WNBAの歴史に残るデビュー戦が生まれました。7月11日(現地時間)に行われたエーシズ対マーキュリーの一戦で、この日が初出場となったジャスティン・ピソットが、第4クォーターのわずか10分間で19得点を荒稼ぎ。3ポイントを5本沈め、デビュー戦での3ポイント成功数のWNBA新記録を打ち立てました。驚くべきはそのタイミングです。彼女がインディアナ・フィーバーを離れ、エーシズと契約したのはこの試合のわずか4日前。速報を目にした瞬間、思わず二度見してしまうほどの衝撃的なニュースでした。
10分間で19得点、フィールドゴール8本中7本成功という異次元の効率
ピソットがコートに立ったのは、エーシズが大量リードを築いた後の第4クォーターのみでした。それでも記録したスタッツは、10分間の出場で19得点、フィールドゴール8本中7本成功、3ポイントは6本中5本成功、さらに2リバウンド1アシスト。ほぼ全てのシュートがネットを揺らすという、信じがたい効率でした。リーグ公式Xも「A RECORD-SETTING DEBUT(記録ずくめのデビュー)」と、その快挙を試合直後に特集しています。リーグによれば、デビュー戦での3ポイント5本成功はWNBA史上最多記録とのことです(Athlon Sports)。
試合自体もエーシズの圧勝でした。第1クォーターで29-9と一気に突き放すと、最終スコアは106-58。48点差はWNBA史上3番目タイの大差勝利であり、球団記録でもあります。エイジャ・ウィルソンとチェルシー・グレイがそろってダブルダブルを記録するなど、主力の活躍が光った試合の最後を、22歳の新戦力が完璧に締めくくった形です。
ドラフト25位指名からの回り道──フィーバー退団の背景
ピソットはバンダービルト大学出身で、2026年のWNBAドラフトでフィーバーから2巡目全体25位で指名されました。大学最終シーズンは平均11.1得点、4.5リバウンド、2.3アシスト、3ポイント成功率42.2%と、シューターとして高い評価を得ていた選手です。しかしフィーバーでは育成契約でトレーニングキャンプに参加し、プレシーズン1試合の出場にとどまったまま退団することになりました。
その後、エーシズが今季残り期間の契約をオファーし、入団からわずか4日でこの歴史的デビューを迎えたのです。ドラフト下位指名の選手が所属先を失い、別のチームで一気に輝くというシンデレラストーリーは過去にもありましたが、デビュー戦でいきなりリーグ記録を塗り替えるのは異例中の異例です。42.2%という大学での3ポイント成功率が示す通り、シュート力そのものは本物であり、あとは機会の問題だったのかもしれません。
ハモンが手にした新たな飛び道具、西カンファレンス首位争いへの影響
エーシズはこの試合の開始前時点で17勝6敗と、西カンファレンス首位タイにつけています。ウィルソンという絶対的なインサイドの軸を持つチームにとって、相手のダブルチームを罰する外角のシューターは何人いても足りません。ベッキー・ハモンHCにとって、ピソットの加入はシーズン中盤に舞い込んだ思わぬ補強と言えるでしょう。
もちろん、10分間のサンプルだけで彼女をスターと断じるのは早計です。今後は相手のスカウティング対象となり、タフなマークの中で同じ精度を維持できるかが問われます。それでも、ガベージタイムとはいえWNBAの舞台で見せた迷いのないシュートセレクションは、単なる一夜の奇跡とは思えない完成度でした。一方のフィーバーにとっては、手放した選手がわずか数日でリーグ記録を樹立するという、なんとも苦い結果になりました。ロースター管理の難しさを改めて突きつける出来事だったと言えます。
次戦はまさかのフィーバー戦──因縁の直接対決に注目
そして運命のいたずらか、フィーバーの次の対戦相手はこのエーシズです。ピソットにとっては、自分を手放した古巣との直接対決がキャリア2戦目になる可能性があります。フィーバーは背中の負傷を抱えるケイトリン・クラークの出場可否も注目されており、話題性は十分。デビュー戦の爆発が本物か、それとも一夜の魔法だったのか。その答え合わせの舞台としては、これ以上ない相手と言えるでしょう。

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