ついに「並んだ」ではなく「抜いた」になりました。インディアナ・フィーバーのケルシー・ミッチェルが、8月20日のダラス・ウィングス戦で21試合連続の20得点以上を記録し、エイジャ・ウィルソンが持っていた20試合の連続記録を塗り替えました。数日前に並んだばかりの記録を、次の一戦であっさり更新してしまったあたりに、いま彼女がどれだけ異常な状態にあるかが出ています。しかもウィルソンが2シーズンをまたいで積み上げた記録を、ミッチェルは単一シーズンの中だけで超えました。ここが今回いちばん大きなポイントだと感じています。
記録更新の瞬間は第2クォーター残り4.4秒でした
記録が動いたのはダラスのアメリカン・エアラインズ・センター、前半終了間際でした。残り4.4秒の時点でこの試合の20点目に到達し、そこで連続記録は21試合に伸びました。ハーフタイムを待たずに達成してしまうあたりが、いまのミッチェルのペースを物語っています。
この連続記録の起点は6月22日、フェニックス・マーキュリー戦にさかのぼります。この試合で22得点を挙げて86対77で勝利し、そこから一度も20点を下回っていません。直近20試合半での平均は26.8得点。つまり「かろうじて20点に届いている」のではなく、20点台後半をコンスタントに叩き続けた結果としての21試合です。
今季全体で見ても平均24.3得点はリーグ2位、フィールドゴール成功率50.7%、3ポイント成功率44.3%、フリースロー成功率85.0%と、効率も一級品です。得点量とシュート効率が同時に高い水準にある9年目のガード、というのは決して当たり前ではありません。
ウィルソンの20試合、タウラシの13試合と何が違うのか
比較対象を並べると、この記録の重みがはっきりします。ウィルソンの20試合連続は2023年8月28日のニューヨーク・リバティ戦から始まり、2023年終盤の5試合と2024年開幕からの15試合をつないだものでした。その間の平均は28.2得点で、ウィルソンは2024年シーズン終了時にMVPを受賞しています。リーグで唯一4度のMVPに輝いた選手が、キャリアのピークで作った数字です。
さらにその前の記録保持者はダイアナ・タウラシで、2006年から2007年にかけての13試合連続でした。2025年に引退したWNBA通算得点1位のレジェンドですら13試合だったところに、ウィルソンが20試合まで引き上げ、そこにミッチェルが21試合を積んだ、という順番になります。
ウィルソンとタウラシの記録がいずれもシーズンをまたいでいるのに対し、ミッチェルは6月から8月までの一続きの期間でこれを達成しました。オフシーズンの休養を挟まず、移動と連戦の疲労を抱えたまま2カ月間20点を割らなかったという事実は、単純な数字以上の意味があると思います。
それでもMVP論争の中心にいない、という不思議
ここまでの数字を並べても、MVP候補の筆頭として名前が挙がるのはウィルソンであり、フィーバーの中でもケイトリン・クラークの注目度のほうが上、というのが現実です。今季の得点ランキングでもウィルソンが平均26.1得点で1位、ミッチェルが24.3得点で2位という並びになっています。
ただ、リーグ史上誰も届かなかった21試合連続20得点という指標は、平均値では見えにくい「毎試合外さない」という価値を可視化したものです。相手の対策が進み、マークがきつくなるシーズン終盤にこれを継続している点も含めて、評価がもう一段引き上げられてもおかしくないと考えています。フィーバーはウィングス戦の前に5連勝しており、その原動力が彼女だったことは数字が示しています。
記録はどこまで伸びるのか
レギュラーシーズンはすでに終盤に入っており、プレーオフ争いも最終局面です。ミッチェルの連続記録が22、23と伸びていくのか、それともどこかで止まるのか。フィーバーの残り試合は、順位争いと記録更新という2つの見どころが同時に走る形になります。今後の試合日程はWNBA公式サイトで確認できます。
そして忘れてはいけないのが、この記録を21で止めたとしても、次に狙う位置にいるのが本人だという点です。単一シーズン内で21試合を積み上げた選手は、来季も同じことができる可能性を持っています。ミッチェルの9年目は、まだ終わっていません。

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