シーズン真っ只中の土曜日、WNBAで最も注目される24歳が立っていたのはコートではなく地元のYMCAでした。アトランタ・ドリームのエンジェル・リースが8月1日、自身のエンジェル・C・リース財団としては初となるアトランタでのイベント「バック・トゥ・スクール・バッシュ」を開き、1000人の子どもに学用品入りのバックパックを手渡しています。その前夜には今季19度目のダブルダブルを記録し、球団記録まで塗り替えたばかり。移籍1年目の夏に何を優先しているのかが、はっきりと見えた週末でした。
1000個のバックパック、その前夜には21得点13リバウンド
会場となったのはアトランタのアーサー・M・ブランク・ファミリー・ユースYMCAです。対象は現地の1年生から8年生、日本でいえば小学1年から中学2年にあたる子どもたち。透明のバックパックに文房具を詰めたものが1000人分用意され、音楽や食べ物、ゲームや抽選会も並びました。リース自身がバックパックを一つひとつ手渡す姿が、アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション系のUATLに記録されています。
その前夜、7月31日のストーム戦での数字も見逃せません。リースは21得点13リバウンドで今季19度目のダブルダブルを達成し、ドリームは98-89で勝って5連勝としました。この試合で奪った6本のオフェンスリバウンドによって、ブリオナ・ジョーンズが持っていたシーズン136本の球団記録を更新しています。しかも到達までにかかったのはわずか27試合でした。ナズ・ヒルモンが18得点、アリーシャ・グレイが16得点、ベンチのジョーンズが14得点、ジョーディン・カナダが10得点9アシスト。平均17.2得点のライン・ハワードが13本中3本の9得点に抑えられても勝ち切れたのは、それだけ層が厚くなった証拠だと思います。
2023年に始まった財団と、本人が口にした「4つ目の街」
リースが財団を立ち上げたのは2023年、まだ大学在学中のことでした。スポーツ、教育、金融リテラシーを通じて女性や女の子を後押しすることを掲げており、原点はボルチモアの母校に贈った小さな奨学金だったと本人が振り返っています。メンターについては、若い頃に恵まれた存在が多くはなく、母親が一番の味方だったという話もしていました。
そのうえで印象に残ったのが「4つ目の街」という言い方です。ボルチモア、LSUのあるバトンルージュ、シカゴを経て、アトランタが4番目にあたります。リースが将来のドラフト指名権と引き換えにスカイからドリームへ移ったのは今年4月6日のこと。まだ数カ月しか経っていない土地で財団の初イベントを開いたという事実に、この街への向き合い方が表れているように感じます。「私にとってこれはバスケットボールより大きなことで、それ以上のもので知られたいんです」と本人は語りました。
数字が裏づける移籍1年目、シカゴ時代とは違う立ち位置
7月28日時点でリースは25試合に出場し、平均15.4得点11.5リバウンド2.4アシスト1.7スティール。そのときドリームは16勝10敗でリーグ6位でした。そこから7月31日には18勝10敗まで伸ばしています。リバウンド王2回、オールスター3年連続選出という実績に、球団のシーズン最多オフェンスリバウンドという記録が新たに加わったかたちです。
興味深いのは、この球団記録が個人の能力だけで生まれたものではないと見られる点です。ヒルモン、ジョーンズ、グレイ、ハワード、カナダと得点源が分散しているドリームでは、リースが毎回スコアラーとして無理をする必要がありません。オフェンスリバウンドとセカンドチャンスに力を注げる環境が整い、その結果が数字に出ていると読むこともできます。得点が伸びながらリバウンドも落ちていないのは、役割がはっきりしたチームだからこそでしょう。
そしてコート外の1000個のバックパックは、移籍1年目の選手が新しい街に受け入れられる速度を確実に上げます。シカゴでの2年間との最大の違いは、成績よりもむしろこの部分にあるのかもしれません。
今後の試合とチェックポイント
ドリームは日本時間8月4日午前、ホームにラスベガス・エーシズを迎えます。5連勝中のチームがリーグ屈指の相手にどこまでやれるか、そしてリースが20度目のダブルダブルに届くかが見どころです。オフェンスリバウンドの球団記録はここからさらに更新され続けるはずで、シーズン終了時点でどこまで数字を伸ばすのかも注目したいところです。移籍1年目の夏はまだ終わっていません。

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