FIBA女子バスケットボールワールドカップ2026が9月4日にドイツ・ベルリンで開幕し、4連覇中のアメリカが中国を94-61で下しました。スコアだけを見れば順当な圧勝ですが、中身はこれまでのアメリカとまるで違います。エイジャ・ウィルソンもケルシー・プラムもいないロスターで、スターターに名を連ねなかったケイトリン・クラーク、ペイジ・ベッカーズ、エンジェル・リースの3人がベンチから流れを作りました。世代交代の入口を、初戦からはっきり見せた一戦です。
クォーターごとに広がった33点差、鍵は2度のラン
試合は立ち上がりからアメリカのペースでした。第1クォーターを27-14で終えると、以降も21点を割ることなく22-15、21-13、24-19と積み上げ、最終的に33点差です。中国が食い下がった時間帯もありました。第2クォーター途中には33-25と8点差まで迫っています。しかしそこからアメリカが16-4のランを返し、前半を49-29で折り返しました。第3クォーターも53-37まで詰められた直後に17-5のランで突き放しています。AP通信の試合記事によれば、この後半のランを作った局面にいたのが、クラーク、ベッカーズ、リースの若い3人でした。
個人成績も興味深い内容です。クラークは25分の出場で14得点3リバウンド11アシスト、フィールドゴール4本成功9本試投、3ポイントは3本成功7本試投でダブルダブルを記録しました。25分はチーム最長の出場時間です。ベッカーズは20分で14得点4リバウンド4アシスト、フィールドゴールは9本中6本成功と高確率でした。ライン・ハワードも3ポイント11本試投で4本を沈めて14得点、ジャッキー・ヤングが12得点。この4人だけで54点を積んでいます。リースは17分で5得点9リバウンドと、得点よりもボードで存在感を残しました。
中国は身長221センチのチャン・ジユが13得点6リバウンド、フリースローは10本中9本成功。208センチのハン・シューが11得点10リバウンドでダブルダブルです。この2人が同時に立った第3クォーターは、アメリカがペイント内に踏み込みづらい時間帯になりました。ゴール下を固められた分、アメリカはアウトサイドから攻める設計に切り替えています。
2006年から続く31連勝、それでも今回は事情が違う
この勝利でアメリカのワールドカップ連勝は31に伸びました。最後の黒星は2006年大会の準決勝までさかのぼります。つまり20年近く、この舞台で負けていない計算です。ただし今大会の前提はこれまでと違います。エイジャ・ウィルソンとケルシー・プラムという中心選手2人が参加していないからです。インサイドの絶対的な軸を欠いた状態で、ベルリンに乗り込みました。
その穴を埋めるのが、ブレアナ・ステュワート(17分7得点7リバウンド)とナフィーサ・コリアー(19分4得点6リバウンド)というベテラン格に加え、クラークやベッカーズら20代前半の選手たちです。今回の初戦で、カーラ・ローソン率いるコーチングスタッフは出場した12人全員を10分以上使っています。誰か1人に頼らず、短い出場時間で強度を保つ設計です。ゴール下で高さ勝負を挑まず、3ポイントとトランジションで点差を作った試合運びも、この構成に沿った選択でした。
本ブログでも大会前に触れましたが、アメリカにとってこれが20回目のワールドカップです。歴代最多の優勝回数を誇るチームが、看板選手2人を欠いたまま5連覇に挑む。その第一歩としては、ひとまず合格点の内容だったと言えます。
本当の試練は準々決勝から、クラークの役割はどう変わるのか
注目したいのは、クラークの起用法です。ベンチスタートでありながらチーム最長の25分を任され、11アシストを配りました。得点役ではなく、ゲームを組み立てる側として使われています。この形が続くなら、アメリカの攻撃はクラークがコートに立つ時間とそうでない時間で、まったく別の顔になります。相手がスカウティングを進める大会後半、ここが狙われる可能性は十分にあります。
また、中国の高さに対してアウトサイド中心で戦った点は、次のラウンド以降で再検証されるはずです。フランスやオーストラリアのように、高さと外角の両方を持つ相手には同じ形が通用しない可能性があります。ハワードが3ポイント11本を打って4本という数字は、勝った試合だから気にならないだけで、確率が落ちた日には一気に苦しくなる数字です。ウィルソン不在のゴール下をどう補うのか。その解答が問われるのは、グループフェーズではなく準々決勝からでしょう。
個人的には、この大会のアメリカは「勝つか負けるか」より「どう勝つか」が見どころだと感じています。クラークとベッカーズという、リーグの未来を背負う2人が同じユニフォームで並ぶ時間は、そう多くありません。その化学反応が本物なのかどうかは、格上との一戦でしか確かめられないはずです。
今後の日程と観戦情報
グループフェーズは9月7日まで、準々決勝が9月10日、準決勝が9月12日、3位決定戦と決勝が9月13日にそれぞれ行われます。会場はベルリン・アリーナとマックス・シュメリング・ハレの2会場で、全36試合が組まれています。
日本代表はグループフェーズ初戦でマリを102-97で振り切り、第2戦は日本時間9月6日午前1時から開催国ドイツと対戦します。第3戦のスペイン戦は日本時間9月8日午前0時50分開始予定です。日本戦は地上波とCS、FODで連日放送され、DAZNが全試合をライブ配信します。47年ぶりの準々決勝進出がかかる一戦を、ぜひ見届けてください。
※FIBA女子バスケW杯2026

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