背中の負傷による欠場から復帰したその夜に、ケイトリン・クラークがまたひとつWNBAの歴史を塗り替えました。7月12日(日本時間13日)、インディアナ・フィーバーは敵地ラスベガスでエーシズを109-75と圧倒。この試合でクラークは通算600アシストに到達し、キャリア72試合目での達成はWNBA史上最速記録となりました。出場時間制限付きの24分間でチームを勝利に導きながら記録も更新するあたり、彼女の「歴史を作るスピード」は衰えるどころか加速している印象すら受けます。
残り24.1秒のバウンスパスが歴史を刻んだ
この日のクラークは12得点(フィールドゴール11本中5本成功、3ポイントは5本中1本)、7リバウンド、6アシストという成績でした。腰から背中にかけての違和感が続いているため、現在は1試合20〜25分程度の出場時間制限が設けられており、この試合の出場は24分。数字だけを見れば派手さはありませんが、注目すべきはアシストの中身です。
試合前の時点で通算600アシストまで残り「6」。そしてクラークは第3クォーター残り24.1秒、モニーク・ビリングスへのバウンスパスできっちり6つ目のアシストを記録し、節目に到達しました。フィーバー公式は試合後、「No.22のさらなる記録(another record for No. 22)」とSNSで祝福しています。
チームとしても圧巻の内容でした。ケルシー・ミッチェルが27得点で6試合連続25得点以上をマークし、これはWNBA史上5人目の快挙。アリーヤ・ボストンが19得点11リバウンド、ソフィー・カニンガムも3ポイント6本を含む20得点と続き、第3クォーター途中からは43-9という信じられないランでエーシズを突き放しました。フィーバーは8日間で2度、ラスベガスの地でディフェンディングチャンピオンを撃破したことになります。
スー・バードの記録を次々と過去にする「最速女王」
クラークの「史上最速」はこれが初めてではありません。今季5月末には通算500アシストをわずか59試合で達成しており、レジェンドのスー・バードが持っていた82試合という従来記録を23試合も更新しました。さらに同じ59試合の時点で「通算1000得点&500アシスト」の同時達成もWNBA最速。今回の600アシスト・72試合は、その延長線上にある記録更新です。
振り返れば、ルーキーイヤーの2024年にはシーズン337アシストという当時の歴代最多記録を樹立しています(この記録は2025年にアリッサ・トーマスが更新)。デビューからわずか3年目で、アシストにまつわる主要な「スピード記録」をほぼ独占している状況は、彼女のプレースタイルがいかに規格外かを物語っています。
平均すると72試合で600アシストは1試合あたり約8.3本のペース。WNBAの歴史を見渡しても、キャリア序盤からこの水準でパスを供給し続けた選手は存在しません。得点力ばかりが話題になりがちなクラークですが、本質はリーグ史上屈指のプレーメーカーであることが、この数字からはっきりと読み取れます。
次なるターゲットは自身の337、そしてバードの3234
今季のクラークはここまで148アシストを積み上げています。背中の負傷で複数試合を欠場しながらのこの数字ですから、残り試合で健康を維持できれば、自身が持っていたシーズン300アシスト超えのペースに再び乗る可能性は十分にあります。
そして長期的な視野で見れば、スー・バードが保持する通算3234アシストという大記録が視界に入ってきます。単純計算ではまだ道のりは長いものの、クラークは現在24歳。バードが記録を積み上げたのは21シーズンに及ぶキャリアの賜物でしたが、クラークのペースが続けば、到達時期は歴代のどの選手よりも早くなるはずです。個人的には、記録更新の最大の敵は他の選手ではなく「背中の状態」だと見ています。フィーバーが慎重な出場時間管理を続けているのは、目先の1勝よりもこの歴史的キャリアを守るための投資と言えるでしょう。
チームの視点でも、この勝利でフィーバーは14勝9敗として東カンファレンス首位に立っています。クラークが制限付きでも試合の流れを作れることが証明された今、完全復活した際の破壊力を想像すると、後半戦の東地区は面白くなりそうです。
今後の注目カード
フィーバーは次戦、7月15日(日本時間16日)にホームで7連勝中のゴールデンステート・バルキリーズと対戦します。西の勢いあるチーム相手に、クラークのアシスト量産がどこまで伸びるか注目です。また、エーシズとの今季3度目の対戦はインディアナでの開催が予定されており、2連敗中のエイジャ・ウィルソン率いる王者の逆襲も見どころになります。試合の詳細はESPNのWNBAページでも確認できます。

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