インディアナポリスに流れていた空気は、3日前とはまるで別物でした。試合前にコートへ姿を見せたステファニー・ホワイトを迎えたのは、ブーイングではなく歓声だったとAP通信が伝えています。ここ2週間ほど、フィーバーを取り巻いていた最大の火種は対戦相手でも審判でもなく、自軍のファンからの批判でした。その渦の中心にいた指揮官が拍手で迎えられ、チームは98対87でウィングスを退けています。ようやくバスケットボールそのものの話ができる一戦になったというのが、正直な第一印象です。
クラーク29点10アシスト、ベッカーズも29点で譲りませんでした
この夜の主役はやはり2人のドラフト全体1位でした。ケイトリン・クラークは29得点10アシスト、ペイジ・ベッカーズも同じく29得点を挙げ、指名順位が同じ2人の直接対決は最後まで見応えのある内容になりました。クラークはベッカーズについて、守る側にとって本当に厄介な存在であり、特にミドルレンジの精度が高いと評価し、第3クォーターに自分たちの守備の連携が崩れて何度も彼女をフリーにしてしまった点は自分たちの責任だと認めています。
支えたのは主役だけではありません。オールスターガードのケルシー・ミッチェルが23得点で得点ペースを維持し、オールスターセンターのアリーヤ・ボストンは16得点のうち10点を第4クォーターに集めました。長く批判されてきた守備も、前半と終盤の勝負どころではしっかり機能しています。フィーバーはこれで3連勝、直近10試合は8勝2敗となり、この夜を終えた時点でリーグ4位、日曜に対戦するアトランタ・ドリームに0.5ゲーム差をつけました。一方のウィングスは直近10試合で7敗と失速し、ワシントンと並ぶ7位タイに落ちています。
火曜の2分半が、金曜の歓声につながりました
この歓声の意味を理解するには、少しだけ時計を戻す必要があります。発端はシカゴのディジョナイ・キャリントンがインディアナのソフィー・カニンガムに犯したフレグラントファウルでした。ホワイトの当初の対応が「自分の選手を守っていない」と受け取られ、フィーバーファンの怒りが指揮官本人に向かいます。批判はファンの範囲にとどまらず、インディアナ州のマイカ・ベックウィズ副知事までが声を上げる事態になりました。
流れが変わったのが火曜日です。ホワイトは試合前に2分半にわたって語り、カニンガムへのファウルを「悪質だ」と明言したうえで、自分は常に選手の側に立ってきたと訴えました。その日フィーバーはリバティを106対92で下し、クラークをはじめとする選手たちが公然と指揮官を支持しています。そして金曜、ファンの側も態度を変えました。ホワイトは試合後、「本当のインディアナ・フィーバーのファンは素晴らしいです」と語り、長く自分に良くしてくれた人たちだと振り返っています。さらに、ロッカールームの中には互いを愛する空気があり、それを壊そうとする人たちがいることも分かっている、家族だと言うときは本気でそう言っているのだ、という趣旨の言葉も残しました。
「本当のファン」という線引きが示すもの
興味深いのは、ホワイトが感謝を口にしたとき、真っ先に挙げたのがファンではなく選手とスタッフだったことです。自分たちは互いを持ち上げてきた、そして自分は持ち上げてもらった側だ、という言い方には、この2週間で誰が味方だったのかを見極めた人の実感がにじみます。「本当のファン」という表現も、感情的な線引きというより、SNS上の声と会場に足を運ぶ人たちを分けて考えるという、指揮官なりの整理の仕方に見えます。
チームとしても、この一件はプラスに転じつつあるように映ります。外部からの圧力を受けた集団が結束するのはよくある話ですが、フィーバーの場合はそれが3連勝と守備の改善という形で出ている点が重要です。プレーオフの席順を争うこの時期に、コーチと選手の関係が疑われたまま戦うのは致命的でした。少なくともその不安は、金曜の歓声でひとまず消えたと言えます。
日曜はドリーム、来週はダラスへ
次の試練はすぐにやってきます。日曜の相手は0.5ゲーム差で追うアトランタ・ドリームで、勝てば4位の座をより確かなものにできます。さらに来週にはダラスへ乗り込み、この日の相手であるウィングスと再戦します。AP通信もこの金曜の一戦と来週のダラス戦がプレーオフの前哨戦になり得ると指摘しており、クラークとベッカーズの再対決を期待するファンも多いはずです。順位表の圧力が増すこれからの数週間で、金曜に生まれた一体感がどこまで続くのか。フィーバーにとっては、勝敗以上に見どころのある終盤戦になりそうです。

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