ケルシー・プラム

今季限りでFAになるプラムに1巡目指名権を差し出したマーキュリー、プレーオフ圏6ゲーム差・残り14試合で弾いた140万ドルの計算

 

トレード期限の直前にケルシー・プラムがロサンゼルス・スパークスからフェニックス・マーキュリーへ渡った一件は、日本のファンの間でも「なぜ今なのか」という疑問とセットで受け止められました。移籍から数日が経ち、その疑問に別の角度から光を当てる情報が出ています。プラムは今季終了後にFA市場を試す意向を持っている、と米メディアが報じたのです。つまりマーキュリーが確実に手にしたのは、残り14試合ぶんの出場権にすぎない可能性があります。第一印象を正直に書けば、これは相当に強気な、というより腹をくくった買い物です。

12試合で23.9得点、キャリア最高の数字を残したまま止まった

まずマーキュリーが何を獲得したのかを、数字で確認しておきます。プラムは今季12試合の出場で平均23.9得点、6.4アシスト、2.2リバウンド。フィールドゴール成功率52.7%、3ポイント成功率38.3%は、いずれも9シーズンのキャリアで最も高い数字です。昨季スパークスで残した平均19.5得点・5.7アシスト、成功率42.2%と並べれば、伸びの大きさは一目でわかります。

ところが、この上昇曲線は6月21日で止まりました。下腿の負傷により当初は最低4週間の離脱と診断され、結果としてスパークスの直近11試合を欠場しています。平均出場時間34.5分はキャリアで2番目に長く、それだけ負荷のかかったシーズンでもありました。移籍が決まった時点でプラムは、キャリア最高のシーズンを未完成のまま新しいチームへ持ち込む形になったわけです。

対価は2027年1巡目、そして半年後にはFA市場

スパークスがマーキュリーから受け取ったのは、2027年の1巡目指名権、ガードのモニーク・アコア・マカニ、そして2028年の2巡目指名権でした。11勝17敗で今季の現実を受け入れたスパークスにとっては、資産を再建用に組み替える判断です。

問題はマーキュリー側の勘定です。プラムが結んでいるのはスパークスと交わした単年契約で、今季が終わればFAになります。新CBAの下でプラムはスーパーマックスに相当する年俸140万ドルの資格を持っており、その水準を市場で求めるだろうと見られています。ESPNのケンドラ・アンドリュースの報道によれば、プラムはオフに一度きちんとFAの過程を踏むつもりで、そのうえでマーキュリー残留も選択肢から外れてはいないとのことです。裏を返せば、確約は何もありません。米ヤフー・スポーツの記事も、この報道を軸に移籍の構図を整理しています。

6ゲーム差・残り14試合という条件で、それでも動いた理由

ここからは筆者の見立てです。マーキュリーは現在11勝19敗で、プレーオフ圏の8位につけるワシントン・ミスティックス(16勝12敗)とは6ゲーム差。残り14試合で埋めるには、ほぼ全勝しても届くかどうかという距離です。今季のプレーオフ進出だけを目的にしたトレードとは、正直に言って考えにくい。

より自然な読み方は、オフのFA交渉を有利に進めるための前払いです。移籍先を選ぶ側であるプラムに、アリッサ・トーマス、カリア・カッパーと並ぶ環境を14試合ぶん先に体験してもらう。指名権2枚は、その体験に対する対価と見ることもできます。マーキュリーのゼネラルマネージャー、ニック・ウレンは獲得発表でプラムを「リーグで最もダイナミックな選手の1人」と評しました。長く狙い続けてきた相手に対し、期限最終盤で腹を決めたということでしょう。

もっともリスクは明白です。復帰後のプラムが本来の状態に戻らなければ、あるいはオフに優勝を狙えるチームを選べば、マーキュリーの手元には何も残りません。指名権2枚を失ったうえで、11勝19敗という現在地からやり直すことになります。ハイリスクという言葉がこれほど素直に当てはまる補強も、そう多くはないはずです。

デビュー戦は日本時間4日午前10時、敵地シカゴ

プラムはシカゴでチームに合流しました。マーキュリーはここから3連戦のロードに入り、初戦のシカゴ・スカイ戦は日本時間8月4日午前10時にティップオフを迎えます。ただし、この試合でプラムが出場するかどうかは決まっていないと報じられています。トレード前のスパークスでもベンチスタートと出場時間制限が想定されていたうえ、大陸を横断する移動が加わりました。慎重に判断される可能性は十分にあります。

答え合わせが始まるのは、おそらく今日ではありません。本当の答えが出るのは今季が終わり、プラムが自分の名前を市場に置いたときです。

引用:https://sports.yahoo.com/wnba/article/kelsey-plum-reportedly-intends-to-explore-free-agency-after-trade-to-mercury-but-could-re-sign-with-phoenix-152828754.html

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