日本時間8月8日の午前、ワシントン・ミスティクスがアトランタ・ドリームを79-74で下しました。その瞬間、コートに立ってすらいなかったシアトル・ストームの2026年シーズンが、事実上終わりました。15チームが各44試合を戦い、上位8チームがプレーオフに進む今季のフォーマットで、進出の可能性が消えた最初のチームがストームだったのです。4度の優勝を誇る名門が、まだ8月上旬という段階で真っ先に脱落する。この事実そのものが、今季のWNBAで最も重い出来事のひとつだと感じます。
6勝27敗、最後の白星は7月6日
まず数字を並べます。ストームは33試合を終えて6勝27敗、勝率.182でリーグ最下位です。残り11試合をすべて勝ったとしても17勝止まりで、8位ミスティクスの18勝12敗にはもう届きません。だからこそ、ドリーム戦の結果が出た時点で自動的に敗退が決まりました。
チームは現在10連敗中です。10敗目は8月5日、敵地バークレイズ・センターでのニューヨーク・リバティ戦で、86-92の敗戦でした。最後に勝ったのは7月6日ですから、およそ1か月にわたって白星がありません。
さらに深刻なのは、今季すでに11連敗も経験している点です。シアトル・タイムズによれば、同一シーズンに2桁の連敗を2度喫したのはWNBAの歴史でストームが初めてとのことです。1度の大型連敗なら不運で片づけられますが、2度目となると構造的な問題を疑わざるを得ません。
ソニア・ラマンHCは連敗中の8月5日、守備の崩れについて「最初の局面はトランジションディフェンスです」と語っています(シアトル・タイムズ)。攻撃が止まった後に走られる、という最も直しにくい負の連鎖に入ってしまっていることがうかがえます。
創設1年目を下回る勝率という現実
ストームは2000年創設のフランチャイズです。2004年、2010年、2018年、2020年と4度優勝し、通算473勝448敗、プレーオフ進出は20回を数えます。スー・バードやブリアナ・ステュワートを擁して時代を築いた、リーグを代表する成功例のひとつでした。
その歴史と照らすと、今季の数字は際立ちます。創設1年目の2000年が6勝26敗、勝率.188。今の.182はその創設シーズンをすでに下回っています。1シーズンの最多敗戦記録は2023年の29敗ですが、残り11試合を考えれば、この記録の更新も現実的な射程に入りました。
背景も振り返っておきます。ストームは2024年、2025年と2年連続でプレーオフに進んでいました。ただし2025年は23勝21敗で1回戦敗退に終わり、球団は同年9月にノエル・クインとの契約を更新しない決定を発表します。後任として10月28日に就任したのが、WNBAで指揮を執る初のインド系となったラマンでした。MITで12年間ヘッドコーチを務め、メンフィス・グリズリーズとリバティでアシスタントを経験した指導者です。就任1年目でいきなりこの結果というのは、本人にとっても計算外だったはずです。
20歳のマロンガに残された11試合
それでも、この11試合が無価値かというと、まったくそうは思いません。理由は20歳のドミニク・マロンガです。
2005年11月16日生まれ、2025年ドラフト全体2位でストームに加わったフランス出身のセンターは、今季すでにチームの中心になっています。6月22日のダラス・ウイングス戦ではキャリアハイの37得点を挙げ、WNBA史上最年少の30得点到達者になりました。8月5日のリバティ戦でも31得点10リバウンドを記録しています。オールスター初選出時点で平均15.9得点7.4リバウンド、直近ではAthlon Sportsが16.9得点8.7リバウンドと伝えています。
負けているチームで20歳が平均16点8リバウンドを積み上げている、という事実の価値は決して小さくありません。プレーオフが消えたいま、ストームにとっての残り11試合は、マロンガや新人のフロージェイ・ジョンソン、今季全体3位指名のアワ・ファムにどれだけ長い時間と難しい役割を渡せるかを試す場になります。順位が下がるほど来季のドラフト指名権も上位に近づくため、短期的な1勝より育成の密度を優先する判断は十分に理にかなっています。
ラマン体制の評価も、勝敗ではなくこの11試合で若手が何を持ち帰るかで測るべきだと考えます。就任1年目に最悪の数字を経験したチームが、翌年どう跳ね返すか。そこまで含めて見届けたいシーズンです。
今後の試合情報
ストームの次戦は日本時間8月9日午前9時30分、敵地でのポートランド・ファイア戦です。プレーオフ敗退が決まってから初めての試合であり、選手たちがどんな表情でコートに立つのか、そしてマロンガに何分が与えられるのかが最大の見どころになります。

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