ナカセHC

遅さは弱点ではなかった、ナカセの減速策がエーシズの歯車を狂わせた伏線

 

WNBAセミファイナル第1戦で、ゴールデンステート・バルキリーズがラスベガス・エーシズを71対60で下しました。注目したいのは勝敗そのものよりも、その勝ち方です。リーグで最も遅いペースを誇るバルキリーズが、あえてその遅さをさらに突き詰め、王者の攻撃を窒息させました。遅いバスケットは地味だと言われがちですが、この夜に限っては、相手を最も苦しめる武器だったように見えます。

40分あたり74.5ポゼッション、リーグ最遅という数字

ハイポスト・フープスの分析によると、バルキリーズのペースは40分あたり74.5ポゼッションで、リーグ15チーム中15位、つまり最も遅いチームです。対するエーシズは79.6で、リーグ平均の79.3とほぼ同水準でした。第1戦の実際のポゼッション数は約71.5と、エーシズが普段こなす数字を8ほど下回ったと伝えられています。

エーシズにとって、この8ポゼッション分の差は小さくありません。1回の攻撃で約1点を生む前提なら、単純計算で8点前後の得点機会が丸ごと消えた計算です。最終スコアの60点は今季のエーシズ最少得点となりました。試合のテンポを握られた時点で、勝負の半分は決まっていたのかもしれません。

51点と9点、偏りすぎたエーシズの得点源

同じ記事によれば、エイジャ・ウィルソン、ジャッキー・ヤング、チェルシー・グレイの3人だけでチーム60点のうち51点を記録しました。ただしシュートは50本中17本成功にとどまっています。成功率は34パーセントです。3人以外の選手の合計得点は、わずか9点でした。

ここにバルキリーズの狙いが透けて見えます。ペースを落とせば、スターに頼るチームほど、決め手のない1本ごとの攻撃が重くなります。控えまで得点が広がらないエーシズは、攻撃が長引くたびに3人へ負担が集中する構図に陥りました。バルキリーズは守備レーティング100.6、相手のフィールドゴール成功率41.4パーセントといずれもリーグ最高で、その守備力が遅いテンポと噛み合っています。

深い層が支えた減速策

遅いペースを貫くには、体力と人数が要ります。この試合ではバルキリーズ側が9人を意味のある時間で起用し、選手を入れ替えながら強度を保ちました。一方のエーシズは負傷者を抱え、ローテーションが薄い状態です。実際、ジュエル・ロイドの負傷については、第2戦に向けた状態が注目されています。

今回の勝ち方は、速さで勝負するのが定石という見方への一つの反証です。エーシズの得意な土俵に乗らず、遅さで消耗を強いるという発想は、ナタリー・ナカセHCの設計の巧さを示しています。1回戦を突破してセミファイナルまで勝ち上がった流れを思うと、この戦術眼はやはり本物だと感じます。

第2戦の焦点はエーシズの対抗策

連敗は避けたいエーシズにとって、第2戦のテーマは明白です。ひとつは、トランジションを増やしてテンポを引き上げること。もうひとつは、ウィルソン、ヤング、グレイ以外の選手から得点を引き出すことです。ただし、速攻を狙うほどターンオーバーのリスクが増え、守備の整ったバルキリーズに狙われる危険もあります。

バルキリーズは遅さを変えず、同じ形を繰り返すだけで済みます。対処する側が主導権を握り返せるのか、それとも遅さが2試合続けて効くのか。次の1戦は、ポゼッション数の数字を追うだけでも十分に見応えがありそうです。皆さんは、エーシズがテンポを上げる策と、遅さに付き合う策のどちらが正解だと思いますか。

引用:https://highposthoops.com/natalie-nakase-is-making-the-aces-miserable-by-doubling-down-on-the-wnbas-slowest-pace

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です