ステファニー・ホワイト

自分の選手が首を打たれた直後に「ハードファウルに反対はしません」──90-86で勝ったフィーバーのホワイトHCに飛んだ“解雇”コール

 

8月8日、ユナイテッド・センターで行われたインディアナ・フィーバー対シカゴ・スカイは、90-86でインディアナが競り勝ちました。ところが試合後に最も拡散されたのは、勝敗でも記録でもなく、勝ったチームのヘッドコーチが会見で口にした一言でした。自軍のソフィー・カニンガムが頭部から首にかけて打たれ、相手のディジョナイ・キャリントンがフレグラント2で退場した試合です。その指揮官ステファニー・ホワイトが、退場した相手に理解を示しました。筆者の第一印象は率直に言って、「なぜこの場面でその言い方を選んだのか」でした。

4分間で消えたキャリントンと、第1クオーターの数秒

問題の場面は第1クオーター終盤に起きました。速攻からカニンガムがレイアップに向かい、キャリントンが背後から追走。ブロックを狙った腕がカニンガムの顔から首の付近を強く捉え、カニンガムは激しく転倒しました。シュートそのものはリングを通っています。

立ち上がったカニンガムはそのままキャリントンへ詰め寄り、選手とスタッフに制止されました。最初に間に入って場を鎮めようとしたのは、チームメイトのマカイラ・ティンプソンでした。判定は当初フレグラント1でしたが、審判団のリプレー検証で振りかぶり、接触、振り抜きの三点が認定され、フレグラント2に格上げ。自動的に退場となりました。

キャリントンにとっては痛恨の4分間でした。ベンチスタートからわずか4分で8得点と、この日のスカイで最も勢いのある存在だったからです。左足の捻挫でデビューが遅れ、今季スカイでプレーしたのはこれが5試合目にすぎません。退場後、キャリントンはスレッズにフィーバー公式をタグ付けして「WHITE PRIVILEGE」と投稿し、その投稿は後に削除されました。

「反対はしない」という言葉が呼び込んだもの

多くのメディアが会見で想定していたのは、自軍の選手が受けた危険なプレーへの明確な非難でした。ところがホワイトの答えは逆方向でした。キャリントンは常に競り合う選手であり、誰も簡単にレイアップを許すつもりはない、という前置きに続けて、「私はハードファウルに反対はしません」と述べたのです。ただし故意に首を狙ったとは思わない、とも付け加えています。

反応は速く、そして厳しいものでした。アナリストのジェイソン・ウィットロックは解雇を求める趣旨の投稿をし、ラジオ番組のホストであるジェリー・キャラハンは、カニンガムの指揮官が当の相手を擁護しているのかと驚きを隠しませんでした。SNS上では、自軍の選手の安全を軽視していると批判する声が広がっています。

背景も無視できません。カニンガムはここ数週間、トランスジェンダー女性の女子スポーツ参加をめぐる自身の発言で論争の中心に立ち続けてきました。コミッショナーのキャシー・エンゲルバートは今週、この問題への向き合い方を説明するメモを各チームと選手に送っており、来週にはチーム社長とGMの会議で議題に上る予定です。カニンガムをめぐる空気は、この一戦の前からすでに張り詰めていたわけです。

言葉の中身ではなく、順番の問題だったのではないか

ここからは筆者の見立てです。ホワイトの発言は、内容だけを取り出せばコーチとしてそこまで異常ではありません。ファウルの強度と、そこに意図があったかどうかは別問題であり、断定を避けるのは元選手として長くコートに立ってきた人間の職業倫理でもあります。実際、判定そのものが妥当だったという認識も示しており、キャリントンの行為を全面的に容認したわけではありません。

問題は順番でした。自軍の選手が頭部を打たれ、相手が人種を持ち出す投稿をした直後という状況で、最初に出てきた言葉が相手への理解だった。ロッカールームへ向けたメッセージとしても、外に出す言葉としても、並べる順序が逆だったのだと思います。

そしてこの日の同じ試合では、ケイトリン・クラークの今季8個目のテクニカルファウルがリーグによって取り消され、火曜の出場停止が消えるという判定の一件も起きていました。判定への議論と指揮官の言葉が同じ日に燃える構図は、今季のフィーバーにとってもう珍しくありません。2連敗を止めた勝利のはずが、翌朝には別の火種が残ったことになります。解雇という結末はまず現実的ではないでしょうが、次の会見でホワイトが言葉を置き直すかどうかは、今後のチームの空気を測るうえで小さくない材料になりそうです。

次の一戦と、これから

フィーバーは火曜にニューヨーク・リバティと顔を合わせます。取り消されたテクニカルによってクラークが出場できるようになった一戦でもあり、この日の騒動を引きずるのか、それとも切り替えて戦えるのかが最初の答え合わせになります。あわせて、カニンガムのコンディションと、キャリントンへの追加処分の有無も注目点です。

9月にはベルリンでFIBA女子ワールドカップが控えており、クラークをはじめWNBAの主力が国際舞台に立ちます。リーグ戦が佳境に入るこの時期、コート上の判定と、コート外で発せられる言葉の両方が、これまで以上に重く扱われる季節に入っています。

引用:https://sports.yahoo.com/articles/must-fired-absolute-insanity-stephanie-125458000.html

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