創設2年目のゴールデンステート・ヴァルキリーズが止まりません。現在7連勝中で成績は17勝7敗、リーグ最高の守備を武器に、ついに優勝争いへ正面から殴り込みをかけています。そんな中、米メディアのClutchPointsが「ヴァルキリーズは過去10年の王者と統計的にどこまで似ているのか」という切り口の分析を公開しました。結論はシンプルで、王者の条件をほぼ満たしながら、たった一つだけ大きな穴があるというものです。開幕前にここまでの躍進を予想した声はほとんどなく、2年目のチームが王者像にここまで近づいていること自体がまず驚きです。
守備とネットレーティングはすでに「王者級」の数字
まず土台となる守備です。ヴァルキリーズのディフェンシブレーティング(100ポゼッションあたりの失点)は100.4でリーグ1位、平均失点76.2もリーグ最少です。過去10年の王者を振り返ると、10チーム中9チームが守備効率トップ6、うち6チームがトップ3に入っており、ナタリー・ナカセHC率いるヴァルキリーズの守備は文句なしに王者の水準にあります。
攻守の総合力を示すネットレーティングも+7.0でリーグ2位につけています。過去10年でトップ2圏外から優勝したのは、プレーオフで一気に化けた2021年のスカイと2025年のエーシズの2例しかありません。
シュート選択も現代の王者と同じ設計です。フィールドゴール試投の45.0%が3ポイントで、得点全体の38.7%を3ポイントで稼ぐ割合はいずれもリーグ1位。直近4年の王者はすべて3ポイント試投比率でリーグトップ5に入っており、「3ポイントに寄せる」という方向性そのものは間違っていません。
過去10年の王者と決定的に違う「シュート効率」
問題は、その正しい設計から生まれる結果のほうです。オフェンシブレーティングは107.4でリーグ8位ですが、過去10年の王者は10チーム中9チームが攻撃効率トップ4でした。平均得点82.0もリーグ12位にとどまり、過去10年の王者はすべて平均得点6位以内でした。
フリースローや3ポイントの価値まで含めた総合効率を測るトゥルーシューティング(TS%)では53.5%でリーグ13位。過去10王者のうち8チームはTS%トップ3で、残る2チームも7位以内でした。さらに通常のFG%に至ってはリーグ最下位です。
分析の中で最も統計的に似た王者として挙げられたのは2024年のリバティでした。3ポイントの大量投下、リーグ1位の守備、トップクラスのネットレーティングと輪郭はそっくりですが、リバティはTS%56.1%(リーグ2位)、FG%44.8%(同3位)と効率が伴っていました。両者を分けるのはこの一点だけです。
「正しいプロセス、伴わない結果」を覆せるか
ヴァルキリーズは上位を走るリンクスとエーシズに今季まだ勝っておらず、試合中に得点が止まる時間帯も抱えています。効率が上がらない要因として、シュートの質に加え、ブリアナ・スチュワートやエイジャ・ウィルソンのように自らの重力で味方をフリーにするタイプのスーパースターの不在も指摘されています。
ただ、個人的にはここで悲観する必要はないと考えます。守備とシュート選択はシーズン中に崩れにくい再現性の高い「構造」であり、一方のシュート効率は選手のコンディションや補強次第で動く「変数」だからです。トレード期限で効率的な得点源を一人加えるだけで、このチームの計算式は大きく変わり得ます。逆に言えば、効率が最下位圏のままなら、点の取り合いを許してくれないプレーオフの重い展開で真っ先に足をすくわれるのもこのチームでしょう。過去10年の王者像に照らして「唯一の穴」がはっきりしている分、フロントが打つべき手も明確です。
次戦は現地7月15日、クラーク擁するフィーバー戦
8連勝をかけた次戦は、現地7月15日に予定されているフィーバー戦です。背中の負傷から復帰したばかりのケイトリン・クラークは出場濃厚と報じられており、リーグ最高の守備がリーグ最大の注目を集めるスターとぶつかるこの一戦は、ヴァルキリーズの「本物度」を測る絶好の試金石になります。効率という唯一の弱点を抱えたまま、彼女たちがどこまで勝ち続けるのか。今季後半戦で最も目が離せないチームであることは間違いありません。

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