リバティー イオネスク スチュアート

五輪もW杯も金メダルの28歳が呼ばれなかった12人──アイオネスクが土曜に明かした本音と、視線の先にあるロサンゼルス2028

 

アメリカ代表の12人が発表された木曜の朝、そのリストにサブリナ・アイオネスクの名前はありませんでした。2024年パリ五輪の金メダリストで、2022年のW杯も制している28歳。4度のオールスター選出を誇る2020年ドラフト全体1位が、9月にベルリンで開幕するW杯のメンバーから外れたのです。落選を本人に伝えたのは、USAバスケットボールの女子代表マネージングディレクターを務めるスー・バードでした。ただ、なぜ自分が選ばれなかったのかについて、明確な説明はほとんどなかったといいます。それでも土曜に報道陣の前に立ったアイオネスクは、恨み言を並べるでもなく、驚くほど落ち着いた言葉を選びました。この受け止め方そのものが、キャリアの中盤に差しかかった彼女の現在地を映しているように感じます。

19試合で16.3得点、FT成功率90.5%──数字が語る「戻ってきた」28歳

まず押さえておきたいのは、アイオネスクが今季を万全の状態で始められなかったという事実です。2025年のプレーオフで負った故障の影響で、オフシーズンの3人制リーグ「Unrivaled」を全休し、リバティ合流も遅れました。実戦復帰は6月下旬です。

それでも数字は決して悪くありません。Basketball-Referenceによれば、8月4日時点で19試合に出場して平均16.3得点4.0リバウンド4.6アシスト、フィールドゴール成功率43.3%、3ポイント成功率35.8%、フリースロー成功率は90.5%に達しています。eFG%は52.5%で、通算の49.9%を上回る効率です。出場試合数が19にとどまっているのは、シーズン序盤を丸ごと欠場したためであって、パフォーマンスが落ちたからではありません。

直近の内容はさらに雄弁です。7月23日のスカイ戦では29得点、うち9点をラスト1分に叩き込んで95-94の逆転勝ちを演出しました。7月29日のスパークス戦ではブレアナ・スチュワートとともに113-109の打ち合いを制し、8月1日のマーキュリー戦では27得点10リバウンドで94-92の接戦をもぎ取っています。リバティは19勝13敗で東地区4位、直近3連勝と、ようやくチームの形が整ってきたタイミングでした。

「経験者」より「初出場」を選んだスー・バードの12人

今回の選考でアメリカが呼んだ12人には、ケイトリン・クラーク、ペイジ・ベッカーズ、エンジェル・リース、アリーヤ・ボストン、ライン・ハワードという5人のW杯初出場組が並びました。エイジャ・ウィルソン、ナフィーサ・コリアー、スチュワート、チェルシー・グレイ、カリア・カッパー、ケルシー・プラム、ジャッキー・ヤングという実績組と組み合わせた編成です。

裏を返せば、2024年パリ五輪の12人のうち5人が今回は招集されませんでした。アイオネスクはその一人です。2大会連続で金メダルを首にかけてきた選手が、代表から一度離れる。これは単なる個人の落選というより、代表チームの世代交代がついに実務レベルで動き出したことを示すサインだと見ています。

チームメイトのスチュワートは、この決定に驚きを隠しませんでした。同時に、アイオネスクがこの時間を体のコンディションを整え、プレーオフに向けた準備に充てようとしていることも明かしています。実際、アイオネスクは自分が経験してきた重みを理解した上で、新しく代表入りした選手たちを持ち上げる姿勢を崩しませんでした。「がっかりしているのは当然です」と口にしながらも、そこで止まらなかったのです。

2028年ロサンゼルスという、もう一つの現実的な目標

アイオネスクが公言した次の狙いは二つ。一つはリバティのシーズン終盤とプレーオフ、もう一つが2028年のロサンゼルス五輪です。

ここに冷静な計算があると考えます。2028年時点でアイオネスクは30歳。ガードとしてのピークは十分に射程内で、しかも開催地は本人が育ったカリフォルニア州です。加えて、今回のW杯で初招集された若手たちがそのまま2028年の12枠を独占するとは限りません。W杯は9月4日から13日までの短期決戦で、アメリカは4大会連続優勝を狙う中国戦から入ります。結果次第では代表の序列が再び動く余地もあります。

もう一点、見落とせないのが「今季の残りをどう使うか」です。故障で序盤を失った選手にとって、代表招集は本来なら名誉であると同時に、9月の3週間を消費する負担でもあります。リバティは昨季の王者ではなく、東地区4位で戦っている状況です。代表に行かないことで得た休養と調整期間を、そのままプレーオフの成績に転換できれば、落選は結果的にチームへのプラスになり得ます。皮肉な話ですが、アイオネスクにとっての最良の反論は、10月のコートで出す成績になるでしょう。

今後の試合と観戦のポイント

リバティは火曜にフィーバーとの一戦を控えています。ケイトリン・クラークとの直接対決であり、代表に呼ばれた側と呼ばれなかった側が同じコートに立つという構図でもあります。アイオネスクがどんな表情でこの試合に入るのか、注目する価値は十分にあるはずです。

そしてW杯は9月4日にベルリンで開幕します。アメリカは中国、イタリア、チェコと同じグループDに入り、今大会から出場国が12から16に拡大しました。クラークとベッカーズがシニア代表として初めて世界の舞台に立つ大会であり、その裏でアイオネスクがリバティのプレーオフを戦っている──2026年の秋は、そんな二つの物語が同時に進むことになります。

引用:https://nypost.com/2026/08/08/sports/liberty-star-sabrina-ionescu-turning-attention-to-two-big-goals/

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です