エンジェル・リース

平均6.8得点の脇役だった29歳が突然リーグ最高の万能ビッグに──シェパードがリースと競う“もう一つの主役級”ダブルダブル争い

 

WNBAのオールスターウィークが目前に迫るなか、スコアシートの裏側で静かに、それでいて確かに熱を帯びている争いがあります。ダラス・ウィングスのジェシカ・シェパードが、アトランタ・ドリームのリースと繰り広げているダブルダブル争いです。華やかなリースの陰に隠れがちですが、29歳の遅咲きが見せている万能ぶりは、今季のリーグでもっとも痛快な物語の一つだと感じます。派手なハイライトよりも、毎晩淡々と二桁を二つ積み上げる仕事人の凄みが、じわじわと存在感を増しているのです。

脇役から一転、リーグ屈指の「スタッツ製造機」へ

今季のシェパードは、平均でおおよそ11〜12得点に、10本を超えるリバウンド、そして6アシスト近くを記録しています。リバウンドはリーグでも3本の指に入る水準で、フォワードながらアシストでも上位に顔を出す万能さが際立ちます。とりわけ目を引くのがトリプルダブルの多さで、この部門では今季リーグ最多を走っています。ダブルダブルの数でもリーグ2位につけ、トップを走るリースをぴたりと追う展開です。

そのリースはアトランタ・ドリームで平均11.8リバウンドとリーグ最多を誇り、ダブルダブルの数でも首位に立つ、いわば二桁二部門の女王です。ClutchPointsは両者のせめぎ合いを熱を帯びたリーグ屈指の争いと表現しています。看板スターと遅咲きの職人が、地味ながら価値あるスタッツで競い合う構図そのものが、今季ならではの見どころになっています。

ミネソタでの6年間との落差が物語る覚醒

この飛躍が驚きをもって受け止められるのは、シェパードのこれまでの歩みを知っていればなおさらです。彼女はミネソタ・リンクスで6シーズンを過ごしましたが、そのキャリア平均は6.8得点・6.5リバウンドという、あくまで堅実なローテーション級の数字にとどまっていました。それがオフシーズンに複数年契約でダラスへ移ると、一気に主役級へと化けました。年俸はおよそ200万ドルとされ、いまやリーグ最大級の掘り出し物と評されるほどの費用対効果です。

一方のリースは、ルーキーイヤーから連続ダブルダブル記録で話題をさらってきた、リーグの顔とも言える若きスターです。両者はタイプもキャリアの歩みも対照的で、直接対決ではドリームがウィングスを77-72で下し、その試合でもリースはしっかりダブルダブルをマークしています。積み上げてきた背景がまるで違う二人が、同じ指標の頂点を争っているところに、このレースの妙味があります。

7月25日シカゴ、そしてMVPレースへの布石

この争いに華を添えるのが、7月25日にシカゴで開催されるオールスターゲームです。シェパードは今季、自身初のオールスターに選ばれただけでなく、チームメイトのベッカーズとともに先発の座まで射止めました。無名に近い立場からの先発入りは、彼女の一年を象徴する栄誉だと言えます。対するリースはファン投票で先発の座こそ逃したものの、リーグ随一のビッグであることに変わりはありません。

気がかりなのはリースのコンディションです。先日、古巣シカゴ・スカイとの一戦で左脚を痛めて途中退場しており、オールスターを前に状態が注目されています。もしリースが試合を欠くようなことがあれば、シェパードがダブルダブル争いで一気に距離を詰める展開も十分に考えられます。個人的には、派手さで劣るシェパードがMVP級の総合力でどこまで評価を勝ち取れるかが、今季後半のリーグを占う静かな試金石になると見ています。万能ビッグの価値をリーグがどう測るのか、その象徴的な争いなのです。

今後の観戦ポイント

まずは7月25日のオールスターで、先発に名を連ねるシェパードのプレーぶりに注目です。そしてブレイク明け、ウィングスはプレーオフ争いのなかでシェパードの二桁二部門の量産を必要としますし、ドリームのリースも記録の上積みへ再び走り出すはずです。地味ゆえに見逃されがちなこのダブルダブル争いこそ、今季の折り返しでもっとも味わい深いサブプロットだと思います。ぜひ両者のボックススコアを並べて追いかけてみてください。

引用:https://clutchpoints.com/wnba/dallas-wings/wings-news-jessica-shepard-keeps-pace-with-angel-reese-wild-wnba-race

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です