拡張チームの1年目がどれだけ過酷かは、順位表よりも負傷者リストを見たほうが早く伝わることがあります。トロント・テンポの2026年シーズンは、まさにその典型です。西海岸ロードトリップの初戦となった現地8月2日のヴァルキリーズ戦を、テンポはチーム最多得点のマリーナ・メイブリーを欠いた状態で迎えることになりました。理由は首の負傷です。結果は96-79の敗戦で、連敗は6に伸びました。ただ、この夜の本題は敗因ではなく、開幕から一度も途切れていない負傷の連鎖のほうだと感じています。
平均20.9得点が抜けても、前半を1点差で折り返しました
メイブリーは今季平均20.9得点でチームの得点源を担っています。首の負傷での欠場は6月27日にもありましたが、あのときは次の試合まで1週間以上の猶予がありました。今回は次戦まで約48時間しかありません。状態はデイ・トゥ・デイと伝えられています。
第1の得点源を欠いたにもかかわらず、テンポは前半をわずか1点差で折り返しました。崩れたのは第4クォーターで、ここを18-29と取られたことが最終的な17点差につながっています。リバウンドでは34-26と上回っており、内容そのものが一方的だったわけではありません。前半に一度ロッカールームへ下がったナイアラ・サバリーが戻ってきて19得点8リバウンドとチーム最多を記録した点も、この日の数少ない明るい材料でした。
この敗戦でテンポは10勝19敗、リーグ13位です。プレーオフ圏最後の8位につけるリバティとは6.5ゲーム差が開きました。6連敗はリーグで2番目に長く、直前のリンクス戦では今季最大となる32点差の敗戦も喫しています。
「27年目ですが、こんなものは経験したことがありません」
指揮官サンディ・ブロンデロが試合前に語った一言が、このチームの現状をすべて説明しています。「リーグで27年目になりますが、こんなものは経験したことがありません」。長くこのリーグを見てきた人物が、負傷の多さについてそう口にしたわけです。
実際、テンポは今夏の29試合で、負傷者リストが空欄になった日が一度もありません。ブリトニー・サイクスはオールスター級の働きを見せていた最中に左足底腱膜を痛め、6月19日から離脱したままです。ルーキーのキキ・ライスは足首の捻挫でおよそ2か月を棒に振り、先週ようやく戻ってきたばかりでした。インサイドを支えるサバリー、イザベル・ハリソン、テミ・ファグベンリの3人が同時に使える試合は、今季ほとんどありません。
拡張チームは、そもそも駒の枚数で他球団に劣ります。そのうえで主力が代わる代わる抜けていくと、ローテーションは崩壊ではなく毎試合の作り直しになります。10勝19敗という数字は、戦力が足りないというより、同じ5人を並べ続けられなかった結果に近いと見ています。
悲観しなくていい理由は、1巡目指名権を守り切ったことです
それでもテンポの現在地は、思われているほど暗くありません。トレード期限直前にサンから獲得したアニーサ・モローは、平均8.9リバウンドをマークしており、加入した時点でチームのリバウンド王になります。サンでの直近2試合ではいずれも21得点を挙げていました。日曜は当日にチームへ合流したため出場を見送りましたが、遠くない時期にデビューする見込みです。
注目したいのは、この補強で1巡目指名権を手放していない点です。順位が下位に沈んでいる以上、来年のドラフトロッタリーで上位を引く可能性は現実的な資産になります。目先の勝ちを買うために将来を差し出さず、足りないポジションだけを埋めた形です。1年目の球団にとって、勝率よりも守るべきものが何かをはっきり示した判断だと考えます。
これから見るべきポイント
当面の焦点は3つです。メイブリーが首の状態を戻して復帰できるか、モローがいつテンポでのデビューを飾るか、そして復帰したライスがどこまでコンディションを上げられるかです。
テンポは中1日を挟み、同じヴァルキリーズとチェイス・センターで再戦します。現地火曜、日本時間では8月5日の午前です。同じ相手との連戦は、選手も指揮官もミニ・プレーオフシリーズのようだと表現します。前回の対戦から何を修正してくるのか、勝敗以上に見どころのある一戦になりそうです。

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