ドリームが13年ぶりのWNBAファイナル進出を決めた夜、勝利のあとにマイクを向けられたのは、この試合で21本中7本しかフィールドゴールを決められなかったライン・ハワードでした。シュートの調子が良かったとは言えない夜に、彼女が口にしたのは自分の得点ではなく、チームの守備の話です。個人的には、その選択こそが今季のドリームを象徴していると感じました。
85対83の接戦で決まった、スイープ完成の第3戦
10月9日(現地金曜)に行われたセミファイナル第3戦は、ドリームがリバティを85対83で下し、シリーズを3戦全勝で終えました。点差はわずか2点。ホームの声援を受けるリバティを相手に、最後まで主導権を渡さなかった試合です。
ハワードは21得点を記録しましたが、中身を見るとフィールドゴールは21本中7本、3ポイントは10本中4本、フリースローは5本中3本でした。決して効率の良い数字ではありません。それでも21点を積み上げ、4本の3ポイントを沈めています。リバウンド2本、スティール1本、ブロック1本と、守備面でも細かく貢献しました。
試合後のコメントで、ハワードは次のように語っています。「Our defense, man, whatever is happening on the other end, our defense never fails us.」自分たちの攻撃がどうであっても、守備は裏切らない。つまり、シュートが入らなかった自分を責めるのではなく、チームの土台に目を向けた言葉でした。さらに「夢が叶った」という趣旨の喜びも、自分だけでなく仲間全員のものだと話しています。
脇を固めた顔ぶれが示す、ドリームの層の厚さ
この試合は、ハワード一人の物語ではありません。アンジェル・リースが22得点9リバウンド、ジョーディン・カナダが19得点11アシスト、デワナ・ボナーが13得点13リバウンド、イソベル・ボーラーが10得点2スティールと、複数の顔ぶれが数字を残しています。
特に目を引くのは、ボナーの13得点13リバウンドというダブルダブルです。ベテランがゴール下を締め、カナダが司令塔として11本のアシストを配り、リースが得点とリバウンドで軸になる。ハワードのシュートが不調でも勝てるのは、役割の違う面々がそれぞれの持ち場で数字を出しているからでしょう。
加えて、チームの得点源の一人であるアリーシャ・グレイが第2戦と第3戦を欠場していた点も見逃せません。主力を欠きながらスイープを完成させたという事実が、今季のドリームの強さを裏付けています。
5戦全勝で駆け上がった、プレーオフの軌跡と記録の意味
ドリームはこのプレーオフを5勝0敗で突破しています。ミスティックスとリバティを、いずれも負けなしで退けた形です。レギュラーシーズンではイースタン・カンファレンスの1位で終えており、シーズンを通した安定感がそのまま短期決戦にも持ち込まれました。ファイナル進出は2013年以来となります。
ハワードにとって今季は5年目です。9月には1シーズンの3ポイント成功数で、イオネスクの持つ128本を超える129本というリーグ記録を更新していました。私が注目したいのは、記録を作ったシューターが、最も大きな舞台に立つ夜に守備を語ったという対比です。得点で目立つ立場の人が、守備に最初に感謝を向けるチームは、プレッシャーのかかる局面でも崩れにくいと私は考えます。
ヴァルキリーズとのファイナル、鍵はハワードの3ポイントか
ファイナルの相手は、創設2年目で勝ち上がってきたゴールデンステート・ヴァルキリーズです。第1戦は10月17日、米東部時間の午後3時30分に開始されます。
ドリームの守備が「裏切らない」という言葉どおりに機能するなら、勝負を分けるのは攻撃側で誰が流れを変えるかでしょう。この日のように効率が落ちた夜でも、ハワードは4本の3ポイントを沈めました。守備で相手を抑え、外から1本が入る。その形を作れるかどうかが、ファイナルでのハワードの価値を決めると思います。皆さんは、ファイナルの主役は誰になると考えますか。

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