports/nba/2026/09/04/research-who-do-nba-players-say-is-the-goat/91580567007/

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