ハワードが築いた134本の壁、ミッチェルが土壇場で見せた静かな執念

 

WNBAのレギュラーシーズンが最終日を迎えた9月24日、またひとつ歴代記録が塗り替えられました。インディアナ・フィーバーのケルシー・ミッチェルが、アトランタ・ドリームのライン・ハワードが持っていたシーズン最多3ポイント成功数の記録を更新したのです。今季のミッチェルはすでにシーズン最多得点記録も手にしており、この1週間ほどで二つの大記録を同時に塗り替えたことになります。派手な自己主張をするタイプではない8年目のガードが、静かに、しかし確実に歴史を書き換えている姿が印象的です。

第2Q残り1分46秒、0本発進からの逆転劇

ミッチェルの記録更新は、レギュラーシーズン最終戦となったミネソタ・リンクス戦で起こりました。この試合、ミッチェルは3ポイントを最初の3本連続で外すという苦しい立ち上がりを見せていました。ところが第2クォーター残り1分46秒、突如として連続本数を伸ばし、立て続けに2本を沈めてハワードの記録を突破します。ハワードが今季樹立した134本という数字を、ミッチェルはついに超えました。試合後、ミッチェルは記録についてこう振り返っています。「正直に言うと、みんなが教えてくれたようなものです。声がかかったときに応え、良いチームメイトで、良い人間でありたい、それだけです」。派手な自己アピールではなく、チームへの貢献を語る言葉に、今季のミッチェルらしさが表れています。ミッチェルはこの試合を含め今季43試合で1,076得点、平均25.0点を記録。9月18日にはエイジャ・ウィルソンが持っていたシーズン最多得点記録(2024年、1,021点)もすでに更新しており、得点と3ポイントという二つの部門で歴代トップに立ったことになります。

イオネスクからハワード、そしてミッチェルへ

3ポイント記録の系譜をたどると、今季の記録更新ラッシュがいかに激しかったかが分かります。もともとの記録保持者はサブリナ・イオネスクで、2023年に128本を記録していました。この記録を9月17日、ハワードがコネチカット・サン戦(103-59の大勝)で更新し、129本目の3ポイントで新記録を樹立。その後もハワードは3ポイントを積み増し、自身のシーズンを134本で終えていました。つまりミッチェルは、わずか1週間ほど前に生まれたばかりの新記録を、シーズン終了と同時に上書きしたことになります。今季からWNBAは1チーム44試合制に拡大されており、記録が動きやすい環境にあることは事実です。それでもこれほど短い期間で記録保持者が入れ替わるのは異例で、今季のリーグ全体の得点力とスリーポイント精度が過去に例のない水準まで上がっていることの表れだと感じます。

記録より先にプレーオフを見据える姿勢

個人的に注目したいのは、ミッチェル自身が記録そのものより、チームの勝敗を優先する姿勢を崩さなかった点です。フィーバーは今季平均97.1得点というリーグ屈指の攻撃力を誇り、ケイトリン・クラークとの得点・アシストの分業体制が機能してきました。その中でミッチェルは効率と得点力の両方でリーグ最上位に立ちながらも、インタビューでは常にチームメイトへの言及を欠かしません。来季からはさらに1チーム50試合制への拡大も予定されており、記録はまた動く可能性があります。それでも「呼ばれたら応える」というミッチェルのスタンスは、記録の数字以上にフィーバーというチームの強さの土台になっていくのではないでしょうか。

プレーオフ開幕は9月27日

レギュラーシーズンはこの一戦をもって全日程を終了し、プレーオフは9月27日に開幕します。プレーオフ進出を決めているフィーバーにとって、ミッチェルの勢いをそのまま持ち込めるかが最初の関門になりそうです。記録づくしのレギュラーシーズンを終えたミッチェルが、初のポストシーズンでどんな数字を残すのか、引き続き注目です。

引用:https://sports.yahoo.com/articles/kelsey-mitchell-breaks-rhyne-howards-013330131.html

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