ケイトリン・クラーク

「怖い、という言葉が引っかかった」──クラークのメディア疲れ告白にESPNマクナットが求めた“当事者意識と自覚”、24歳の星は何を背負わされるのか

 

30周年のオールスターが幕を閉じた直後、WNBAではコートの外で別の論争が動き出しました。ESPNの女子スポーツ番組でアナリストのモニカ・マクナットが、ケイトリン・クラークに対して「もう少し当事者意識と自覚の余地がある」と語り、SNSが一気に沸騰しています。発端は、クラーク自身がオールスター期間中に明かした“メディア疲れ”の告白でした。第一印象を率直に言えば、これはクラーク個人の資質をめぐる話というより、リーグ全体が抱えたねじれがそのまま表面化した一件だと感じます。

ロッカールームを出るのが怖い──クラークが明かした本音と、好調すぎる数字のギャップ

きっかけはオールスターウィークエンド中に行われたESPNのインタビューです。クラークはそこで、自分をめぐって語られる物語が「現実に基づいていない」と述べ、試合後にロッカールームを出るとき、これからどんな会話が待っているのかと身構えてしまうと明かしました。本人の言葉を一つだけ引けば、「感情的に消耗しますし、疲れ果てます」という一節に、この2年半の重みが凝縮されています。人々はバスケットボールの話をしたがらず、別の何かを掻き立てようとする、というのが本人の実感でした。

興味深いのは、この告白がコート上の絶好調と同時に出てきたことです。クラークは今季ここまで23試合で平均21.0得点・7.9アシスト・3.8リバウンド。得点はキャリアハイの水準でありながら、出場時間は平均29.2分とキャリア最少です。単位時間あたりの生産性で見れば、明らかに過去最高のシーズンを送っています。フィーバーもオールスターブレイク時点で17勝10敗と東カンファレンスの上位につけており、成績を理由に叩かれる要素はほとんどありません。それでも会話がバスケットボールに戻らない、という現実が本人を消耗させているわけです。

マクナットが引っかかった「fearful」の一語、その背景にある別の恐怖

マクナットが日曜の番組で問題視したのは、クラークが使いかけた「fearful(怖い)」という語でした。マクナットの見立てでは、実際に恐怖にさらされているのは、クラークとの接触プレーをきっかけに批判の的となった側だというのです。フェニックス・マーキュリーのアリッサ・トーマスは、自分たちの生命が脅かされていると訴え、その後クラークとの一件で出場停止処分を受けました。ラスベガス・エーシズのチェルシー・グレイに人種差別的な言葉を送った男性は、勤務先のヒルトン・グランド・バケーションズを解雇されています。SNSのダイレクトメッセージ欄で何が起きているかを踏まえれば、恐怖の総量は決してクラーク側だけに偏っていない、というのがマクナットの主張です。

そのうえでマクナットは、クラークを24歳であり、WNBAという銀河の中で輝く星だと評価しつつ、このリーグを渡っていく過程で、より大きな姉妹たちの輪における自らの役割について、当事者意識と自覚を持つ余地があると続けました。批判というより注文に近い言い回しですが、クラークのファン層はこれを、被害を打ち明けた本人に説教していると受け取り、反発が広がっています。

ESPN内部でも割れる温度差、個人に背負わせて解ける問題なのか

見逃せないのは、同じESPNの中でも見解が割れている点です。先週にはチニー・オグウミケがFirst Takeで、女子バスケットボール報道はクラークをめぐる会話をバスケットボールへ引き戻すべきだと呼びかけていました。同じ局に立つ二人が、責任の所在をほぼ逆方向に置いているわけです。

ここからは筆者の見立てになりますが、いまクラークをめぐる騒動は、一人の24歳がふるまいを改めれば収まる規模をとうに超えています。政治家が文化戦争の駒として彼女の名前を持ち出し、メディアはクラーク評論そのものを一つの産業に育ててしまいました。仮に本人が完璧な言葉遣いをしたところで、外側の需要は消えません。とすれば、リーグにとって実利があるのは、個人に自覚を求めることではなく、選手同士が互いを人間として知る場を意図的に設計することのはずです。オールスターでクラークがMVPに輝いたジョンケル・ジョーンズの人柄を称えた場面が支持を集めたのは、まさにその欠落を観客が感じ取っているからではないでしょうか。

視聴者数が7300万人を超え、CBA交渉が佳境に入る今季において、リーグの結束は数字に直結する資産です。内輪の議論をどこまで生産的な方向へ運べるかは、後半戦の見えないテーマになりそうです。

今後の見どころ

オールスターブレイクが明け、フィーバーはプレーオフ争いの本番へ入っていきます。クラークがこの一件について改めて口を開くのか、それとも数字で黙らせにいくのか。少なくともここまでの平均21.0得点・7.9アシストという内容は、後者の道を選び続けてきた結果に見えます。試合日程や中継予定はWNBA公式サイトで確認できますので、後半戦のフィーバー戦はぜひリアルタイムで追ってみてください。

引用:https://awfulannouncing.com/wnba/monica-mcnutt-caitlin-clark-accountability-self-awareness.html

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