オリビア・マイルズ

10連勝の陰でファンが割れた2Qの数秒──28得点マイルズの右脚とノーコール、クラークは倒れたまま立ち上がれなかった

 

日本時間8月3日に行われたリンクス対フィーバーは、108対100でリンクスが競り勝ちました。球団としては2016年以来となる10連勝で、戦績は25勝6敗となっています。ところが試合後にSNSで最も拡散されたのは、その連勝記録でも、ルーキーのオリビア・マイルズが挙げた28得点でもありませんでした。第2クオーター序盤の、わずか数秒の映像です。ドライブしたマイルズの右脚が外側に伸び、ヘルプディフェンスに回ったケイトリン・クラークが倒れる。そして笛は鳴らない。この場面をめぐって「明らかに意図的だ」という声と「バスケットでは起こりうる接触だ」という声が真っ二つに割れました。映像だけで意図を断定するのは危うい、というのが率直な第一印象です。ただ、なぜここまで燃え広がったのかは、この一本だけを見ていても見えてきません。

笛が鳴らなかった数秒と、108対100の中身

問題の場面は第2クオーターの序盤に起きました。マイルズはケルシー・ミッチェルをドリブルで抜き去り、そのまま加速してリングへ向かいます。ヘルプに回ったのがクラークでした。マイルズがレイアップを放つ瞬間、右脚が外側へ伸び、クラークは接触して倒れます。オフェンスファウルは宣告されませんでした。クラークはしばらく床に倒れたままになり、数秒後に自力で立ち上がっています。プレーは止まらず、試合はそのまま流れていきました。

試合の中身そのものも濃いものでした。前半だけでマイルズは12本中10本を沈めて23得点。同じく前半23得点のミッチェルとの撃ち合いになり、リンクスが64対53とリードして折り返します。最終的にマイルズは28得点4リバウンド6アシスト、コートニー・ウィリアムズが27得点、今季4試合目の出場となったナフィーサ・コリエが18得点8リバウンド7アシストと、ほぼトリプルダブルの働きを見せました。ナターシャ・ハワードも13得点を加えています。

フィーバー側はミッチェルが37得点と爆発し、クラークは19得点1リバウンドに両チーム最多の10アシストを記録しました。第4クオーターに14点差をつけられてから12連続得点で2点差まで詰め寄りましたが、最後はウィリアムズとマイルズに立て続けにリングへ突っ込まれて力尽きています。19勝11敗となったフィーバーは、ここで5連勝が止まりました。ベンチから出たソフィー・カニンガムは3得点に抑えられています。詳細なスタッツはブリーチャー・レポートのボックススコアで確認できます。

クラークをめぐる判定論争は、今季ずっとくすぶっていた

今回の反応の大きさは、この一本だけでは説明がつきません。7月末以降、クラークの周辺では判定と扱いをめぐる話題が立て続けに起きていたからです。WNBAはフィーバーが申し立てたクラークの7個目のテクニカルファウル取り消しを却下し、出場停止まで残り1個という状況が生まれました。サンのサニヤ・リバースはクラークとの舌戦のあとに2試合連続のテクニカルを取られ、500ドルの罰金を科されています。8月に入ってからは、リーグの放送パートナーであるIONが流したMVP候補グラフィックにクラークが含まれていなかったことも話題になりました。

つまり今回のノーコールは、独立した一つの判定としてではなく、積み上がった不満の上に落ちてきたわけです。ファンの反応が過熱したのは、ある意味で必然だったと言えます。

一方のマイルズも、いまリーグで最も注目されているルーキーの一人です。7月には「フィールドゴール50%・スリーポイント40%・フリースロー90%以上で20得点以上」という試合を1シーズンに4度記録し、WNBAのルーキー記録に並びました。新人王レースの最有力とみなされている選手が、リーグ最大の集客力を持つ選手と初めて同じコートに立った日に、この一本が起きた。火が大きくなった理由の半分は、この巡り合わせにあります。

マイルズがハーフタイムに口にした言葉と、ここからの焦点

見落とされがちなのですが、マイルズ自身はこの日、クラークではなくミッチェルに意識を向けていました。前半終了時のESPNホリー・ロウによるインタビューで、彼女は「今、私たちを本当に苦しめているのはケルシー・ミッチェルです」と答えています。さらに、ミッチェルを守ることが自分にとっての「WNBAへようこそ」の瞬間だった、とも語りました。37得点を浴びせられた相手への敬意が前面に出た受け答えで、少なくともこの時点で、対クラークの因縁を煽るような姿勢は見当たりません(Heavy)。

ここからの焦点は二つあります。一つは、リーグがこのプレーについて何らかの見解を示すかどうかです。本稿の執筆時点で、WNBAからの公式なコメントは確認できていません。もう一つは、両チームがプレーオフで再び当たる可能性です。25勝6敗のリンクスと19勝11敗のフィーバー。この日のように15点差が2点差まで縮まる展開が秋にも起きるなら、今回の数秒は「シリーズの伏線」として何度も掘り返されることになるはずです。

個人的には、この件を「マイルズ対クラーク」という対立軸だけで語るのはもったいないと感じています。28得点と37得点の撃ち合い、そして残り3分で2点差まで戻したフィーバーの粘り。この試合の本質はそちらにあり、正直そちらの方がはるかに面白い内容でした。

次戦と観戦情報

リンクスは木曜にスパークスと対戦し、11連勝に挑みます。トレード期限でケルシー・プラムを放出したばかりのスパークスがどんな布陣で来るのかも含め、見どころの多い一戦になりそうです。フィーバーとリンクスの次の顔合わせ、そして両チームが上位で残った場合のプレーオフでの再戦は、今季後半戦で最も見応えのあるカードになるでしょう。

引用:https://sports.yahoo.com/articles/clearly-intentional-wnba-world-enraged-212154062.html

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