今オフのFA市場で最も物議を醸す契約が生まれたかもしれません。ESPNの報道によると、ゲイリー・トレントJr.が4年総額6400万ドルでバックスに残留することで合意しました。代理人を務めるクラッチ・スポーツのリッチ・ポール氏とルーカス・ニュートン氏が明らかにしたものです。昨季平均8.1得点の選手への大型契約に、NBAファンの間では驚きの声が広がっています。
完全保証の4年契約、初年度は1520万ドル
報道によれば、この契約は4年間すべてが完全保証で、選手側・球団側いずれのオプションも付いていません。初年度サラリーは1520万ドルとされています。トレントJr.は前契約に含まれていたプレーヤーオプションを破棄してFA市場に出た経緯があり、結果として大幅な増額と長期の保証を勝ち取った形です。一方で昨季の成績は65試合出場(21試合先発)で平均8.1得点と、ルーキーイヤー以来の低水準でした。3ポイント成功率は36%を記録したものの、この数字での4年完全保証には懐疑的な見方が多く、SNS上では過大な契約だとする批判的な反応も目立ちます。数字だけを見れば、市場が騒然とするのも無理はありません。
ヤニス放出で一変した球団事情
ただし、この契約はバックスの現在地を踏まえて読む必要があります。ミルウォーキーは今年6月、フランチャイズの象徴だったヤニス・アデトクンボをヒートへ放出する歴史的トレードを敢行しました。見返りはタイラー・ハーロー、ケルエル・ウェア、ハイメ・ハケスJr.、複数のドラフト指名権という再建パッケージです。スーパースターの巨額サラリーが帳簿から消えた今のバックスには、キャップの余裕が生まれています。再建期のチームが計算できるシューターを確保しておくこと自体は、決して不合理ではありません。トレントJr.は2018年のNBA入り以降、ブレイザーズやラプターズで3ポイントを武器に評価を築いてきた選手であり、ミルウォーキーで過ごした直近2シーズンでチーム事情も熟知しています。父も元NBA選手という生粋のバスケットボール一家に育った27歳で、年齢的にも再建の時間軸と噛み合います。若返るロースターの中で、経験のある射手の価値は数字以上に大きいはずです。
割高か、それとも先行投資か
筆者の見立てでは、この契約の評価は「初年度1520万ドルをどう見るか」に尽きます。サラリーキャップが年々高騰する現在のNBAにおいて、年平均1600万ドルはミドルクラスの水準です。仮にトレントJr.が得点力を2桁台に戻せば一転して妥当な契約になり得ますし、ハーローと並ぶバックコートで出場時間が増えれば、その可能性は十分にあります。逆に昨季の低調が続けば、4年の完全保証が重荷になるリスクも否定できません。再建元年のチームが勝敗より資産形成を優先できる立場を利用した、いわば反発期待の先行投資。この賭けが吉と出るかどうかは、ハーロー中心の新体制がどれだけ早く形になるかに懸かっています。少なくとも球団は、勝敗を度外視できる再建初年度のうちに、ロッカールームの空気を知る貢献者へ報いる道を選んだということです。批判の的になりやすい契約ですが、再建期の編成としては一貫した論理があると筆者は見ています。
今後の注目情報
バックスはサマーリーグで若手のテストを続けており、新体制の輪郭はこれから見えてきます。来季の日程や試合情報はNBA公式サイトで確認できます。ヤニス擁するヒートとの対戦は、ハーローとトレントJr.の新生バックスにとって特別な一戦になるでしょう。
引用:https://www.espn.com/nba/story/_/id/49337401/gary-trent-jr-agrees-4-year-64m-deal-stay-bucks

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