ナターシャ・クラウド wnbacファンブログ

トレーナーだったGMの沈黙とカンターの告発、15勝23敗で終わるスカイに残った火種

 

コートサイドから1人の元NBA選手が連れ出された一件は、2日たっても収まる気配がありません。8月23日にウィントラスト・アリーナで行われたフィーバー対スカイで、観客席にいたカンター・フリーダムが第3クォーターの途中に警備員に付き添われて退場した騒動です。ところが25日になって、話の中心はコートサイドの口論から球団のフロントへ移りました。カンターが米メディアの番組で、自分は事前にスカイのGMへ連絡を入れており、了承を得たうえで来場したと主張したからです。第一印象を正直に書くと、これはもう観客と選手のいざこざではなく、球団のガバナンスの話に変わってしまったな、というものでした。

113対90の夜に、コートの外で起きていたこと

まず試合そのものを整理します。この日はフィーバーが113対90でスカイを下しました。ケイトリン・クラークが3ポイント8本を沈めて37得点、ケルシー・ミッチェルが30得点。スカイはこの敗戦とミスティックスの勝利によって15勝23敗でプレーオフ進出の可能性が消滅し、3年連続で秋を迎えられないことが確定しました。

騒動が起きたのは第3クォーターです。観客席にいたカンターとスカイのナターシャ・クラウドが言葉を交わし、カンターが席を立ってコート方向へ動いたところで警備員が介入し、そのまま退場となりました。カンターは「WOMAN noun. Adult human female」と書かれた黒いシャツを着て観戦しており、本人はこのシャツがやり取りの引き金になったという見方を示しています。

そして25日、カンターは自分が騒ぎを起こす目的で来場したという見方を明確に否定しました。本人の説明によれば、マネジャーが試合前にスカイのGMジェフ・パリオッカへ「観戦に行く、騒ぎを起こすつもりはない」という趣旨のメッセージを送り、パリオッカからは「Enjoy the game(試合を楽しんで)」という短い返信があったといいます。さらにカンターは、パリオッカがかつて自分のトレーナーであり、一緒にトレーニングをしていた間柄だとも語りました。退場の際に警備から理由の説明がなかった、とも主張しています。パリオッカは25日時点でこの件について公にコメントしていません。

「トレーナーだった」という一言が重い理由

ここで効いてくるのが、パリオッカという人物の経歴です。パリオッカがスカイのGMに就任したのは2023年10月31日でした。スカイはWNBAで最後までヘッドコーチがGMを兼務していた球団で、GM専任のポジションを置いたのはこのときが初めてです。就任前の2023年、彼が務めていた役職はディレクター・オブ・スキルデベロップメント、つまり選手の技能開発を統括する立場でした。その前の数シーズンも選手育成とヘッドコーチの補佐に携わっています。

つまり「彼は自分のトレーナーだった」というカンターの説明は、経歴の上では特に不自然な話ではありません。ここが今回の厄介なところで、主張の一部に確認できる裏付けがあるぶん、確認できない部分——メッセージのやり取りが実在したのか、文面がどうだったのか——だけが宙に浮いた状態になっています。現時点でこの部分はカンター側の一方的な説明にとどまっており、スカイからの説明はありません。

パリオッカの3シーズンを成績で見ると、2024年、2025年、2026年と3年連続でプレーオフを逃しています。ウェザースプーンをヘッドコーチに迎えたのが2024年、そのウェザースプーンを1年で解任し、2024年11月にタイラー・マーシュを招へいしたのもこの体制下でした。今季の15勝23敗という数字と重なったことで、一部のファンからはGMの去就そのものを問う声が上がっています。今回の来場をめぐる話が火に油を注いだ形です。

球団が答えるべき問いは、実は3つしかありません

ここからは筆者の見立てです。この件で本当に決着させるべき論点は、思想や立場の話ではなく、運営の手順に関する3つだけだと考えています。

1つ目は、事前連絡が実在したのかどうか。2つ目は、仮に実在したとして、「試合を楽しんで」という返信がチケットの手配や来場の承認を意味していたのか、それとも単なる社交辞令だったのか。3つ目は、退場の判断が誰の権限で、どの規定に基づいて下されたのかです。

この3つが空白のままだと、同じ出来事が双方に都合よく解釈され続けます。カンター側は「招かれたのに追い出された」と語り、球団側は「招いていない」と受け止められる。どちらの主張も検証できないまま、感情だけが積み上がっていく構図です。リーグは新CBAの規定によってカンターに選手としての資格がないことを既に整理していますが、今回残っているのは選手資格ではなく、あくまで「観客としての来場をどう扱うか」という運営上の問題です。ここは球団側が短い声明ひとつで止められる種類の火事だと思っています。

そしてカンターは、フィーバーのプレーオフゲームにも足を運ぶ意向を示しています。放置すれば同じ構図がもう一度、しかも今度は注目度の高い舞台で再演される可能性があります。

今後の試合と観戦情報

スカイはプレーオフ進出の可能性が消えたため、残り試合は来季を見据えた戦いになります。一方のフィーバーはクラークとミッチェルが好調を維持しており、上位シード争いのまっただ中です。日本からWNBAを追う場合は、リーグ公式のWNBA League Passのほか、ESPN系の配信が主な選択肢になります。スカイの公式情報はシカゴ・スカイ公式サイト、リーグ全体の日程と順位はWNBA公式サイトで確認できます。

パリオッカが口を開くのか、それとも沈黙のままシーズンを終えるのか。15勝23敗で終わる季節の締めくくりとしては、あまりに落ち着かない数日になっています。

引用:https://sports.yahoo.com/articles/lying-enes-kanter-accuses-sky-034307207.html

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