8月24日、ESPNのケンドラ・アンドリュースが、ナフィーサ・コリアーの復帰を軸にしたリンクスの長編記事を公開しました。両足首の手術と11か月のリハビリを経て7月22日に今季初出場を果たした5度のオールスターが、シーズン終盤に何をもたらすのかという話です。読み終えて最初に引っかかったのは、コリアーの復帰が「8月2日のトレード期限における最大の補強」として語られていた点でした。外から誰も獲らずに、勝率トップのチームがもう一段上へ行こうとしています。
復帰後10試合で19.0得点、それでも本人は「まだピークではない」
コリアーは今季の最初の10週間を欠場しました。それでもリンクスは記事公開時点で31勝7敗と、夏の大半をリーグ最高勝率で走っています。コリアーが今季初めてコートに立った7月22日の時点で、チームはすでに単独首位でした。復帰後10試合の平均は19.0得点7.4リバウンド。8月8日には全球団で最初に今季のプレーオフ進出を確定させています。
数字だけ見れば十分に見えますが、本人はまだ本来の状態ではないと語っています。狙いはレギュラーシーズンが終わる9月下旬にピークを合わせること。脚と足首まわりの筋肉を戻している途中で、1分1分をピークへの過程として使っているという位置づけです。例年なら終盤はシード争いのための調整期間ですが、今年のコリアーにとっては積み上げの期間になっています。
チーム全体の数字も動きました。コリアー、コートニー・ウィリアムズ、ケイラ・マクブライド、オリビア・マイルズ、ナターシャ・ハワードという復帰後の先発5人は、オフェンス効率134.4、ディフェンス効率108.3を記録しています。さらにコリアー、マイルズ、マクブライドの3人が同一シーズンの同じ10試合で揃って平均18得点以上かつFG成功率50%以上を残したのは、2023年のエーシズにおけるエイジャ・ウィルソン、ジャッキー・ヤング、ケルシー・プラムに続くリーグ史上2組目だといいます。
1年前の8月2日から続いていた、4度負傷したような1年
昨季の8月2日、ラスベガス戦でオフェンスリバウンドに走ったコリアーは、味方と接触して右足首を大きく捻りました。すねの筋肉と右足首の3本の靱帯を損傷し、7試合を欠場して1年前のちょうど今日にあたる8月24日に復帰。インディアナ戦でFG16本中11本の32得点9リバウンドを挙げています。ただ本人は「健康にはなったけれど、十分ではありませんでした」と振り返っており、外から見えていたものと内側の感覚は違っていました。
そしてプレーオフ準決勝の第3戦、アリッサ・トーマスとの接触で今度は左足首に同じ症状が出ます。手術を避けてPRP療法で回復を図りましたが12月に腱が反応していないと判断され、1月に左、3月に右と2回に分けて手術を受けました。両足に体重をかけられないため同時にはできなかったからです。本人が「4回ケガをしたような感覚でした」と表現するとおりの1年でした。
一方でチームは、5月の開幕時にウィリアムズとマクブライドしか前年からの残留がいないという状態から始まっています。そこにドラフト全体2位のマイルズが入り、平均20.0得点、FG成功率50.1%、6.2アシストで新人王の本命に浮上。先週には36試合で720得点に到達し、ウィルソンとペイジ・ベッカーズを抜いて新人としてリーグ史上3位の得点数に並びました。春に加入したハワードも、コリアー不在の27試合で平均16.1得点8.1リバウンド、FG成功率59%を残しています。
「彼女が私たちを別の次元へ引き上げます」の意味
ここ2年のリンクスは、レギュラーシーズンで勝ち、プレーオフで届かないという同じ形をなぞってきました。2024年は第2シードで最終第5戦を延長の末にリバティへ落とし、昨季は第1シードで準決勝からマーキュリーに崩れています。2年で64勝という数字と、優勝ゼロという結果の落差が、このチームの背骨に刺さったままです。
だからこそ、シェリル・リーブHCの「彼女が私たちを別の次元へ引き上げます」という言葉は、単なる主力復帰の歓迎とは違って聞こえます。トレード期限で外部補強をしなかったチームにとって、コリアーの復帰そのものが唯一かつ最大の獲得だったという説明は、裏を返せば逃げ道がないという宣言でもあります。
ここからの見どころは、コリアーの出力よりも役割の折り合いだと考えています。コリアー不在の25試合でマイルズは得点かアシストで840点を生み出し、これはリーグ史上のキャリア最初の25試合で2番目の数字です。ハワードとのピック&ロールもリーグ最多水準で回していました。つまりリンクスは、コリアーがいない形で完成度の高いオフェンスをすでに作ってしまっている。そこに7月22日以降、コリアーがマイルズへ107回のオンボールスクリーンをかけるという新しい線が加わりました。この2つの回路をプレーオフの40分でどう配分するのかが、3年目の答え合わせになります。ちなみに24日にはバルキリーズに球団史上初の黒星を喫しており、勝率トップでも足元は完全ではありません。
8月31日からのW杯中断が、逆に追い風になる可能性
WNBAは8月31日から9月16日まで、ベルリンで開かれるFIBA女子ワールドカップのために日程を中断します。大会は9月4日から13日まで。コリアーはアメリカ代表の一員として現地に入る予定で、本人はこの3週間を休養ではなくコンディションづくりの延長として使うと明言しています。代表入り自体が今季の大きな目標のひとつだったとも語っており、リンクスにとっては主力を手放す期間が、そのまま仕上げの期間になるという珍しい構図です。
レギュラーシーズンは9月下旬に終わり、そこからプレーオフに入ります。2017年を最後に遠ざかっている5度目の優勝が現実になるかどうかは、コリアーがどの時点でピークを迎えるかにかかっています。中断明けのリンクスの試合日程は、WNBA公式サイト(https://www.wnba.com/schedule)で確認できます。

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