サウジアラビアのジェッダで行われたFIBAバスケットボールワールドカップ2027アジア予選で、日本代表がサウジアラビアを106対78で退けました。28点差の完勝を引っ張ったのは、29得点を挙げた八村塁です。NBAの公式アカウントは、八村がこの試合で最初に放った8本のシュートをすべて沈めたと伝えています。7月にクリッパーズと契約を交わしたばかりの新シーズンを前に、これ以上わかりやすい前触れはそうありません。筆者が最初に感じたのは「得点力が戻った」という感想ではなく、「打つ場所に迷いがない」という手応えでした。八村がキャリアで最も苦労してきたのは、シュートの精度そのものではなく、どこで何本打てるかという役割の不安定さだったからです。
8本連続、そして29得点の中身
NBA.comによれば、八村はフィールドゴールで11本を沈め、フリースローは4本中4本を成功させて29得点。ClutchPointsはこれに加えて3ポイント3本成功とスティール2本を記録したと伝えています。なお試投数についてはNBA.comが13本、ClutchPointsが14本と数字が分かれていますが、成功数が11本である点は両者で一致しています。効率という一点においては、疑う余地のない内容でした。
同じ日、他のNBA勢も各地で結果を残しています。フランス代表のウェンバンヤマはスロベニア相手に22得点9リバウンドでチームを92対67の勝利に導き、ドイツ代表のデニス・シュルーダーはオランダ戦で25得点6アシスト、中国代表のヤン・ハンセンはカタール戦で15得点9リバウンドを挙げました。その並びの中で、八村の29得点はこの日の予選全体でも上位の数字です。
レイカーズでの最終年が残していた数字
八村は2026年7月、レイカーズでの4シーズンを経てクリッパーズと2年2800万ドルで契約しました。NBAでは8シーズン目、クリッパーズでは1年目のシーズンを迎えます。
見落とされがちなのは、レイカーズでの最後の1年が数字上はかなり良かったという事実です。68試合に出場して平均11.5得点3.3リバウンド、フィールドゴール成功率51.4パーセント、3ポイント成功率44.3パーセント、フリースロー成功率69.4パーセント。さらにプレーオフでは平均17.5得点4.0リバウンド1.7アシストまで数字を伸ばし、フィールドゴール成功率54.9パーセント、3ポイント成功率56.9パーセントを記録しています。
3ポイント44.3パーセントというのは、ローテーションを担うフォワードとしては相当に高い水準です。しかもプレーオフでその数字を落とすどころか上げている。役割が絞られ、狙う場所が限定されるほど精度が上がるタイプであることを、この2つの数字が示しています。
クリッパーズ1年目に八村が置かれる位置
クリッパーズは前季を42勝40敗の西カンファレンス9位で終え、プレーイントーナメントでウォリアーズに敗れてプレーオフを逃しました。ClutchPointsは、リーグの調査が終結した後にカワイ・レナードのラプターズ移籍トレードが完了する見通しだと伝えています。仮にそれが動けば、ウイングとフォワードの序列は大きく組み替わります。
そこで効いてくるのが、サイズとキャッチアンドシュートを両立できる八村の特性です。代表戦の29得点はボールを持った状態からの得点が中心でしたが、NBAでの八村はオフボールでの得点が主軸になります。役割そのものは変わる。ただ、迷わず打てる状態を夏のうちに作り込めたことの意味は小さくないと筆者は見ています。シーズン序盤に立ち上がりでつまずくかどうかは、技術的な調整よりも、この種の感覚に左右される部分が大きいからです。
予選ウィンドウと今後の日程
FIBAバスケットボールワールドカップ2027予選の第4ウィンドウは、8月27日から31日にかけてアフリカ・アメリカ・アジア・ヨーロッパの各地区で行われます。2027年の本大会はカタールでの開催です。日本代表の残りの試合日程と各地区の結果はNBA.comの特設ページで更新されています。八村がこの調子を持ち帰れるなら、クリッパーズの開幕は日本のファンにとって例年以上に見る理由のあるものになりそうです。

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