新オーリンズ・ペリカンズのバスケットボール運営部門エグゼクティブVP、ジョー・デュマースが就任早々、NBA界を騒然とさせる大胆な決断を下しました。
2025年NBAドラフトで、ペリカンズは2026年の無保護1巡目指名権を含むパッケージで、13位指名権を獲得。メリーランド大のデリク・クイーンを指名しました。この「無謀」とも言える取引に対し、デュマースは堂々と反論しています。
「批判は気にしない。人々は『気にしない』と言うけど、私は本当に気にしない。フランチャイズを運営する時、チームを成長させるために必要なことを決断する。2つのロッタリーピックを獲得するチャンスがあった。そのためには何かを諦めなければならない」
「狂気の沙汰」「恐ろしい」アナリストたちが総攻撃
この取引に対する批判は凄まじいものでした。
ビル・シモンズ(ポッドキャスター) 「彼らは西地区にいるんだぞ。来年何が起きると思ってるんだ?」
ライアン・ルシロ(ESPNアナリスト) 「これは狂気の沙汰だと思う。ペリカンズの新しい経営陣は新しいアプローチを取っているが、恐ろしいと思う」
The Athletic ジョン・ホリンジャー 「取引直後から、リーグ中のエグゼクティブたちが笑い声を上げていた」
特にホリンジャーは、この2026年指名権を「スーパーファースト」と表現。その潜在的価値の高さを強調しました。
なぜこの取引が「無謀」なのか?4つの理由
1. ペリカンズの現状
- 2024-25シーズン:21勝61敗(西地区で下から2番目)
- ザイオン・ウィリアムソンの怪我癖は相変わらず
- ジョーダン・プールを獲得したが、彼のウィザーズ時代は15勝と18勝
2. ミルウォーキー・バックスとの連動 この指名権は元々バックスから獲得したもので、「ペリカンズとバックス、どちらか悪い方の指名権」がホークスに渡ります。つまり:
- ペリカンズが不調→高順位指名権を失う
- バックスが不調(ヤニス負傷やトレード)→同じく高順位を失う
3. 2026年ドラフトクラスの豊作 専門家は2026年を「エリート人材と層の厚さに富んだ」クラスと評価。トップ5、いやトップ10に入る可能性のある指名権を手放したことになります。
4. 保護条件なしの異常性 CBSスポーツは指摘します。「ホークスは本当に軽い保護条件すら拒否したのか?トレイ・ヤング獲得時(ドンチッチとのトレード)でさえ、保護条件付きだった」
デュマースの「攻撃的哲学」が生んだ賭け
デュマースは自身の哲学をこう語ります。
「我々は攻撃的なチームになりたい。このフロントオフィスでは攻撃的でいる。選手たちにも攻撃的であってほしい。私はキャリア全体を通じて攻撃的なチームと共にいた。それが常に良い結果をもたらしてきた」
実際、デュマースは就任後わずか10日間で3つのトレードを実行:
- インディアナから23位指名権を獲得(2026年1巡目と交換)
- CJ・マッカラムをワシントンに放出(プール、ベイを獲得)
- 問題の13位指名権獲得トレード
クイーンの自信「ドラフトの誰も俺より良くならない」
渦中の人物、デリク・クイーンは批判を追加のモチベーションに変えています。
「あのドラフトクラスの誰も俺より良い選手にはならないと思う。だから雑音は全部シャットアウトする。デュマースは俺を信じてくれている。高校時代、俺はあいつらのほとんどを倒してきた」
デュマースもクイーンを絶賛: 「彼のバスケIQは、このドラフトの誰と比べても引けを取らない。6フィート10インチの選手としては独特なスキルを持っている」
デトロイト時代の亡霊?デュマース&ウィーバーコンビへの不安
皮肉なことに、デュマースと共にペリカンズに加わったトロイ・ウィーバーGMは、つい最近ピストンズから解雇されたばかり。ピストンズは14勝68敗というフランチャイズ史上最悪の成績でした。
デュマース自身も2014年にピストンズを去って以来、10年ぶりのフロントオフィス復帰。彼の晩年のピストンズ時代は、悪いトレードとドラフトの失敗で埋め尽くされていました。
「自分たちの道を行く」強気の姿勢は吉と出るか
批判の嵐の中、デュマースは強気の姿勢を崩しません。
「私はこの仕事を長くやりすぎて、否定的な人々に信用を与えることはない。我々は自分たちの道を歩む。他の誰かのプレイブックには従わない」
確かに、もしクイーンがスターになり、ペリカンズとバックスが来季好成績を収めれば、この取引は「先見の明」と評価されるでしょう。
しかし、The Ringerが指摘するように「どう転ぶかに関係なく、今日の時点でのこの取引の価値提案は変わらない。ここでの言葉は『無謀』だ」
今後の注目ポイント:
- ザイオンの健康状態
- プール、ベイ、フィアーズ、クイーンの成長
- 2025-26シーズンの成績
- バックスの動向(ヤニスのトレード可能性)
- 2026年ドラフトでホークスが獲得する選手
デュマースの「攻撃的」アプローチは、ペリカンズを一気に競争力のあるチームに変えるか、それとも将来の希望を失う大失敗となるか。
答えは来年6月のドラフトで明らかになるでしょう。その時、デュマースの「批判は気にしない」という言葉が、自信の表れだったのか、それとも現実逃避だったのかが判明します。
引用:HOOPSHYPE

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