ケイトリン・クラーク

「7月24日までに回答せよ」米議会11議員がWNBAへ異例の書簡──クラークへの“暴力”にDOJ調査まで言及、当のフィーバーは「関知せず」

 

米連邦議会がついにWNBAへ直接動きました。7月8日(現地時間)、テキサス州選出のオーガスト・プフルーガー下院議員を筆頭とする共和党議員11名が、ケイトリン・クラークへの「度重なる攻撃」について説明責任を求める書簡を、キャシー・エンゲルバートコミッショナーに送付したのです。一選手へのファウルを巡る議論が連邦政治の舞台へ持ち込まれるのは、リーグ30年の歴史でも異例中の異例です。しかも当のフィーバーとクラークは「書簡のことは知らなかった」と距離を置いており、事態は複雑な様相を呈しています。

回答期限は7月24日──書簡が突きつけた3つの質問

書簡はクラークを「リーグの顔」と位置づけ、視聴率の押し上げや新規スポンサーの獲得に貢献してきた存在だと強調しています。そのうえで、ヒップチェック、目つき、そして直近の喉元への打撃といった「不必要な身体的敵意と暴力」を受け続けていると指摘しました。さらに議員団は、クラークへの攻撃が人種的動機に基づく可能性があるとする報道に懸念を示し、状況次第では司法省(DOJ)、労働省、雇用機会均等委員会(EEOC)による調査を支持するとまで踏み込んでいます。連邦公民権法違反に該当し得るという文言まで盛り込まれており、事実上の最後通告に近い強さです。

議員団がリーグに求めた回答は3点です。コート上の身体的敵意・暴力に関するリーグの審査プロセス、過度に攻撃的なプレーに対する選手への処分基準、そしてオンラインハラスメントから選手を守るための施策。期限は7月24日と明記されており、オールスターを目前に控えたリーグに残された時間はわずか2週間あまりしかありません。

発端は6月24日の「喉元への一撃」──騒動はここまで膨らんだ

今回の書簡の直接の引き金となったのは、6月24日のフィーバー対マーキュリー戦です。アリッサ・トーマスの拳がクラークの喉元に入ったプレーは試合中にファウルとならず、翌日のリーグ審査でフレグラントファウル2に格上げされ、トーマスには1試合の出場停止処分が科されました。しかしその後、トーマス本人と家族にSNS上で殺害予告を含む脅迫が届くなど、騒動はコートの外での選手個人への攻撃に発展しています。

クラーク自身も7月3日に「ハラスメントも憎悪も、決して許されることではありません」と語り、対戦相手を含むあらゆる関係者への攻撃を明確に否定しました。6月末にはチャック・グラスリー上院議員がこの問題に言及するなど政界の関心は段階的に高まっており、今回の11名連名による正式な書簡は、その流れがひとつの到達点に達したことを示しています。

当事者不在の政治問題化──フィーバーの声明が示すもの

注目すべきは、フィーバーが同日のシュートアラウンド後に発表した声明です。「私たちの組織もケイトリンも、この議員グループの誰とも接触しておらず、書簡について知りませんでした」と明言し、議員団との関係をきっぱり否定しました。選手の安全についてはリーグとの対話で継続的に訴えてきたと強調しつつ、政治的な動きとは一線を画す姿勢を鮮明にした形です。

筆者はこの声明こそ今回の核心だと見ています。クラークを巡る判定や物理的なプレーの議論は、本人やチームの意思とは無関係に政治問題へと変質しつつあります。守られるべき対象として名指しされたクラークが、7月3日の時点で誰への攻撃も許されないと訴えていた事実を踏まえれば、書簡の構図と本人の思いの間には少なくないずれがあると言わざるを得ません。リーグが期限までにどう回答するのか、そしてその内容が判定基準や処分運用の実際の変更につながるのか。エンゲルバートにとって、就任以来もっとも難しい2週間になりそうです。

関連情報

フィーバーは現在ロサンゼルス遠征中で、クラークは背中の負傷から復帰したばかりです。今月中旬にはオールスターウィークエンドも控えており、リーグの回答期限とほぼ重なるスケジュールで注目イベントが続きます。フィーバーの今後の試合日程はWNBA公式サイトで確認できます。

引用:https://www.espn.com/wnba/story/_/id/49309072/in-letter-lawmakers-seek-accountability-wnba-clark

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