リバティー イオネスク スチュアート

1000万ドル台で買ったリバティが今や6億ドル──ネッツとリバティを持つ夫婦が離婚、それでも「オーナーシップは1ミリも動かない」という異例の共同声明

 

現地時間7月31日、ブルックリン・ネッツとニューヨーク・リバティを保有するジョー・ツァイとクララ・ウー・ツァイ夫妻が、離婚の手続きに入っていることが明らかになりました。米ニューヨーク・ポスト系のPage Sixが最初に報じ、その後スポーツビジネス専門メディアのSporticoが夫妻の共同声明を伝えています。

正直なところ、最初に見出しだけを目にしたときは「リバティの経営体制が揺らぐのでは」と身構えました。ところが声明を読むと、印象はまったく逆になります。この夫婦は離婚を発表すると同時に、球団運営に関しては何ひとつ変わらないことを、これ以上ないほど具体的に宣言していたからです。

声明が名指しで否定した「4つの変化」

夫妻の共同声明は、役職を一つずつ挙げて現状維持を確認する形になっています。ジョー・ツァイは親会社ブルックリン・スポーツ&エンターテインメント(BSE)の会長にとどまり、ネッツのガバナー(統括オーナー)も継続します。クララ・ウー・ツァイはBSEの副会長、そしてリバティのガバナーを続けます。

声明は「これまでと同じようにプロフェッショナルな経営陣を置いたうえで、二人はチームを保有し、その守り手であり続けます」と結ばれています。さらにSporticoによれば、ジョー・ツァイが共同創業者を務めるアリババの保有株についても、今回の離婚による影響はないとされています。

BSEが抱えるのはネッツとリバティだけではありません。バークレイズ・センターの経済的権益、Gリーグ傘下チーム、練習施設、そしていくつかの不動産投資まで含まれます。この規模の資産を分割せずに済ませるという判断が、まず声明の一行目に置かれたことに、当事者たちの優先順位がはっきり表れています。

1000万ドル台の買収から始まった7年間

数字を並べると、この決断の重さがより立体的に見えてきます。夫妻がネッツの49パーセントの株式とバークレイズ・センターの権益を取得したのは2018年。翌2019年に33億ドルの評価額で経営権を完全に握り、これは当時の米国スポーツ球団の支配権売買として史上最高額でした。

リバティを買ったのは同じ2019年です。ジェームズ・ドーラン側から譲り受けた際の金額は、Sporticoの過去報道によれば1000万ドルから1400万ドルの間。当時のWNBA球団はそれだけの価格帯だったということです。

そして現在、Sporticoの算定ではネッツとアリーナ関連資産の価値は62億2000万ドル、リバティ単体で6億ドルとされています。買収額の下限1000万ドルを基準にすれば、リバティの価値はおよそ60倍に膨らんだ計算になります。2024年にはジュリア・コック一族が60億ドル評価でBSEの15パーセントを取得しており、外部資本からの評価もこの数字を裏づけています。

「所有」より「継承」に軸足を置いた発表

今回の声明でもっとも興味深いのは、離婚の話をしながら、次の世代の話に踏み込んでいる点です。夫妻は長年の関係が「事業を一緒に運営し、子どもたちを一緒に育てるという、よりパートナーシップに近いものへと変化していった」と説明し、円満な別れであること、そして子どもたちを長期的な球団保有に関与させていく計画であることを明かしています。

WNBAにとって、これは小さくない意味を持ちます。リーグは新CBAと拡張の真っただ中にあり、球団価値が跳ね上がっている一方で、オーナーの離脱や売却がそのままチームの不安定さに直結する構造も抱えています。リバティは2024年にフランチャイズ初の優勝を果たし、その後にマイノリティ出資を4億5000万ドル評価で受け入れた球団です。ここで所有者が入れ替わっていたら、リーグ全体の温度感にも影響したはずです。

裏を返せば、今回の発表は「オーナー個人の私生活と球団経営を切り離せる程度には、BSEの経営が仕組み化されている」ことの証明でもあります。プロの経営陣に任せてきたという一文は、単なる体裁ではなく、実務上そうしてきたからこそ書ける言葉だと感じます。

リバティの現在地とこれから

リバティにとってここからはシーズン後半の勝負どころで、トレード期限を挟んだ数週間がプレーオフの序列を左右します。ブレアナ・スチュワートとサブリナ・イオネスクを軸にした陣容がどこまで積み上げられるか、そしてバークレイズ・センターでの本拠地戦がどんな空気になるか。オーナーシップが動かないと確認された今、ファンが見るべきはコートの上の話に戻ります。

日本からの視聴はWNBA League Passのほか、NBA Rakutenでも一部試合が配信されています。最新の日程はWNBA公式スケジュールで確認できます。

引用:https://www.sportico.com/business/team-sales/2026/joe-clara-tsai-divorce-nets-liberty-ownership-1234940715/

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