WNBAの視聴記録がまた一つ塗り替えられました。7月8日に行われたインディアナ・フィーバー対ロサンゼルス・スパークス戦が、USAネットワークとCNBCの合計で平均104万人の視聴者を記録しました。米東部時間の午後10時以降に開始した試合で平均視聴者数が100万人を超えたのは、WNBAの歴史で初めてのことです。
この試合はケイトリン・クラークが約2週間ぶりに戦列復帰した一戦でしたが、出場時間はわずか16分でした。それでも平日深夜のケーブル放送に100万人以上を集めたという事実に、リーグを取り巻く環境の変化を改めて実感させられます。
悪条件が揃った深夜ケーブル中継で104万人という異常値
今回の数字が驚きなのは、視聴環境としてはほぼ最悪の条件が揃っていたからです。試合はロサンゼルス開催のため、人口の多い東海岸では水曜日の夜10時スタート。しかも地上波ではなくケーブル局のUSAネットワークとCNBCのみでの放送でした。
それにもかかわらず、スポーツメディアウォッチの報道によれば、この試合はUSAネットワークにおけるWNBA中継として史上最多の視聴者数を記録しました。USAスポーツ広報がニールセンのBig Data + Panelデータをもとに発表した数字では、2025年のWNBAケーブル平均と比較して149%増という伸び率です。
試合内容そのものは、フィーバーにとって苦いものでした。クラークは6月24日のフェニックス・マーキュリー戦で悪化させた背中の負傷から復帰したものの、16分の出場で9得点にとどまり、チームは92-106で敗戦。後半は一度もリードを奪えませんでした。それでも視聴者は最後までチャンネルを合わせ続けたのです。
100万人超えは16年間ゼロだった──2008年パーカー以来の風景が今や日常に
この数字の重みを理解するには、少し歴史を振り返る必要があります。クラークがリーグに加入する前、WNBAで平均100万人を超えた試合は、2008年のキャンディス・パーカーのプロデビュー戦(ABC・平均107万人)が最後でした。つまり約16年間、100万人の大台に乗った試合は一つもなかったのです。
ところが今季はどうでしょうか。開幕週のダラス・ウィングス戦はABCで平均249万人を集め、プレーオフやオールスターを含めても2000年以降で4番目の視聴者数となりました。さらにCBSで放送されたニューヨーク・リバティ戦は256万人で、同3番目の記録です。
注目すべきは、今季の視聴者数上位5試合がすべてフィーバーの試合だという点です。上位3試合はクラーク出場時ですが、残る2試合は彼女の欠場中に生まれました。7月5日のラスベガス・エーシズ戦はESPNの「ウィメンズ・スポーツ・サンデーズ」枠で155万人、その前週のスパークス戦はCBSで157万人を記録しています。同じESPNの日曜枠で放送されたリバティ対ヴァルキリーズ戦(74万3000人)やリバティ対スパークス戦(77万8000人)と比べると、およそ2倍の規模です。
クラーク不在でも数字が出ることの本当の意味
クラークが欠場した試合でも高視聴率が出ていることについて、「クラーク人気だけではない」という見方もあります。しかしアウトキックの分析が指摘するように、これはむしろ逆で、クラークがフィーバーというチームそのものをリーグ最大のテレビブランドに変えた結果と考えるべきでしょう。彼女が生み出した関心が、本人の欠場時にもチームへの注目として持続しているのです。
実際、リーグ全体の数字も伸びています。ESPNとABCの今季WNBA中継は平均130万人で前年同時期比6%増、今季から参入したUSAスポーツは平均51万2000人で、昨年のケーブル平均比22%増となっています。フィーバーが関わらない試合でも70万人台が珍しくなくなった現状は、数年前には考えられなかった水準です。
筆者はこの流れが、現在進行中の労使交渉にも大きな意味を持つと見ています。深夜のケーブル放送で100万人という実績は、選手側が待遇改善を求める際のこれ以上ない交渉材料になるはずです。テレビ局側にとっても、WNBAが曜日や時間帯を問わず数字の取れるコンテンツであることが証明された形で、次の放映権評価に確実に反映されていくでしょう。
次の注目は日曜ゴールデンの地上波再戦
フィーバーとエーシズは今週日曜、今度はNBCの「サンデーナイト・バスケットボール」枠で再び対戦します。7月12日の直接対決ではクラークが24分の出場で12得点を挙げ、フィーバーがエーシズに連勝しました。深夜のケーブルで104万人を集めたカードが、日曜夜の地上波でどこまで数字を伸ばすのか。次の視聴者数レポートにも注目です。
引用:https://www.sportsmediawatch.com/2026/07/indiana-fever-viewership-highs-with-without-caitlin-clark/

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