2026年7月25日、シカゴのユナイテッド・センターで行われたWNBAオールスターゲームで、シアトル・ストームのドミニク・マロンガが第2クォーターにダンクを叩き込みました。エンジェル・リースのアシストから生まれたこの一撃は、単なる派手なハイライトでは終わりません。オールスターの舞台でダンクを決めたのは、WNBA史上わずか7人目。しかも20歳のマロンガは、そのなかで史上最年少という記録つきです。「いつか決める」と誰もが待っていた瞬間が、最高の晴れ舞台で訪れました。第一印象は率直に、鳥肌もの、の一言です。
「史上最年少ダンク」の中身──63試合のおあずけを破った瞬間
ダンクが生まれたのは、守備がゆるくなりがちなオールスターらしい展開の第2クォーターでした。身長6フィート6インチ(約198センチ)のマロンガが速攻に走り込み、リースの浮かせるようなアシストを受けてリングへ叩き込みました。オールスターでのダンクは、リーグの長い歴史でも彼女が7人目、そして20歳は史上最年少です。
興味深いのは、マロンガがストームでの公式戦では、ここまで63試合を戦って一度もダンクを決めていなかったという事実です。ヨーロッパやオフシーズンリーグのアンライバルドでは決めており、2025年に入団した直後の初練習でもダンクを披露していました。つまり「できるのにやっていなかった」だけで、いつ飛び出すかがずっと話題になっていたのです。チームメイトのフロージェイ・ジョンソンが、決めなければもう口をきかない、と冗談交じりにプレッシャーをかけていたと報じられており、チームの空気も含めて注目の一撃だったことが伝わってきます。
カメルーン生まれ、15歳でプロ──「女子版ウェンビー」の異名
マロンガは2005年11月16日、カメルーンのヤウンデで生まれたフランス代表です。わずか15歳でフランスの名門ASVELフェミニンとプロ契約を結び、2024年のパリ五輪ではフランス代表として銀メダルを獲得しました。チーム最年少での表彰台です。長身とスピード、そしてダンク力を兼ね備えた稀有な存在として、ビクター・ウェンバンヤマになぞらえ「女子版ウェンビー」とも呼ばれてきました。2025年ドラフトでストームが全体2位で指名したのも、その将来性ゆえです。
ルーキーイヤーの2025年はオールルーキーチームに選ばれ、2年目の今季は先発に定着して得点・リバウンドを大きく伸ばしています。象徴的だったのが2026年6月22日のダラス・ウィングス戦で、自己最多となる37得点をフィールドゴール14本・成功率58.3%で記録し、12リバウンド、3ポイント2本、ブロック2本もマークしました。この試合で彼女は、30得点以上を挙げたWNBA史上最年少の選手になりました。さらに通算500得点・300リバウンド・200フィールドゴール・8度のダブルダブルにも、いずれもリーグ史上最年少で到達しています。記録の並びがそのまま、彼女の異次元さを物語っています。
6勝23敗のチームで輝く未来──ダンクが示す伸びしろ
ここで冷静に触れておくべきは、ストームが前半戦を6勝23敗というリーグ最下位の成績で折り返している事実です。数字だけを見れば、チームは苦しい戦いを強いられています。それでも、マロンガの成長曲線はチームにとって数少ない、しかし確かな光だといえます。最下位のチームからオールスターに送り出されたこと自体が、彼女の個人としての価値を証明しています。
筆者が注目したいのは、ダンクが持つ戦術的な意味です。WNBAではダンクそのものが希少で、トランジションでリングを直接狙えるセンターは相手にとって大きな脅威になります。マロンガがこの武器を試合のなかで日常的に使えるようになれば、ペイント内の常識を書き換える存在になり得ます。まだ20歳、伸びしろは計り知れません。オールスターでの一撃は、彼女が「未来」ではなく「今」の主役になりつつあることの合図なのかもしれません。
オールスターブレイク明けの後半戦へ
リーグはオールスターブレイクを経て、いよいよ後半戦に突入します。最下位からどこまで巻き返せるか、そしてマロンガが公式戦でも「次のダンク」を決めるのか。ストームの残り試合は、順位以上に一人の若きスターの成長を追う楽しみに満ちています。地元シアトルのファンはもちろん、日本からWNBAを追いかけるファンにとっても、マロンガの一挙手一投足はこの夏の見どころになりそうです。

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